3:金で買ったヒロイン
初投稿です!
「くっ、ゲオルギス帝国のクズどもめ……!」
オークション会場の舞台奥にて。
二本角を生やした銀髪の美少女・カグヤは、帝国への怒りを募らせていた。
――『ゲオルギス帝国』。それは純正の人間たちだけで構成された一大国家だ。
彼らは魔物の血が混じった人種『獣人』『翼人』『竜人』などを総じて差別し、その者たちの国へと侵略をかけてきた歴史を持つ。
カグヤの故郷『マガテラス』も、帝国によって滅ぼされてしまったのだった。
「私は屈しないぞ……。たとえどんな目に合おうと、いつか復讐してみせる……!」
マガテラスの姫君・カグヤは憎悪に燃え上がる。
あられもない姿で檻に閉じ込められている彼女だが、心は決して折れていなかった。
たとえこの先、どのような下衆に買い取られ、清き身を汚されることになっても。
それでも魂だけは屈しないと、銀髪の姫君は決意を滾らせるのだった。
そんな時だ。
「おっ、おい、目玉商品のカグヤを運び込め! 値段は……一億でいいっ! あの坊ちゃんなら買ってくれるぞッ!」
オークション主の興奮の声が響く。
すぐさま仮面の男たちが駆けてくるや、カグヤのことを引っ張っていく。
「くっ、離せゴミども!」
罵声を放つ彼女だが、男たちは何も言い返さなかった。
まるで何かに困惑していて、それどころじゃないといった様子だ。
「む……?」
先ほどのオークション主といい、一体何があったのか。
やがて司会者と客たちの姿が見える、舞台袖まで来ると……。
「異国の女戦士たちだと? よし、8000万ゴールドでまとめて買おう」
「おぉー--------っとッ、少年のお客様がまたまたデカい値を出したぁー---っ! さぁ、他に張り合える人はいないか!? いないかぁ!?
いないなら……ここで決着です!!! またしても彼に商品を奪われたぁあああー------!」
狂乱する司会者と、絶叫を上げる客たちの姿が目に入った。
『またかぁぁあああああー--------!』
地団太を踏む仮面の客たち。
そんな中、少年と思しき一人の者だけが、凛とその場に立っていた。
彼はいかにも高そうな黒革のサイフを取り出し、ひっくり返すと、
「さぁ、まだまだ金は山ほどあるぞ。さっさと商品を出すがいい」
――次の瞬間、山のような金貨がサイフからジャラジャラと溢れ出した。
その圧倒的な光景に、客たちが悲鳴のような声を上げる。
「クソッ、アイツまだアレだけの金貨を!?」
「あのサイフ、容量を無視して仕舞えるアイテム『マジックボックス』の類か……! あれだけの質量を収めれるなんて、国宝級の代物じゃないか……!?」
「なんだあの少年はっ、どこの大臣の息子なんだ!?」
下劣なる客たちが――その正体は名だたる貴族である彼らが、たった一人の少年に気圧されていた。
まさに彼の独擅場だ。あれだけの金貨をブチ撒けておきながら、まるで平然としている彼を前に、誰もが唖然とする。
一体あの少年は何なのだと、カグヤもまた瞠目した。
「司会者よ。次を出せと言ったはずだが?」
「ハッ、ハィイイッ! えっーでは次の商品は、極東の『鬼族』の姫君、カグヤ・マガテラスになります! お値段は一億ゴールドからでぇ……!」
完全に腰が引けた様子の司会者。彼に対して、仮面の少年は言い放つ。
「三億出そう。彼女の命は、俺のモノだ」
ヒ ロ イ ン を 金 で 買 う 主 人 公 。
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