黒猫の号哭
崩れた心の傷は癒えず、瘡蓋もできない
表面では嘘笑い
故に誰にも気づかれないSOS
船を求めても、助けを呼んでも小さく鳴く声に振り向く顔はない
周りの席は空席で、慕われることもない
鳴き方を知らないまま壊れていく
いずれ助けてもらえるなんて戯言は我儘
息のできないこの世界で野良猫に住処はなくて
黒猫は今日も泣く。泣き方も知らず、声を飲み込む
捨てられて嫌われて、間違いにも気付けなかった。
求めたければ待つのではなく、自分からいかなければない
あの明かりのもとで眠る猫とは違うのだから
黒猫は、忌者なんだから
息苦しさとめまいの連続
力尽きた心体は起き上がることすらできなくなり、ひたすらに眠りを強制させる。
闇色に染まる視界と、モヤで見えない心。
黒猫は今日も、生を強制させられる
背中に刺さる無数の矢を隠す
お面で作る満面の笑みで平気者のフリをする
明日も苦しみを背負い、黒いモヤのかかる闇と戦う
逃げることも死ぬこともこのセカイでは許されないから
背中を押す手より肩を抱き寄せる手がほしい
虹を待つより傘がほしい
嫌われてない感覚がほしい
欲張りな黒猫は、アメを求めて夜通し歩く
食べて寝るという当たり前さえ今は恋しい
狭まる視界とめまい
100の力で20しか吸えない空気
黒猫は不信
黒猫は人混みが嫌い
黒猫は行きてて良い理由を見つけたい
黒猫は誰かに拾われたい誰かに抱きつきたい
黒猫は今辛くて泣いている
数週間前、夜道をともだちと歩いていたら野良の黒猫に会いました。鳴いてこなければ私達は気づきませんでした。助けを待つのではなくて、自分から求めなければ行けないんだと思いました。