21 両手持ち用の杖は手伝いをする
…………あれ? ここどこだっけ?
……あ、そうだった。
今ラーダさんの館に泊めさせてもらってるんだったわ。
一瞬忘れとった。
うーん……まだ昨日の疲れが取れない。
「メルアちゃん、ご飯ですよ」
扉が開かれラーダさんがそう言って来た。
「あぁはい!」
急いで支度して扉を開けたが……
「どこ行ったら……食べれんの?」
ヤバい、何処に行きゃあいいんだ?
分からん。
この館意外と広いし。
だがこういう時に使う魔法がある。
【探す者】
やっぱこれだよな。
「【探す者】!」
ラーダさんを思い浮かべながら発動する。
「…………右か」
そしてそのまま感覚の通りに歩いていった。
「あら、案外早いわね」
「なっ、一体どうやって!?」
そのまま席に座り食事をしようとしたら……
「ずるしたな!? じゃなきゃこんなに早く来れるわけがない! 壁を壊したのか!? じゃあ今すぐ直してこい!」
隣の奴がすげぇうるさい。
「やめなさいマーダ、彼女は自分の力でここまで来たわ」
そうラーダさんが言うと渋々座った。
「あの……なんで彼女はずるとか言ってきたんですか?」
ずると言われても何が何だか分からない。
ただ歩いてここに来ただけなのに。
「ああごめんなさいね、実は初日にこの食堂に一人で来させるのはテストみたいなものなの。ほら、昨日マーダが言ってた様に私は強者にしか何かを与えないのよ。だからここに泊まった人達にはみんな初日にやらせるの。本当に強いかどうかを確かめる為に」
へぇー、そーゆー感じなのか。
……それ強者関係あるかなぁ……?
でもそれを言ったらなんか殺されそうな気がするから言わないでおこう。
「それで貴方は今までやってきた人達の記録を大幅に更新したわ。だからよ」
いやぁー、こっちには【探す者】があるんでぇ。
「では、ちゃんとご飯を食べて」
「はい!」
出されているものを見る。
The・洋食である。
トーストにハム、バターなど。
うん、シンプルイズザベストってやつだ。
「それでメルアちゃん、昨日やって欲しい事があるって言ったの覚えているかしら?」
あー、なんかそんな事言ってたなぁ。
「覚えてます」
「その内容なんだけど……」
それの内容を聞いた瞬間、やっぱ世界優しくねぇわと思った。
「マーダと共に私の手伝いをして貰いたいの」
「ブフゥゥゥ!?」
「うわぁ!?」
おいマーダ! 私に紅茶を吹きかけるんじゃない!
「ゲホッ、ゴホッ、マママママスター!? 今なんて言いましたか!?」
「貴方と共に私の手伝いをして貰いたいと言いました」
「何故ですかマスター!?」
えぇ……私とやるのはそんなに嫌ですかい?
「メルアちゃんの魔法の力を見たでしょう? 貴方の魔法よりは強いです。それに貴方達は仲が悪いようですし、私の手伝いを通じて仲良くさせようと思ったからよ」
あれ? マーダ? おーい…………ハッ! 死んでるッ……!
でも確かに嫌いな人が自分より何かが優れていると言われたらこうもなるか。
しゃーない。
「メルアちゃん、頼みましたよ?」
あっ、圧が凄い……。
「分かりました……」
「では私は自室に戻るから。10時頃に手伝いをして貰うわ」
そう言ってラーダさんは自室へと戻った。
「はっ!?」
マーダが生き返り、朝食を物凄いスピードで食べる。
そしてこちらを向いて
「ほはへよひははひほほうはへふはいへひふははは!」
と叫んで出て行った。
えぇ……今なんて言ったの?
