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英雄が世界を壊す~world regeneration~  作者: 七海玲也
第一章 少女の命と秘めた力
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chapter 17 神の加護と魔人

 スルト達が魔者と遭遇した頃、自由領域(アライサム)にも侵入者を告げる鳴子の音が響いていた。


「みんな! 隠れ家の方へ逃げて!」


 リリアは戦えない女子供達へ声をかけ、急いで逃げるよう促すとサキの方を見やった。


「あなたは戦えるんでしょ! なら私とここを守るわよ!」


「ご主人様の言い付けならば仕方ないわね。けど、貴女のことは守らなくってよ?」


「結構よ! 魔人に守られたなんて恥でしかないわ」


「それなら私は一人でやらせてもらうわ。この匂いは半数以上が人間だからね、楽しませてもらう」


「勝手になさい! 私は荒くれ者(ラファー)と共に戦うから」


 リリアは蛮族の者達が待ち構える場所に合流を果たすが、サキは独り離れて小高い丘の上で片手を腰に巻き、もう片方で顎の下に手をやると鼻と耳に意識を回した。


「匂うわね。同属の匂いもはっきりと。これはご主人様の読みとは違うってことかしら……。だとしたら、ここを片付けてご主人様の元へ向かった方が良さそうね。

 ただ、人間の半数は私一人でなんとかしたとしても……ってことかしら」


 サキの耳には兵士の鎧の音と足音が無数に聞こえ、人間だけでも大軍であることを知らしめていた。

 一方で蛮族は鳴子の位置を把握し、来るであろう木々の境目に陣取るとリリアにも声をかけていた。


「お嬢さんは下がりなさい。我々が食い止めてみせますよ」


「いえ、私も及ばずながら加勢致します。神の加護を施せますので、皆さんはお気になさらず」


「そうでしたか。我ら神の加護とは無縁の者、それでも受けられると言うのなら力強いことです」


「神は正義の名の下に平等に加護を与えます。この戦いは正義だと信じていますのでご安心を」


「皆のもの! 慈悲深き神はこの戦いを正義とし導いて下さる! 心して立ち向かえ!!」


 一人の蛮族の大声に、それを聞いた皆が手に取った武器を掲げ威勢を放つ。その時だった。魔者の咆哮と鎧の(きし)む音がはっきりと聞こえたのは。


「来るぞ! ここを守り抜け!!」


 木々を抜けて出たのは食人鬼(オーガ)の一団と数十頭の魔狼(ウォーグ)であった。

 魔狼が先陣を切るかのように蛮族に飛びかかると、それに応える形で各々の武器を蛮族達は振るい出した。


「これは……! 私の神秘術(カムイ)で。

 猛き戦の神ヴォルフよ、鋼の如き肉体は正義を示し、立ち向かわんとする者を護るべく強固と成す。我が祈りにて其の一部を貸し与えたまえ。猛き戦の神ヴォルフよ……」


 リリアの祈りが響くと蛮族の体は淡い光に包まれ、魔狼が咬み付いた首筋は致命傷にはならずに軽症で済んでいた。


「神のご加護だ! 恐れることは無くなった! 今が狩り時だ!!」


 蛮族が魔者への恐怖心を拭い去った頃、兵士達は横をすり抜け自由領域へと進軍を始めたのだった。


「やっぱりそう来るわよね。魔者を盾にしたこと後悔させてあげるわよ」


 サキは腰に巻いていた一本鞭(ウィップ)を取り出すと、(まと)っていた外衣(ローブ)を振り払い黒革衣(ボンテージ)姿になり鞭を一閃したのだった。


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