8:冒険者になるために街を訪れてから一週間(七話)、お金で周囲にマウント取って女の子とイチャイチャしかしてないぞアシュリーくん!
いい加減に冒険者になるので初投稿です
「――つっ、次は氷獣フェンリルの骨から作られたという『氷の魔剣』! こちらは非常に希少なため、500万ゴールドから開始です!」
「510万!」「515万!」「530万!」
狂乱に包まれるオークション会場。
凄腕らしき冒険者たちが、冷や汗をかきながら値を叫んでいく。
だがすまないな。俺は未来の英雄として、良さそうな装備は全て掻き集める気なんだ。
というわけで、
「1000万出そう。さぁ、挑む者はいるか?」
『ッッッ!』
一斉に黙り込む冒険者たち。
彼らとはよそに、司会者のほうは「ふぉおおおおー---っ!」と興奮の叫びを上げていた。
どうやら彼は司会者兼オークション主だそうで、俺が元値の倍近い数字を言うたびに、ビックンビックン震えていた。儲かってよかったね。
「落札ッ! 落札ッ! 今日出品した『極東の名刀』も『筋力強化の腕輪』も『大容量アイテムポーチ』も『炎の魔剣』も『氷の魔剣』も、この方のモノです! さぁ、商品受け取りのために舞台へッ!」
司会者に従い、銀髪メイドのカグヤを連れて壇上に上がる。
美少女を従えていることもあってか、冒険者たちから嫉妬の視線が飛んできた。
やれやれ……冒険者とはいずれ偉業をなし、英雄になる存在。それがヒトをやっかむなど笑止千万だ。
俺はキリッッッとした顔で彼らを見渡すと、堂々と名乗り上げる。
「俺の名はアシュリー・ベルベット。後日、冒険者になろうと思っている。その時はよろしく頼むぞ、先輩方?」
◆ ◇ ◆
「主殿~! 無事に全部買い取れたでござる~!」
「あるじどのー!」「あるじどのあるじどのー!」「褒めてー!」
屋敷に帰還後。
チビ黒犬のマメコちゃん率いる隠密部隊が駆け寄ってきた。
ちなみに、すでにメイド服から黒づくめ衣装に着替えてしまっていた。見れなくて残念だ。
「よしよし、よくやったぞお前たち」
「あふぅ~!」
彼女たちをなでなでしながら、今日の戦果を確かめることにする。
すでに屋敷の一室には、俺が回収してきたモノ以外にも、様々な武器・アイテム類が並べられていた。
それらの中から、側に仕えていたカグヤが刀を手にする。
「これはなかなかの業物だな。ご主人様よ、私がいただいてもいいだろうか? いざという時に使いたい」
「あぁ構わんぞ」
ウキウキ笑顔で刀を腰に差すカグヤさん。「昔から刀を振り回すのが趣味だったのだ」と彼女は言う。すごい姫様だなぁ。
「主殿! 拙者たちには、懐に仕舞えるようなナイフや短刀類を頂ければ!」
「よし持っていけ」
わーいとあれこれ取っていくマメちゃんズ。
ちっちゃな女の子たちが刃物を手にする光景は何ともアレだが、まぁ喜んでくれているようで何よりだ。
「さて。俺もあれこれ身に付けるとしよう。色々と物が収まるアイテムポーチも買ったし、常に複数持ち歩くのもありだな」
武器を切り替えて戦うスタイル、なんともカッコいいじゃないか。
今からワクワクしてくるぜ。ふふふふふふふ……!
内心でニヤつく俺に、ふとカグヤが「そういえばご主人様よ」と問いかけてきた。
「壇上で『冒険者になる』と言っていたが、どういう意図があって?」
「意図だと?」
わからないか?
「俺はいずれ英雄になる男と、常々言っているだろう? そのためには冒険者となり、様々なダンジョンや危険地帯に向かい、人に仇なす存在を滅殺するのが一番だ。
そうやって平和を守り、人々から信頼を得てこそ、初めて英雄と名乗れるのだ」
そう説明すると、カグヤさんは感心した表情で「平和を守り、人々の信頼を……なるほどぉ……!」と頷いた。マメコちゃんのほうも「すべて理解したでござる……流石は主殿!」と褒めてきた。
ふふふ。俺の『尊敬されてこそ英雄理論』、納得してくれたようで何よりだ。
「ふむふむぅ。冒険者という存在なら、いくら武器を掻き集めても……よし! それならば私たちも冒険者になろう!」
「拙者たちもでござるっ!」
おおっと! 俺の話を聞いて英雄に憧れたのか、カグヤさんも冒険者デビュー宣言だ!
マメコちゃんたちのほうは元々冒険者になる気マンマンだったからな。お姫様と一緒に夢を追えると知って嬉しそうだ。
これは明日が楽しみだなぁ!
※なおヒロインズ、もちろんロクでもない理解をしている模様(次回)
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