話すなら口の中のもの全部飲み込んでからにして欲しい。
マジで分からなかった。
ま、取り敢えず私も自室に行きますか。
そう思い自室へと戻った。
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「メルアちゃん、手伝いをして貰えるかしら?」
「分かりました!」
さぁて来たぞぉ、ラーダさんのお手伝い。
急いでラーダさんについて行く。
着いたところは変な薬品や大釜といった感じのこれぞ魔法部屋というような物が沢山あった。
「それじゃあ手伝って貰う内容だけれど」
「はい」
「ウウレオ草を10本とレギナの羽を3枚取って来て」
……やべぇ、どんなものを取ってくればいいのか分からない。
「ん? どうしたの?」
「えと……それなんですか?」
「貴方、ウウレオ草とレギナの羽を知らないんですか?」
「はい……」
いやぁー困ったな。
てっきりお茶を持ってくるとかその辺りだと思ってたのに……。
素材を取って来いっていうのは出来ないや。
「マスター、私ならそれを取ってこれます」
奥の方にいたマーダがそう言った。
「では頼んだわ」
「はい!」
マーダは猛スピードで館を出た。
さて、ラーダさんに聞いてみるか。
「ラ、ラーダさん」
「なんです?」
「そのウウレオ草とレギナの羽、作る事なら出来ます」
「え?」
分かんなくても私、『生成杖』持ってるからもうその場で作れちゃうんだよね。
だからそれを使っても良いのかというのを質問したかった。
「本当に? 作れるの?」
「はい」
ラーダさんは驚いた表情になった。
「ならばやってみて」
そう言われたので『生成杖』を取り出してウウレオ草とレギナの羽という単語を思い浮かべながら生成する。
そしてきっかり三分で〝二つとも〟できた。
いやぁーこの前この仕様に気づけてよかったわ。
ゲームで言う一括作成が、この『生成杖』でも出来るのだ。
マジでこれ一回の生成で複数生成出来るから便利だわぁー。
勿論生成する物が増えたら消費MPも比例して増えるけどね。
「へぇ……やはり貴方は凄いわね」
そう言って生成したウウレオ草を眺めている。
「ありがとうございます」
そう言ったと同時に扉が思いっきり開かれた。
「マスター! 戻りました!」
「あらマーダ、戻って来たの?」
「はい! しっかりウウレオ草10本とレギナの羽3枚取って来ました!」
「ならそれも使いましょうか」
「あれ? メルアも取って来たんですか?」
「いえ、メルアちゃんはその場で作り出しました」
「うえぇ!?」
ふっふっふ……どうだマーダよ。
私はお前よりも早く届けれたぞぉー。
「そんな馬鹿な!? 生成魔法って……」
「ええ、本当に極少数の杖でしか出来ないものですね」
「まさかメルアは……」
「その杖を持っていました」
「…………えぇ……」
この杖そんな珍しい物だったの!?
これ売ってたあの武器屋凄すぎでしょ……。
マーダがラーダに素材を渡してこっちに近づいて来て
「次は勝つ!」
そう言って自室へと戻った。
……勝負してたつもり無いんですが?
マジか、向こうは勝負のつもりだったのか……。
まあ、勝負ならそのぉ〜。
勝ちたいよね。
ガキか? と言われてもいい!
やっぱ勝負には勝ちたいのだ!
よし! 次も本気でやろう。
「はぁ〜……メルア、この大釜に入っている棒をゆっくりかき混ぜておいてくれる?」
「分かりました」
そう言ってラーダさんはどこかへ行ってしまった。
「はぁ〜」
とため息を吐きながらかき混ぜる。
見た目は……ジャイ◯ンシチューである。
謎の粘り気と怪しすぎる色、そして悪臭。
これ何!? マジで何!?
絶対人に害があると思うんだけど!?
ちょっと【見る者】で見てみるか……。
《名前:ヤベェーやツ
効果:使用すると恐らく死ぬ》
説明曖昧だな!
恐らくってなんだよ!
でも死ぬ可能性あるのこれ!?
マジでヤバいヤツじゃねぇか!
私本当に今何をかき混ぜてるんだよぉ!
すると床が軋む音が聞こえたラーダさんが帰って来た。
「ちゃんとかき混ぜてくれた様ですね」
「はっ、はい」
「ん? どうしましたか?」
「これ……何ですか?」
ラーダさん……信じたくは無いけどもしや裏社会的なのと繋がってる……?
「それは今の状態で使用すれば死ぬだけですが、そこに別の毒薬を加えると回復薬になるのです」
へぇ〜、そんな感じなんか。
毒を持って毒を制すのガチバージョンじゃん。
「貴方はもう休んでていいわ」
「分かりました」
自室へと戻りベットに横になる。
ふぅ〜……
……何しよう。
多分出かけても良いよな?
そう思い扉の前に行った……が
「どうやったら外に出られるんだろ?」
この扉を開けてもこの館の庭に出るだけでミンジャー町に出られる訳では無い。
ラーダさんに聞いてみよう。
「ラーダさん」
「なんです?」
「ミンジャー町に行くにはどうしたら良いんですか?」
「…………今は忙しいからマーダに聞きなさい」
はぁ〜、ラーダさん、私をマーダと話させたいのは分かるけど今行ったら仲悪くなるだけだって……。
でも行くしかない。
ミンジャー町行きたいし。
という訳でマーダの部屋へと向かった。




