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僕のエッセイ作品集

爆裂家族ユルリと

作者: Q輔

 現在、個人的に新しい試み満載の長編連載が完結間際ってことで、個人的に結構根詰めた状況ってことで、個人的にここいらでパーっと憂さを晴らすかっつんで、まったくもって個人的な、パンツを脱いだら必ずウンモさん付いてる系肛門よろしくユルユルのエッセイを一発ぶちかましてやろうかしらん。ちゅうわけで、今日なんて日は、僕の愛する家族のことなどを書きます。


挿絵(By みてみん)


【妻】


 いきなりノロケですみませんが、40を過ぎてからというもの、ご覧の通り大人の女性ぶりがめっぽう増した僕の妻。そのくせ僕の6歳年下で、ご覧の通りいつまでも若くいつまでもかわいい僕の妻。よく食べ、よく笑い、よく僕を叱り飛ばす赤鬼……もとい、僕の妻。


 現在、妻は専業主婦。数年前まではパートをしていたが、子育てと、義母の世話と、何より手のかかる僕の飼育に、どうかしばらくは身を捧げてくれんかねっちゅう僕の願いで、しぶしぶ専業主婦になって頂いた。ちなみに、妻は21歳で僕と結婚をして以来、正社員として働いたことが一度も無い。真性の社畜である僕が、家庭を顧みず仕事に没頭したいが故に、妻には家庭に軸足を置いて頂きたく、パートしかさせてこなかったからだ。ひょっとしたら妻は社会的に成功をする才覚のある女性であったかもしれないが、事実上、僕がその道を閉ざしてしまった。この償いは一生を掛けてするつもり。


 性格は生真面目で、几帳面で、潔癖症で、極めて気が小さい。典型的なA型女子。極度の心配性で、いつも何かしらの不安に苛まれていて、常に何かに思い悩んでいる。だから家の中はいつもピカピカで、あらゆる準備はいつも万端。ガサツで、楽観主義で、アッパラパーな僕とは、真逆の人間である。


 妻の功績は、かつて路地裏の腐れ外道でしかなかった僕を、二十数年に及ぶ夫婦生活の中で、少なくともネクタイぐらいは自分で締められる社会人に仕立て上げたことではなかろうか。かつてタモリさんが赤塚不二夫氏の弔辞で述べた言葉じゃないけど、僕という人間は、妻が丹精込めて作り上げた作品なのであろう。妻がどう思っているかはさて置き、僕としてはそう思っているし、日々感謝をしている。


挿絵(By みてみん)


【長女】


 絵を描くのが異常に好きな14歳。ちなみにこれは、長女が僕をモデルに描いた曼陀羅。


 将来の夢は芸術家。5歳の時からの変わらぬ夢。現段階で将来やりたいことが明確で、日々それに向かって邁進していることは、我が子ながら素晴らしいと思う。普段は斜に構えたひねくれ女子だが、若くして夢が明確であるという点においては、純粋に尊敬をしている。


 長女の血液型は僕と同じB型で、性格や言動も僕に瓜二つなので、傍から見ていると、何と言うか、胸をギュッと締め付けられる思いとい言うか、何と言うか、せつなくなる。きっとこの子は、これから成長をするにつれ、かつての若き日の僕のように、いちいち悩まずともよいことを深く悩み抜いたり、あるいは人として悩まなければならない事柄についていっさい悩まない、というような珍奇な人生を歩むのであろうかと思うと、何と言うか、非常に頭が痛くなる。


挿絵(By みてみん)


【次女】


 次女は、妻に似ていると言えば似ているし、僕に似ていると言えば似ているし、親族の誰にも似ていないと言えば似ていない。「この子、どこの子だい? なんや知らんけど凄くかわいい」と僕が妻に尋ねると「ねえ、いったい誰の子かしら。何や知らんけど凄くかわいい」と妻は笑う。


 10歳ながら、メイクやファッションや美容にのめり込んでいて、机の上は百均のコスメだらけ。将来は美容関係の仕事につきたいらしい。性格、あざとい。女子力、めちゃんこ高い。隙あらば僕に甘えて化粧品を買ってもらおうとする。次女の交渉術というか、要するに可愛らしさに負けて、ついつい僕は言われるがままに買ってしまい、結局次女と二人で妻にド叱られるという始末。


挿絵(By みてみん)


【三女】


 フレンチブルドッグのウリちゃん。メス。6歳。猪年にやって来たからウリちゃん。普段はマイペース。基本的に無駄吠えをしない大人しい子。だけど一度興奮のスイッチが入ると、暴れ回ってしばらく手が付けられなくなる。


