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悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


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27 嵐本夜祭

 逃げたマッドラット達の微弱な魔力を追いかけて、街の空中を移動しているシオン。

 向かった先は、騎士サムが待機している、『蓋の無い穴』の場所。


「シオン様!?何故ここに!」

「マッドラットが数匹、こっちに逃げてきたんです。ヴェルモ伯邸地下の駆除は殆ど終わったので、そのラットを追って」


 突然現れて、早口で現況を伝えてくるシオンに数瞬の間混乱していたサムだが、それはそれとしてすぐに冷静を取り戻す。


 同じ場所を担当していた別の冒険者に事情を説明して、警戒を強くする。


「シオン様はイッセイ様達のところに行って現況を確認してきてください。もしも異変があるようでしたら、こちらに戻ってきて再度作戦を立てます。」


 シオンは再び上空へ跳び上がり、イッセイ達のいるミット邸に向かった。

魔法での推進力を気持ち強めにして。


◇◆◇


「シャァ!!オラァ!」


 イッセイとカオミの二人は、突入したカオミがネズミを片っ端から処分していき、イッセイが打ち漏らしの駆除と処分を行っていた。


 カオミの武器は強化魔法と剣。

2本のショートソード(刃渡り70センチ)を振り回すスタイルを『強化』の魔法だけで戦う脳筋戦法。

 異世界に来て唯一覚えられたのが、【無】属性の『強化』だけで、ステータスを上げて剣を振り回すことしかできない。


 逆にイッセイは、言動こそ意味不明で壊滅的なコミュニケーションしかできないが、なんでもできるオールラウンダータイプで、腰に差している短剣と長剣を適宜使い分け、多種多様な魔法を取り扱う万能型。

【基本】魔法だけでなく、【特殊】や【強化】も一通り扱える器用富豪っぷりが強み。


 そんな二人だからこそ、今のところ全部のマッドラットを問題なく駆除できている。

 

「イッセイ君!カオミ君!そっちに異常はない?」

「む、聖女の到着、想定外の天啓、つまりは危機の予兆」

「あン?んだよ。こっちは別に問題なォオ!?」


 シオンの着地に二人の意識が向いた瞬間、今までカオミに蹂躙されるばかりだったマッドラットたちが一斉に動き出し、法則性も持っているように逃げ始めた。


「チィッ!?」

「異常なる退避、不測の事態なりて『魔力砲』!」 

「逃がさないで!『コールドボム』!」


 三者三様に逃げるネズミに追撃を加える。

しかし、ネズミたちはバラバラに逃げているせいで数匹程度しか仕留めきれなかった。


「ごめん!二人はサムさんのところに戻って!あのネズミは私が追うから!」

「説明しろやオォイ!!?」

「戻るぞ。愚かなる獣に備え、万全の夜を迎える。」

「イッセイ君、お願いね!」


 カオミの搬送はイッセイにゆだねるとして、シオンはネズミたちをそのまま追いかける。

 魔力の探知である程度の方向はわかっているが、それでも移動速度が半端ではないので、早急に向かう必要がある。


「サムさんには、緊急事態になったら魔力を放つからって伝えておいて!」


 そう言い残すと、シオンは上空で使っていたものよりも更に加速する氷の足場と風力の移動で、あっという間に見えなくなった。


◇◆◇


 緊急事態、予測不能。

サムはそんな事態について、口が酸っぱくなるほど注意して、再三シオン達に注意していた。

 

 特に、魔物の取る不可解な行動については、深追いは厳禁であると。

コロポの里に出たネクロタクルと同様の異常事態になり得る可能性を示していた。


「なに、これ」


 シオンの視線の先、視力を強化し暗視の効果を使っているからこそ、よく見えるソレは、一見すればただの茶色の球体。


 しかし、よく目を凝らしてみれば、もぞもぞと蠢いていることがわかる。


つまり、それは大量のマッドラットの集合体。

 幾百幾千ものマッドラットが、一塊になっている。


 これに、強力な範囲攻撃魔法を使って攻撃すれば、恐らくネズミたちは全滅する。

 依頼はそれで達成される。


 しかし、シオンは体が動かない。

 その球体の奥底に眠る魔力の波動に、芯から鳴る警鐘が止まらない。


「や、やばい」


 震える手をどうにか前に構え、手の先に魔力を集める。


範囲ではなく、一点を貫くように、狙いを定め、中心だけを打ち抜く。


「『氷天・凍穿———」



 シオンの言葉が終わることも、魔法が完成することもなかった。


魔物の中には、いくつかの種類が存在している。


 一瞬の静寂の後、二つのナニカが、水面に落ちる音がした。


その中で、繁殖から生まれるわけではない種族が存在する。


 魔力は霧散し、シオンは数秒を、まるで何分何時間にも錯覚した。


それは、『進化変異』と総称される種族。


 無意識の意識が、思考が再開し、視界に対する疑問と不明が襲ってくる。


特例であり、法則性も薄く、例の少ない現象で、噂だけが歩いているが、


 魔法を放とうとしていた手、その、肘から先が見当たらない。


その強さは、原種の強さを基準として



 噴き出している血は水に溶け、靴下を赤黒く染めて



3段階以上強くなる。



 

 ソコから産まれた、ナニカによって、シオンの腕が奪われた。



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