表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔転生奇譚Ω  作者: 草間保浩


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/85

10 イレギュラー

 到着した迷宮『コロポの里』は、洞窟型で階数は10。

最高ランクでもハイコロポという中級下位の魔物だけしか出てこない下級の迷宮。

 初心者向けで低難易度、罠も無い迷宮に、5人1組のパーティで入っていく。

もちろん、ちゃんとまんべんなく戦闘を経験できるように、30分ごとに1班ずつ入っていく。


 リュウコたちの班は、5班あるうちのちょうど真ん中。

三番目ということで、到着から一時間が経過したあたりで中に入っていった。


「すげぇ、外からはただの小さい洞窟だったのに」

「本当に異世界って感じだな。」


 洞窟の中は、かなり広い草原のようになっていて、壁面に生えている苔のようなものの光で、十分な明るさが確保されている。

 足元も緩やかな下り坂になっているようで、比較的歩きやすいし、障害物があるわけでも、屈んで歩くなどの必要も無い、良い通路だ。

 初心者向けというのも頷ける。


「おっ、敵発見!」

「きゃー!きもーい!」


 初エンカウントは『コロポ』。

毛玉のようなものに目がある魔物で、どんな生体なのかまるで分からないその姿は、近くで見るとそれなりにグロい。


『CORO!』


 発声器官がどこにあるのかもわからないのに普通に鳴き声を発するのも中々見ていて気持ち悪いのだが


「死ね!『火球』!」


 ヒロの魔法が放たれると、コロポの体に当たって破裂する。

燃えやすそうな毛に引火して、すぐに火だるまになったコロポは少しうめき声をあげたと思うと、すぐに声も発さなくなった。

 そのすぐ後、コロポの体が粒子状の光になると、その場で小さな宝石のような物になった。


 この世界では、魔物は死んだら『魔核』と呼ばれる魔力を帯びた核となって消滅するらしい。

 それを売って金にする『冒険者』なんかもいるということだが、詳しくは教えてもらっていない。


「やりぃ!初勝利!」

「次俺!次俺!」


 完全にゲーム感覚の二人は、先陣を切って前に進む。

ヒロは魔法組だというのに、前衛のような顔で前に出ているもんだから、困ったものである。


「しゃあ!死ねぇ!!」


 ショートソードを構えたカズユキが、視界に入ったコロポに全力で振りかぶる。

 バサッと軽い音がすると、散った毛とほとんど一緒に宝石のような魔核が落ち、コロポを瞬殺したのだとわかる。


「すげぇ!!もっと強いやつ来てくれって!ハイコロポとかでも余裕っしょ!!」

「俺もまだ魔力いっぱい残ってるし!強い魔物来てくれ!」


 そんな二人の願いが通じたのか。


『COCORORO!!』


 大きな声が響き、洞窟の奥から大きめのコロポが歩いて来る。

そう、脚がある。細長くて体長と同じくらいの長さの足を生やしたコロポが歩いてきた。


「よっしゃあ!アレ、ハイコロポだろ!『火球』!『火球』!」

「あっ!ずりぃって!」

『COCO!!?』


 距離があるのをいいことに、ヒロが遠距離攻撃のできる魔法を連射する。

流石に一撃で死ぬことはなくても、二回連続の『火球』でハイコロポはほとんど瀕死になった。


「トドメ!」

「あーッ!!」


 火球で弱ったところをカズユキが止めを刺す。

せっかく弱らせたというのに、美味しいところを取られたヒロはかなり不満げだ。


「よっしゃぁ!ゲット!」

「おま!ずるいって!!」


 二人でハイコロポの大きめの魔核を奪い合い、結局筋力のカズユキが勝ち取ったり、本当にゲーム感覚で進んでいった。


「リュウコさー、あんたも戦えば?」

「二人が飽きたら行くよ。」

「ちぇっ、根性無しー」


 何が不満なのか、少し前からリリカは不機嫌そうだ。

多分、この長くて薄暗い空間が不快なのだろうけど、それくらいは最初から覚悟してきてほしい。

 

「イチロー君は?」

「俺も、二人が飽きてからでいいかな。あの調子だと半分くらいで落ち着くと思うし。」

「だって。」

「うっざ、もういいし。」


 リリカの不機嫌がとどまるところを知らない。

特に理由も分からないまま、リュウコも暴れる二人の後ろを歩いてついて行く。


「なにもなければいいけどね。」


 イチローはそんなことを言うくらいに、何か思うところがあるらしい。


◇◆◇


「お、階段あったぞ」


 結局、何事も無く二人について行くだけで6階にまでついてしまい、ほとんど散歩という形になった。


 迷宮の階層というのは、基本的に人工的な階段でつながっており、それを降りる、または登ることで階層を移動するらしい。

 

 コロポの里は下に降りていくタイプの迷宮だ。


「じゃ、さっさと行こうぜ。」

「おー!———ぶべっ!!?」


 ノリノリで降りようとしていた二人のうち、カズユキの顔に何かがぶつかる。

当たり所が悪かったのか、その場に倒れて悶えていたのだが、隣にいたヒロはその飛んできた物を見て絶句していた。


「な、なんだよ、これ。」

「……ッ腕!?」


 カズユキの顔面に当たったのは、人の前腕部分。

強力な何かで無理やり引きちぎったような腕が、階段の下から飛んできたということ。

 それに気づいたところで、誰かが階段を上がってくる足音が響いてきた。


「た、た、助けてくれぇ!!」

「ジロー!?おまえ、どうしたんだ!?」


 上ってきたのは、イチローの三つ子の兄弟のうちの一人、ジロー。

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で、全力疾走していた。


「ば、ばけもの!バケモノが出た!」


階段の最後、5階に上りきったジローはそのまま駆け抜け、リュウコ達の間を走って逃げていく。

 イチローはそれを追いかけて行ってしまい、4人だけが取り残された。


 どうしようかという空気が流れたのも束の間。


 突然伸びてきた黒い何かが、先頭にいたカズユキとヒロの足首を掴んで、下階層に引きずり込んだ。


「「う、わぁああああ!!!?」」


 二人の絶叫が響き渡り、遠のいていく。

数秒ほど思考が飛んだ二人だが、先にリュウコが動く。


「リリカさんは逃げて!できれば騎士の人に緊急事態って伝えて!」

「え、ちょ、あんたは!」

「二人を助けに行く!」


 リリカの返事も待たずに、リュウコは階段を駆け下りる。

今までの階段とは違い、少し長く感じたものの、下の階層にはすぐに到着した。


「リュウコ!助けてくれ!」

「ひぃ!!?やめろ!やめてぇ!!——ぐげっ」


 そこにいたのは、黒い頭蓋骨のようなものから、十本くらいの触手を生やしたタコのような生物。

 リュウコは知らないが、『ネクロタクル』と呼ばれる『深海種』の『オクタクル』と『死生種』の『ネクロム』の混血種である、『最上級』の魔物である。

ブックマーク、高評価、いいね、感想、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