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悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


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07 ガールズトークは止まらない

 結局ミラが来る前に時間が来てしまい、最後の座学の時間が始まった。

みんなとは離れた席で、シータ副団長の授業を聞いているリュウコ。

 

 一度体験した魔法についての授業ということで、みんな最初の時間ほどしんどそうではなく、目をキラキラ光らせて聞いていた。


 一応先に、講堂内での魔力放出や魔法の行使は原則禁止されたため、使ってためすようなことはできないが、頭の中だけで想像する分には自由だ。

 

 話は聞きつつ、用意されたメモ用紙と鉛筆を使って頭の中のアイデアを書き出していく。


「属性魔法はその属性に魔力を流し込むことでそれぞれの属性由来の効果を行使することが可能になります。

 人の属性はそれぞれのステータスに記載されていた通りですが、魔法の技術が成長につれて、その種類が増えたり、使える魔法が進化したり、様々な変化があります。」


(魔力の練は捩じる、重ねるだけじゃないはず。

現代日本風に言えば、圧縮や純化なども可能なはず。

 それだけじゃない。魔力を流動体として、常に動かすことができれば、何か大きな変化が得られるかもしれない。けど、まだ試せないか。)


「属性は基本的に【火】【水】【風】【土】【光】【闇】の六種類であり、そこから成長するにつれて変化していきます。【火】であれば、温度の操作に重点を置けば【氷】、その強さに重点を置けば【炎】と、人によって成長の道は様々です。」


(属性っていうのがどんなものなのか、僕にどれの適正があるのかは分からないが、【火】の適正なら、そこから【雷】みたいな派生もあり得るのかな。漫画で読んだだけだけど)


 耳で聞きながら、手で書いて、頭でいろいろな想像を繰り返す。

感覚だけで使っていた魔力に知識というサポーターを取り付ける。

 普段使っていない脳みその部分も使って、色々な事を考えていく。


 つまり、リュウコも授業にノリノリで、その時間はあっという間に過ぎていった。


◇◆◇


「リュウコ、すまないな。少し用事があって、離れていたんだ。」

「いえ、こちらこそ、ご迷惑をおかけしてすみません。」


 再度戻ってきたミラとシータを交え、今後の事や魔法についての話をする。


「ふむ」

「ミラちゃんはどう思う?リュウコ君のことを報告したら、多分大変なことになると思うわ。」

「かと言って、隠蔽は反逆行為にもなりかねない。報告自体はするべきだ。」

「ん~」


 話し合いは進展せず、二人は頭を抱えて悩む。

どちらも、リュウコの事を思って悩んでくれているということはわかっているため、軽々しく口は挟めない。

 しかし、


「じゃあ、報告したうえで、ミラさんといっぱい訓練するってことにすればどうですか。」

「「ぇ———」」


 リュウコの提案に、二人の頭脳は回転する。


 つまり、リュウコの実力を報告し、それでいてステータスの無い現況を添えることで、外部への隠蔽を行いつつ正確な能力を測るためにミラとだけ訓練を続ける。

 対外的には他の勇者と同じ待遇にしつつ、戦力としての特別な視点で見ることで、隠し玉として運用できるのではないか。


 二人の考えがまとまってから、そこからは早かった。


シータは国王へ報告に、ミラはリュウコについて夕食に同行していった。


「リュウコ、お前ぬぼっとしてる割に頭いいな。」

「ぬぼってどんな状態なんですか。」


 わしわしと頭を撫でつけられ、身長差から抵抗もできない。というか、ただの可愛がりだから抵抗することもない。


「ん、やはり髪が伸びているな。これも何か、ステータスとかと関係があるのか?」


 ミラの細長い指で髪を梳かれ、その感覚が妙に長いことで、リュウコも自分の髪の長さを自覚する。


 昼の時よりも、また少し伸びたらしい。


「ふふっ、奇妙なやつだ。」

「——」


 奇妙。中々異性に言われたと考えるとショックを受ける言葉だが、リュウコはそれよりも、微笑んだミラの顔に驚いた。

 普段は勝気で粗雑な印象を受けるミラだが、笑顔は深窓の令嬢というか。とても気品のある笑みだった。


「な、なんだ。そんなに見て。嫌、だったか?」

「いえ、なんでも」


 見とれていたのがバレると恥ずかしいので、ついついそっぽを向いてしまう。

 それを見て、奇妙と言ったことを撤回しようとオロオロしているミラの姿は、騎士っぽくないと思ってしまう。


「あっ、今笑ったな!このー!」

「わ、わぁ!!」


 ニヤついていたのがバレてしまい、結局食堂まで追いかけられることになってしまった。

 そうやって廊下を走って、途中で別の騎士に一緒に注意を受けることになったりと、夕食前は賑やかに過ぎていった。


◇◆◇


「大丈夫か?シオンから聞いたが、体調に変化とかは無いのか?」


 夕食では隣にミサキ先生が座っていた。

体を洗ってから来たらしく、短い髪がうっすら濡れている。

もう組で座るということも無くなって、みんな自由に好き勝手座っているらしい。


「そっちはどんな訓練内容なんだ?こっちは朝から晩まで剣の素振りだったり、格闘技の練習だったりで大変だったぞ。運動不足のこの歳にはキツい内容だったよ。」


 ミサキ先生は筋力組らしい。イメージ的にもその方が合っていると思う。


「こっちは筋トレと魔法半々って感じでしたね。」

「えー!じゃあリュウコちゃんも筋トレやったんだ!意外!」

「魔法組の内容も気になるけど、どんなことをやったの?リリカさん」


 テーブルを挟んで話しかけてきたのは❘天城凜々アマギリリカ

ギャル系で肌がほんのり焼けている、金髪スタイルの典型的ギャル。

 リュウコの事をちゃん付けで呼ぶし、なんなら女の子イジリもしてくるため、少し苦手な相手。


「ねえ、席返して、ねえって」


 そんなリリカの後ろで、その肩を掴んで揺さぶっているのは、ちょっと席から離れただけでそこを奪われたシオン。

 まさか水を取りに行っただけで、リリカに椅子を奪われていた。


「いーじゃんいーじゃん!あたしここが良いから、はい!」


 そう言って、テーブルの上にあった料理を隣にずらして、そっちに座れとジェスチャーする。

 笑顔のままピキピキと空気が張り付く食堂内でも


「でさ!リュウコちゃんも筋トレとかできたの?腕ヒョロッヒョロじゃん!腕立てとか十回もできなさそう!」


 キャッキャと笑いながら、中々傷つくことを言ってくる。

とはいえ、確かにリュウコは転移前だと、まともに運動もできないもやしだったが。

 それはそうと酷い言いぐさである。


「剣の素振りとかだったから、僕でもなんとかなったよ。」

「きゃわうぃぃいい!!『なんとかなったよ』だってぇ!!」


 テンション高くそう叫ぶリリカ。

何が楽しいのかも分からないが、元々箸が転がっただけでも大爆笑していたゲラなリリカだから、あまり気にはしていない。


「リリカ、もうちょっと落ち着け。リュウコ、食べ終わったなら行くぞ。」

「え、ちょっと!」

「ああ!リュウコ君もう食べ終わったの!?」


 何とも変な顔をしたミサキ先生に腕を引かれ、シオンとリリカ、そして水を取りに行っているミラを置いて、食堂を後にした。





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