告白(2)
「もし付き合ったとしても、直哉君が幸せにならないよ。私は直哉君が、その、好きだから付き合えて幸せだけど……」
最初は一生懸命に言葉を紡いでいたが、段々と自分の言葉に照れ始めたのか頬を染め声は小さくなり俯く彼女。病室のベットでほぼ過ごす彼女は、一般的な女子高生と比べて肌は陶器のように白く線がとても細い。
俺のように運動部でない男子でさえ軽く手を掴んだだけで、骨が折れるくらい脆く感じ掴まれた跡が赤く残ってしまいそうなほど細すぎる身体。それが如何に過酷で、俺たちの想像を遥かに絶するほど辛い治療を小さな頃から受け続けてきたのか、一目で分かってしまう。
「栞、俺は栞が好き。だから、栞と付き合えるだけで俺は幸せなんだよ?」
そう幼子に言い聞かせるようにはっきり言えば、ビクっと肩を揺らしてハッとした表情を俺に見せる。
「だけど……! 私は普通の子とは違う。デートだって外出許可が必要で簡単に行くことは出来ないし、直哉君が望むことを全て叶えることは出来ない。きっとそんな子といたって、直哉君は幸せにはならない! それに、私はいつかは居なくなるんだよ? そうなった時、直哉君は……」
――ああ、やっぱり。優しい彼女は、俺の恋愛観を覚えていてそんなことを心配していたのか。
それは確か、栞から少女漫画でこの場面に胸キュンしたとか、この展開は予想外だったとか、くるくると表情を変えながら楽しげに話していた時。彼女に、どんな恋愛をしたいのか質問され、俺は好きな人と歳を重ねて生きていたいと話したことがあった。そんなことを言ったせいで、彼女に要らない心配をさせてしまった。
捲し立てるように興奮し、今のですっかり息が上がってしまった彼女を落ち着かせるように、ギュッと優しく抱き締める。驚く彼女に、
「栞は心配しなくていいんだよ。そんなことはさ、栞を好きになった時から考えていたんだ。だけど栞と出会って栞を好きになって、俺の恋愛観は変わったんだよ。ただの友達って言う立場じゃなくて、俺は栞と付き合って最期まで傍にいたいって思うんだ。だってそのくらい栞のことが好きだから」
彼女に伝わるように、丁寧に言葉を選び愛を伝える。すると彼女に俺の想いが伝わったのか、ゆっくりと首を動かして頷きよろしくお願いしますと目を真っ赤にしながら頭を下げた。
そんなやり取りがありながらも晴れて俺たちは付き合うこととなり、彼女のお母さんにその旨を伝えた。彼女のお母さんは、それを聞いて何度も何度も俺に感謝を述べた。
「ありがとう直哉君。願いを叶えてくれてありがとう。本当にありがとう」
「おばさん、お礼を言うのは違いますよ。俺はおばさんがお願いしたから、彼女と付き合った訳ではありません。俺自身が彼女と付き合いたかったから、告白しただけなんです」
けれど、彼女のお母さんのお願いを叶えるためではないということはきちんと伝えておいた。




