chapter 12 会合
スルトらは、シャーリーを先頭に森の隠れ家へ半ば連行に近い形で導かれた。三人を取り囲むように一時も目を離さず武器も構えたままで。
「おい、まだ着かないのか? いい加減堅っ苦しいんだがね」
「悪いわね。話を聞くとは言ったけど、信用するとは言ってないから。
それにほら、もう着いたわよ」
言われた先は木々が円を描くように広く開け、残された木々の上には家々が据えられ吊り橋で繋がれていた。
「なんとまぁ。良く出来てやがるな」
「ここには戦えない者も暮らしている。だからこそ住まいを上にし、逃げ道を確保しているのだ」
「地下に逃げるより上から安全にってな。
ここには蛮族だけがいるんじゃないのか?」
「蛮族達の住み処はもっと北よ。そこから戦える者を半数と、この国のやり方に疑問を感じた民が集って出来たのがこの自由領域。
この国の自由と平和を勝ち取る為の場所よ」
「聞いた話じゃあ反乱を企てる者が出てもおかしくないとは思っていたが……なんともまぁ小規模だな」
「人が多くなればその分被害も大きくなる。少数精鋭で国を取り戻すしかないのだ、民を守る為には」
「少数精鋭、ね。だがな、相手は魔者を率いる国だ。そんなんでいけるか疑問だな。
それに、オレに勝てないようだと先行き不安なこった」
「なんですって!?」
「まぁまぁ、冗談さ。それよりその蛮族は頼りになるのかい?」
「野戦に長けた猛者ばかりよ。彼らに会わせるわ、着いてきて」
半仮面の奥の眼光が鋭くなったが、シャーリーは気持ちを抑え彼らの元へ案内をした。
大木に架けられた木の階段を上り幾度か吊り橋を渡って行くと、入り口に動物の頭蓋骨が掲げらた異様な家が幾つかあった。その中の一つに通されると、そこでは北の蛮族『ラファー』と名の知れ渡った者達が、仮面を被り斧や得体の知れない武器を身構えていた。
「あんたらが北の蛮族とやらか?」
「いかにも。我らが荒くれ者よ。お主らはどうしてここへ来た? 返答によってはここが墓場となるが?」
「別に戦いに来たワケじゃねぇ。ただ単に力を貸して欲しいだけさ」
「我らが力をか?」
「良く言えばこの国を解放するのさ。その為にはあんたらの力が不可欠かと思ってな」
「この国のことを知ってはいるようだな。ただな、解放するという言葉は綺麗過ぎる」
「中々に鋭いな。だが、魔者から解放しようってのはウソじゃないさ」
「では、お主らの戦力というのはいかほどか?」
「見たままさ。オレとこいつらの三人」
スルトの応えはシャーリーにとって想定外で、目を見開き驚きの声を上げた。
「なっ! たったの三人でこの国と戦おうとしていたのか!?」
「ああ、最初はな。城に入り謁見さえ出来ればどうにでもなったんだが、それすらも叶わなかったもんでな。それでここへ来たのさ」
「――呆れた! 貴方の言葉など信じるに値しないわね!」
「まぁ、そう思われても仕方がないかも知れないな、あんたには。北の蛮族さんはどうだい?」
「……お主にはやれるというのだな?」
「ああ、やれる。必ずな」
「その言葉、信じようではないか」
「族長!!」
「シャーリー殿。彼らは強い。お主らの兵隊などとは比べものにならぬほどにな」
「しかし! 族長!! 彼らを信じろと!?」
「まぁ待て、シャーリー殿。そこの後ろに立つ女、人間ではないな?」
スルトの後ろでフードを目深に被り、顔を見せないようにしていたサキだったが、そこで視線が一気に集まるとスルトは注意を惹き付けるように大手を広げた。
「はっ、そんなとこまでお見通しってか」
「人間ではない!?」
「ああ、人間じゃあねぇ。オレの下僕ってやつさ」
「答えになっていない! 何者だ!」
シャーリーは勢いよくフードを剥ぎ取ると、少し照れたように頬を赤らめ俯くサキだった。




