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悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


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74 うらのキミトの法則

 木の仮面のようなもの。それはおそらく、佐藤(兄)のお土産である。

どういう理由があるのか、原因がなんなのか。それはまだ分からないが、逃げているキミトの頭で理解できたのは、その程度。


 あれは生物か?魔法具のようなものか。もしくは魔法そのものか。それはまるで分からないが、タツミチがそうなったように、ヒトに寄生する形でその数を増やすらしい。


 あの場にいたら、キミトまで仮面人間の仲間入りだった。


「仮面生物?前読んだ魔物図鑑には載ってなかった!」


 魔物図鑑が完全なものであるとは思っていない。リュウコ達を襲ったというネクロタクルの事も書いていなかった。

 だから、あの仮面も魔物の可能性が高い。とキミトは睨んでいる。


「とにかく全員を起こして、部屋を回る?いや、どうすればッ」


 ふと気づき振り返ると、そこには床に天井に壁にと、ひたすら伸びてキミトを追ってくる蔦が見えた。

 速度は全力疾走しているキミトに追いつく勢い。

 うっすら発光しているからか、夜の闇の中でもよく見える。


 これでは、部屋を回って起こすなんてできない。

となると、荒っぽい方法をとるしかない。


「『裂・炎弾』」


 窓に向かって魔法を放つ。一定距離を飛んだ後、爆発する火の玉。


―――ドドォオオオオッッッ


 炸裂する炎弾の音。花火とは違い、完全な轟音。

窓ガラスをぶち破ってからキッカリ三秒の直進を経て、火の玉が爆裂した。


「ぁ」


 一瞬だけ、昼間並みの明るさになった後、耳を塞ぎたくなるような音が響く。

 しかし、それと同時にキミトは見たものがあった。


 キミトと同時に火の玉を放った者がいたこと。光によって室内が明るく照らされている間、ツタが動かなくなったということ。


 極限的な状況が生んだ驚異的な集中力が、そのことを見逃さない。


―――スゥゥウウウウウウウ


「光だぁああああああッッ!!!!!!」


 喉がぶっ潰れても構わないという勢いで、腹から全力の声を出す。

室内を木霊し、轟音と共に響き渡る。


 音であるとは思わなかった。タツミチの怒声にも関係なく動き取り憑いたこと。

 また、音に対して向かう性質があるわけでもなさそうで、アレは生物を明確に狙っている。


「夜明けまであと……?」


 時計は近くに無く、その場で判断することはできない。

しかし、夜空は真っ暗で、深夜であることは疑いない。


「どうする。火と光だけか?使えるのは」


 裏スキルに使えそうなものはない。

木の面だから、火に弱いとか?

 魔法の属性で、光は得意ではない。

それでも、燃やしたら火事とかで危険。

 魔法技術を応用する?どうやるのがベスト?


「これだぁあああ!!『爆竹・紋』」


 名前は爆竹だが、実際のところは地雷のスタングレネードを作るつもりだった。

 円に爆弾マークが書かれているような『紋』を、壁と床と天井にのいたるところに張り付ける。


 触れれば、そこから異常な光量が発せられてツタの動きを止める。もしくは緩やかにする。


―――はずだった。


「な、なにィイイイイ!?」


 床や壁や天井に張り巡らされた大量の『紋』を、紙一重で避けて向かってくる。

 いや、それはそうかもしれない。逃げているキミトを追いかけているということは、つまり何かを知覚して追跡しているということ。

 それが魔力なのか、視認しているのか。それは分からないが、こんな見え見えの罠にはかからないということ。

 となると、対抗手段は直に光を当てる。


「いや、そう、もう一つ」


 続いて『紋』を配置しまくったところ、キミトの持つ魔力は半分を切った。

爆裂弾がそもそも過剰な魔力の消費を必要としたためだ。


 この『紋』の配置も、すぐに底を尽きる。


「喰らえ!山吹色サンライトイエローの『跳弾性光球連射ガトリングショット』!!!」


 振り返り様の両手の指から放たれる、大量の光弾。

壁に当たっても破壊はしない。貫通力は最低で、十回は跳ねる程、弾性が高い。


 その球は壁に当たり廊下中を縦横無尽に跳ね回る。

その光は鋭いが微弱。しかし光そのものは副次的なもので、真の目的は別にある。


―――ピピピピッッピピピッッッ!!


 かすりでもすれば、大量に設置してきた『紋』が反応する。

併せれば、昼間よりも更に眩しい空間が出来上がる。

 それはつまり、このツタたちの弱点。


 ツタは大量の光を浴びて動きを止める。


対して、発動した『紋』は内包している魔力を全て消費するまで消えない。

 これで多少の時間稼ぎができた。


 逃げながら耳を澄ませば、城内の至るところでこの緊急事態に反応する音が聞こえる。


――――ボロッ


 異音に耳が反応し、逃げる足が止まり再びツタの方に目を向ける。


―――ボロボロボロ


 未だに光を浴びているツタが、灰のようになって崩れていく。

遠くの、より本体の仮面に近いツタは見えないが、光を浴びすぎると崩れるらしい。


 これは、非常に有用な情報。光が弱点という情報の価値が更に上がる。

しかしそして、それはつまり対抗手段が限られるという事実に他ならない。

 光を出せる属性の持ち主。真の勇者であるセイヤはこの王城内に今いない。

剣聖と名高く、光の剣を扱うガロウモモカもいないし、1と2の騎士団長含めた主力陣はどこかに遠征に行っているらしい。

 この場合、光の属性を高度に扱うことができるのは


「助けてぇぇええええ!!シオンさぁああああん!!!」


 自分の命を奪いかけた、例の聖女だけであるということ。


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