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6:悪の親玉、アシュリーくん!(無自覚)

はじめて小説書きました!




「……本当はな、自分一人だけが戦えればいいと思ってたんだ……」


「なんですとっ……!?」


 その瞬間、マメコたち隠密部隊は『そんなの無茶だ』と思った。


 ――凛とした少年、アシュリー・ベルベット。

 自分たち亜人種を救い出してくれた大恩人である。救われた当初は懐疑的だったものの、祖国の姫君『カグヤ・マガテラス』と再会させてくれた時には、悪感情など一切吹き飛んだ。

 そしてカグヤから伝えられた、アシュリーの容赦なき『経済破壊計画』。【無限にお金が出るサイフ】を用い、亜人種たちを救いながら国の資本を滅茶苦茶にする作戦を考えていると聞いた時には、なんと凄まじき反逆者なのかと畏怖したものだ。


 そんな彼が今、眉を下げて、申し訳なさげな顔をしていた。


(この人いま、自分一人で戦えればって……)

(それって、『国』とだよね……!?)

(そんな無茶な……)


 災厄のごときサイフがあろうが、一人で国に挑むのは無理がある。

 仲間を集めて当然だ。それなのに、どうしてそんなに申し訳なさそうにするのかと、マメコたちは理解できなかった。

 そんな彼女たちに、アシュリーは言う。


「(国家への反逆は)危険な道だ。お前たちのような美しい少女たちが歩むには、あまりにも苛烈に思える。

 こんな道に身を捧げていいのは俺のような命知らずだけだ……お前たちには普通に幸せになってほしいと思う」


「っっ……!」


 その言葉に、マメコたちは理解した。

 今この少年は、自分たちを危険に巻き込んでしまっていることを恥じているのだ。


 

(そういう、ことだったんだ……)

(私たち、隠密部隊のことを……)

(この人は女の子として扱って……)

 


 ――幼い頃から厳しい修練を受けてきた隠密部隊『影犬』。


 いざという時に身元が割れず、何より祖国への絶対の忠誠を刻み込むために、彼女たちは赤ん坊の頃に捨てられた者たちから構成されている。


 それゆえ、誰かに身を案じられた経験はほとんどなかった。

 そんな彼女たちにとって、同世代の凛々しい少年から身を案じられることは、なんともこそばゆく……そして。


(嬉しい……! この人は、影の仕事である私たちのことも心配してくれてる……!)


 彼女たちの心が華やいだ。

 男として、女の子を危険には巻き込みたくないと。そうしてしまった自分が情けないと……。そんなどこにでもいるような少年じみた優しさからくる後悔を、彼は感じてくれているのだ。

 なんといじらしく、そして温かな気持ちにさせてくれるのか。


 この人に救われてよかったと、中には涙ぐんでいる者もいた。

 隠密部隊の忠誠心がグングンと跳ね上がる。『恩義を返すために尽くす』という考えが霧散し、『この人にこそ仕えたい』という想いが溢れ出していく。


 

「だがしかし。お前たちの胸に真なる闘志があるならば、それを無下に出来るわけがない……!」


 

 やがてアシュリーは決心した表情で、黒革のサイフを取り出した。

 そこから溢れる金貨の山。それを前に、我らが主君は言い放つ。


「さぁ戦士たちよ。好きなだけ使い、装備を揃えろ。命尽きる最後の時まで、共に同じ夢(国家転覆)を目指そうじゃないか!」


『はッ、ははぁッ!』


 万感の思いを込めて頭を下げる少女たち。

 かくして彼女たちは燃えるような忠誠心を胸に、アシュリーのために動き始めるのだった。

 

 

 

 なお。


「……ビックリだなぁ。みんな冒険者に憧れてたのか~」


 立ち去っていく少女たちを見ながら、アシュリーはのほほんと呟いた。

 

 断言しよう。この男はアホである。

 彼女たちが冒険者ではなく反逆者を目指していることも知らず、「好きな武器を買って来い」と何の気もなく送り出したのだった。


「みんながんばれよ~っと。よし、俺もどっかのオークションに出るとするかぁ」


 黒革のサイフでお手玉をするアシュリー。

 ……自分が国家の破壊を目論む『悪の組織』のボスになりつつあることも知らず、彼はのんきに街へと歩き出すのだった。

 



 



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[良い点] 頭脳戦?頭突きかな。
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