12:死ね!!!!!!!!!!アシュリー君!!!!!!
キーボードにお茶こぼれて壊れたので初投稿です
「いくぞ、カグヤ、マメコ!」
ダンジョンに潜った俺たち三人は、さっそく戦闘を開始した。
遭遇した数匹のゴブリンに向かって一斉に走る。
「一番槍は拙者が務めるでござるっ!」
チビ犬のマメコちゃんが加速する。彼女は壁や天井さえも足場としながらゴブリンに迫り、すれ違いざまに短刀一閃。一匹の首を切断した。
流石は隠密部隊のリーダーだ。あの動きは俺にはできない。
「アシュリー殿、今度は私が実力を見せよう!」
次は鬼姫のカグヤが飛び出す。
彼女は低く身をかがめると、ゴブリンどもと接触する瞬間に刀を抜いた。
極東の剣技『居合斬り』というものか。気付いた時には、複数のゴブリンが真っ二つとなる。
『ゴブガァァア!』
狂乱状態になるゴブリンども。残ったやつらは“あの女どもには敵わない”という目で従者二人を見ると、一斉に俺へと駆けてきた。
やつらの口元がニヤリと歪む。あぁ、今の俺は腰に剣も差してない状態だからな。丸腰の相手と油断したんだろう。
だが悪いな。
「現れるがいい、『炎氷の双剣』よ」
命じた瞬間、左右の手に『氷の魔剣』と『炎の魔剣』が出現した。
それを見たゴブリンたちが驚愕する。
「魔道具職人にスーツを3000万で改造させてな。希少な『アイテムポーチ』をいくつも素材にすることで、どこからでも武器を出せるようにしたんだ」
スーツ自体が大容量のアイテムポーチになっている感じか。
それゆえ剣を腰に差すどころか、ポーチを漁って武器を取り出す必要もない。
たとえ奇襲を受けても、即座に対応できるってわけだ。
『ゴガァッ!?』
「悪いが、試し切りさせてくれ」
魔剣を両手にゴブリンどもを斬っていく。
俺の剣の腕前は高くない。村にいた時に何年か自主練していたが、実戦は今日が初めてだからな。
しかし俺が未熟な分は、剣の強力さが補ってくれた。
炎剣が掠っただけで相手は燃え上がり、氷剣に触れようものなら身体が凍って砕け散る。
『ゴガァァアア!?』
結果、ゴブリンの群れは瞬く間に全滅。
俺たちは初勝利を手にしたのだった。
「やったでござるな、主殿!」
「よい太刀筋だったぞ、アシュリー殿!」
駆け寄ってくる二人に、「ありがとう」と微笑を浮かべる。
武器の性能によるごり押しにも近かったが、それでも無傷で勝利できたのは俺の実力か。
ここは素直に喜ぶとしよう。
「どうせなら、他の魔剣や聖剣も試したいところだな。まぁ一度に使えるのは二本までだから、全部試すのにどれだけかかるかわからないが……」
「何十本も買ったからなぁ、アシュリー殿」
そんな話をしながら、ダンジョンの奥地に向かっていく。
今日受けた依頼は『モンスターを百体倒せ』というものだ。種類は問わないが必要数は多いため、どんどん狩っていかないと日が暮れてしまう。
ちなみに依頼書自体に契約の呪術がかけられており、任務を達成すれば依頼書に合格印が浮かぶようになっている。便利だってばよ。
「さぁ、どんどん行こうか」
「「おーっ!」」
そうして三人で歩いていた、その時。
「――よぉアシュリー様。ずいぶん調子がよさそうじゃねえか」
曲がり角から、数十人もの冒険者たちが現れた。
彼らは下卑た笑みを浮かべながら、こちらに近づいてくる。
なんだこいつらは?
「俺のサインが欲しいのか? いいぞ」
「ってちげぇよッ! 有名冒険者ならともかく、新人のテメェのサインなんかいるかよ!」
ああ、そういえば俺って新人だった。
まぁ俺は昔から「身体の成長は早いな」ってお父さんに褒められてきたから、たぶん明日には最底辺のブロンズ級からゴールド級くらいにはなってるかもだけどね。
今からサイン貰っといたほうがいいっすよ?
「ふざけた野郎だ、ブッ殺してやる……!」
そう言うと、俺のサインを拒んだ男は剣を抜いてきた。
「オレ様はゴールドランクの冒険者、モーガン。オメェを殺す男の名だぁ……!」
えっ――俺殺されるの!? なんでぇ!?
・散々お金持ちアピールしまくってヘイト稼いだ末に死体の残りづらいダンジョンに潜れば狙われるのは当然だよ、アシュリーくん――!




