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悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


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42/86

42 条項

 ギルドにはいくつかの規定、規則が存在しており、ある程度自由な風土が見られる業種であるものの、最低限のモラルも求められている。

 

 ギルドそのものを創り上げた生きる伝説のグランドマスターが決めた『総則』と、各ギルドのマスターが決めた、管轄内でのローカルルール『領則』。その範疇でギルド員が自己の判断で行う『裁則』。


 基本的にはこの三つで成り立っている。

そのうえで、ギルドから除名された後に再度登録する。その回数の規定は無く、基本的に素行不良で登録を抹消された冒険者などは、『裁則』によって登録を拒否されるケースなどもある。


「エリサさんはF級の登録をしても、依頼をクリアできたことがほとんど無いんです。また、一度だけE級に上がった後も、ラットの魔物を討伐できなくてギルドにクレームが来たことがありまして」

『もういいわよ!冒険者なんてやめてやるわ!』

「そう言って、登録を消してしまわれたんです。」


 たった数時間の付き合いにも関わらず、その様子がありありと目に浮かぶ。

リュウコは眉間を摘まんで少し唸ってしまった。


「……ま、大丈夫ですよ。」

「え、大丈夫ですか?」


 不安を軽く吐いて捨てたリュウコに、受付嬢が聞き返す。

多分、気性の荒いエリサに、リュウコがしてやれることは多くない。逆に、エリサはここでリュウコと離れたら、もう冒険者を続けないかもしれない。

 それを考えれば、いくらでもリュウコは我慢ができる。

エリサは絶対に、リュウコすら手を焼く実力者になる可能性を秘めているから。


「エリサさんとパーティを解消するつもりはありません。ところで、昇級の方は?」

「あ、お待たせして申し訳ありません。こちらが新しいギルド証です。これからは身分証としても使えます。」


 渡されたのは運転免許証くらいの大きさのカード。

『リュー』という名前と、『E級』とでかでかと書かれただけの、金属製のカード。


「エリサさんの分は?」

「後日来ていただいた際にお渡しします。それで、本登録にあたっての説明ですが」


 受付嬢の説明は以下の通り


・個人情報は任意で登録可能

・冒険者の身分は階級問わずギルド側が保証する

・級によって上限が異なるが、金銭的援助も可能(要審査)

・魔物との戦闘で負ったケガの治療、補償も完備

・ギルド証を見せることで割引になる店や宿がある

・冒険者の級より1つ上までの級の依頼を受けることが可能

・昇級の条件は基本的には秘匿事項であり、昇級は依頼の完了後に打診される

・パーティである場合、そのメンバーの平均マイナス1級でパーティの級が決まる(リュウコたちはF級パーティ)

・その他細かい規定などは冊子を渡すので読むように


「こちらが規定を書き記している冊子になります。」


 渡されたのは、文庫本サイズの本。

タイトルには『ギルドのすゝめ』と書かれている。

 中をパラパラと読んでみたが、怪しいことは書かれていない。


「説明は以上になります。」

「はい、このまま、D級の依頼を受けることってできますか?」

「え、その、え?」


 現在時間は昼の2時。

簡単な依頼であれば、今日中に終わるが

D級ともなると、どんなものでも1人で完了したら冒険者としては一人前と言われるレベルの依頼になる。


「パーティでならE級までかもですけど、ソロで受けるならD級、行けますよね?」

「は、はい。それで、どのような依頼を」

「ああ、常設依頼で、魔物の核を使って依頼完了としたいんです。」

「あ、なるほど、そういうことでしたら。」


 人から金銭を受け取り依頼として貼りだし冒険者を斡旋する通常の依頼とは違い、魔物の核を一定数提出することで、昇級のための点数と依頼料を手に入れられるのが『常設依頼』。

 その常設依頼にも級は設定されており、基本的にD級以上となる。


「こちらがリストになります。」


 常設依頼は掲示板に張り出されていない。リストとして、受付嬢に頼めば見ることができる。


「はい、『バスターモンキー』『スピードモンキー』『マッドウルフ』『トントベア』『グラスラット』『コロポ』『ネオコロポ』」

「ちょ、ちょっと待って!待ってください!」


 受付の台に丁寧に並べて大量の魔核を置いていく。

1依頼としてカウントされるだけの数をひとまとめにして、山にしていく。


「ちょ、手貸して!手が空いている人!」


 受付嬢も焦りつつ、魔核を移動させていく。

台のスペースが埋まってしまえば、リュウコは一旦止まるが


「これ、『マッドウルフ』」

「はい、次は『Kコロポ』」

「ちょっと待って!お願いだからこれまで待って!」


 流石に追加され続け、受付嬢の一人が悲鳴を上げる。

1セットの魔核と交換するように積み上げられる依頼の書類。

 小1時間ほどして、やっと台の上の魔核を処理し終えたのだが


「もしかして、まだあります?」

「はい」

「じゃあちょっと待ってくださいね。」


 最初から担当している受付嬢が奥に行くと、数分で一枚のカードを持って戻ってきた。


「一旦、こちらD級のギルド証で、E級のギルド証と交換しますね。」

「はい」

「その後、C級のギルド証とD級のギルド証を交換します。」

「飛び級はできないんですね。」

「はい、回収したギルド証は一応保管しておくので。」


 C級になったリュウコは、B級までの『常設依頼』の分も提出できることになった。

 そういう手順を踏んで、再び魔核祭りが始まる。


「はい『ナイトメアシープ』『マウンテンゴリラ』『サンライトイエティ』」

「もう机埋まってる!」


 上位の魔物の魔核になれば、それだけ大きなものになるのが基本。

その分、受付の台はすぐに埋まることになって。


「ちょ~っと待ってくださいね。」


 少し怖い顔をした受付嬢が、リュウコにストップをかけてきた。


◇◆◇


「こちら、B級のギルド証です。C級のギルド証と交換いたします。」

「こちら、依頼の報酬金、細かい内訳はこちらに書いています。」


 一枚の紙と重たい麻袋、そして銀色に輝くギルド証。

それが大量の魔核の化けた姿。


「結構大量にあったハズなのに、A級まで届かなかったか。」

「それについてですが、説明いたします。」


 受付嬢が差し出してきたのは、一枚の紙。

そこには『A級昇格条件』と書かれており、条件が箇条書きで記されている。


「へぇ、対人依頼と重要依頼。」

「はい、主に盗賊などの討伐や、貴族の護衛などで一定数の信頼を獲得していただくことが必須事項となります。それさえ完了いたしましたら、A級への昇級が確実にできるだけの点があります。」


 特定の依頼を受ける必要があるということは理解し、リュウコは一度うなずく。


「当分はB級で活動します。」

「……はい、それも良い判断かと。」


 一つ話し合うと、受付嬢はそれ以上付け足すこともなく、リュウコもそのままギルドの外に出た。


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