挿絵(By みてみん)


【四女】


 妻の母。僕の義母。これは長女が、義母が妻から耳かきをされているひと時を描いた水彩画。


 義父亡き後、すぐに末期の食道癌であるということが判明し、我が家に引き取った。僅か数ヶ月という余命宣告もされていた。家族での話し合いの末、延命治療はしない。抗癌剤で癌の進行速度を遅くする程度の治療を要望。残された時間を家族と一緒に怒涛のように楽しんで過ごすことに決めた。


 ところが、である。宣告された時期を過ぎてもピンピンしているのよね。それどころか日増しに元気になっているような気がすんの。食欲も家に来た時よりも増えているしさ。ドクター曰く「この健康状態は異常。何かがおかしい」ってんで、あらためて精密検査を行った。


 奇跡は起きた。検査の結果、義母の癌は消えていたのだ。食道のみならず、他の場所への転移も一切確認出来ないとのこと。びっくらこいた。おでれーた。嘘みたいな本当の話。ドクターも「このような事例は、資料として読んだことはあるが、実際に経験するのは長い医者人生で初めてです」とのこと。恐らく、抗癌剤が神がかり的に効果を発揮したのであろうとのこと。「あれ、お義母さん、死ぬんじゃなかったの?」「ねえ、これじゃあ、まるで死ぬ死ぬ詐欺じゃん」なんつって、妻と共に、不謹慎な突っ込みをひとつふたつ。


 素人ながら僕の見解としては、抗癌剤の効果プラス、義母がノンストレスで生活をしていたことが今回の奇跡の要因ではないかと思っている。医療ストレスは可能な限り回避し、食べたいものをお腹いっぱい食べ、最後の旅行と称して幾度も幾度も旅行を楽しみ、毎日仲の良い自分の娘や愛する孫との女子トークに花を咲かせ、毎日お腹がよじれるほど爆笑をして、好きな時間に大好きな韓国ドラマを観たいだけ観て、毎日疲れ果てて泥のようにぐっすり眠る。そんな生活が癌を蹴散らしたのかもしれない。てか、この話については、いずれあらためて書きたいな。


挿絵(By みてみん)


【長男】


 エキゾチックショートヘアのダリくん。オス。4か月。サルバドールダリの絵画のような顔面をしているからダリ。もともと僕が猫好きだったということと、もし義母が死んだら恐らく女子軍団が途方も無いロスに見舞われるであろうと思い、その予防策として半ば強制的に僕が我が家に招いた子猫。まあ、実際のところ、ばあちゃん死ななかったし、今では、当のばあちゃんが家族の誰よりもダリを溺愛している。


挿絵(By みてみん)


 いたずら小僧。僕が酒を飲んでいるとグラスを舐めにくる。


挿絵(By みてみん)


 普段は隙あらばちょっかいの掛け合いをしている2匹の、珍しく仲の良い貴重な1枚。


挿絵(By みてみん)


【次男】


 ジャンガリアンハムスターのアメ。オス。3歳。雨の日に我が家にやって来たからアメ。長女が小5の時のお年玉で我が家に招いた鼠くん。ジャンガリアンハムスターで3歳ってのは、かなりの長寿らしい。先代のフレンチブルのモモちゃんも16年生きたし、末期癌のはずだったばあちゃんも健在だし、どういう訳か、我が家にくるとみんな長生きをする。


挿絵(By みてみん)


 写真撮影のために初顔合わせ。急接近の2匹。意外に仲が良くて驚きましたよあたしゃ。


挿絵(By みてみん)


【ぽっくん】


 わーい。


 以上のような爆裂家族の爆風に吹っ飛ばされながら、それでもなお懸命に家屋にしがみつき、でもなんつーか、ぶっちゃけささやかながらもケッコー幸せな毎日を過ごしている者です。それではみなさん、バイなら、バイなら、バイなら。



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― 新着の感想 ―
忙しくて見逃し配信だった。 お義母様どうされたか心配しておりましたので、お元気になられたようで一安心しました。 癌が消えた方のお話し、二人目です。 笑って過ごすチカラが優ったんですね。 良かったです…
すごくすごく素敵なご家族ですね(´ω`*) 書きたいこと沢山ありますが、とにかく長女ちゃんのイラストがうますぎて……!! 本当にすごいです。将来楽しみですね。 そして義理のお母さまのお話、単発エッセイ…
 寝る前にこういうほんわかしたエッセイが読めて幸せです!
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