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悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


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65 裏乃キミトクエスト

 ミサキ先生の暴走から一週間。

 キミトは謹慎期間を経てギルド依頼訓練に出ることになった。


 王都近辺の潜むゴブリンの討伐。

三人でのチームということで、佐藤(兄)と調リンと組んで挑むことに。

 最近では実力差が明確になり、同じくらいの実力の者と組み適切な難易度の依頼をこなす日々になってきつつある。

 キミトの裏スキルを除いた実力は大体二人と大差が無い。

前衛の佐藤(兄)とオールラウンダーのキミト、後衛魔法職のリンでバランスも良い。


「よろしく、あんま絡みないメンツだから、行きがけになんか話しておこうぜ。」

「ん、よろしく。ところで、君は何で離れてるの?」

「陽キャとギャルに挟まれて冷静でいられるほど、僕は強くない!」


 戦闘スタイルの相性と、人間関係の相性は別問題。

特に軽くコミュ症を患っているキミトにとって、同じクラスの者に対しての改まった自己紹介など地獄そのもの。


 そして、王都から近いとは言え、移動時間に30分程かかるのだから、それは一種の拷問である。


「これなら多少ケガして休んでいればよかった!」


 そんな慟哭を城内に響かせながら、キミトの嫌な集団行動が始まった。


◇◆◇


「ところで、ミサキ先生に半殺しにされかけたって本当なの?」


 歩き始めて五分程、最初こそ軽い自己紹介をしていた佐藤とリンの二人に、すこし離れて行ってたキミト。

協調性皆無なムーブも気に留めず、リンはキミトに話しかける。

 騒動から時間も経ち、生徒間で噂も流れているため、これ幸いとキミトに事情を聴くことにした。


「別に……心配してたんだろ。」

「え、ミサキ先生がキミト君に一方的に暴行したと聞いたけど。」

「心配してて暴力っておかしくない?」


 そう二人に詰められて、言葉に詰まる。

戦い、真意を理解しているキミトと、噂で聞いただけの二人の理解には大きな隔たりがあり、それを言葉で説明するのは非常に難しいのだ。


「僕が弱くて、依頼先とかでケガをするか、死にでもするくらいなら、手加減をできる先生がボコして城から出られないようにしようって。」

「バイオレンスすぎるって……」

「先生って結構頭悪いんだ……」


 二人とも青い顔をして天を仰ぐ。

元の世界にいた頃は頼りになってどんな相談でも気軽にできる姉御肌の擬人化みたいな人だったのに。


「それだけ、あの事がショックだったんだろうな。」

「……まだ、信じられないかな。」


 キミト達の頭に浮かぶ、まだ鮮明にある勇者死亡の情報。


「知ってた人が死んだって聞いても、意外と実感は無いんだよね。」

「死体とかは当事者以外の目に触れないようにしてるらしいから。」

「ドッキリでしたって出てきても驚くだけで受け入れるかも。」


 キミト主軸の話だったはずが、いつの間にかハブられて話が進んでいることに気づき、複雑な心境に陥る。

 時折あるのだが、キミトは自分の感想や意見をあまり出さない。いつもチョケてるのだって、自己主張というにはあまりにも軽く印象に残らない。

 

 そんな感じで歩みが遅いキミトを、仲間の二人は振り向きもしない。

楽しくおしゃべりをしていたら道が短く感じるのと同じくらいの要領で、スイスイと前に進んでいく。


「別に、駄弁りたかったわけじゃないし。」


 これもキミトの悪い癖。マイナスに良いところを探して傷を慰める。

鬱蒼とした暗い胸中を、言葉で偽り飾る。



 結局のところ、依頼自体は簡単に終わった。

予定外のことも、前情報にないハプニングも無く、ただ粛々と魔物を倒しただけ。

 ずいぶん前の、本当に最初の頃は、生物を殺すことに抵抗感のあった生徒たちも、魔物が相手なら大丈夫になっていった。


 しかし、スライムやコロポのような魔物感の強い魔物相手なら躊躇なく戦えるが、ゴブリンくらい人型に近いとなると、ついつい峰打ちや物理攻撃などの殺傷力の低い攻撃にしてしまうらしい。


 それでもゴブリン程度には負けないほどのステータスの差があり、勇者たちを生命のやり取りから遠ざけていた。

 


「ちょ、グロいって……」

「耳が証明部位なんだから仕方ないって」

「こっちは終わったけど」

「ウラノはや……こっちもやって」


 リンは二体ほどのゴブリンの耳を取ったあたりで根を上げ、男子二人に丸投げした。


 ゴブリンの部位に価値はほとんど無い。

核と眼球だけがそこそこな値段で売れて、耳は依頼の証明に使われる。

 ごく稀に人間の落とした武器などを持っている場合があるが、ほとんどは石性のこん棒で価値は薄い。


 十体ほどのゴブリンから耳を削ぐ作業を押し付けられ、リンは遠く離れた場所で眺めの良い場所を探しているらしい。


「割合じゃんけんしたのに結局押し付けられた……」

「オレ勝ったのに……」


 我儘にやられた男子の愚痴で、妙な意気投合が始まった。


「ところで、キミトは今ステータスどんくらいだ?」

「ふふ、【敏捷】が500超えた」

「おー、え、オレもそれくらいなんだけど、もしかしてそれが一番高い?」

「大体全部500前後で、HPとMPだけ700ある」

「なるほど、オレは攻撃が800あるけど、魔法系が200も無いから、バランス良いのは羨ましいかな。」


 ステータスとは、ただの身体能力の指標……ではない

HP、MP、筋力、魔力、敏捷、忍耐、幸運の7つで構成され、スキルを習得することや、修練で伸びていくパラメータ。

 しかし、ムキムキの筋力200とガリガリの筋力200では話が異なり、ムキムキの方に軍配が上がる。

 つまり、ステータスとはその人物にかかるバフのようなものである。


 このステータス、一般人の平均は100程度というのだから、キミト達勇者がどれだけ優良人材であるかはわかるというもの。

 兵士で300、騎士はピンキリだが、近衛騎士は平均1000を超えると噂されている。



「俺達ってすげーよな。なあ、もっと冒険してみたくないか?」

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