chapter 11 説得
月明かりの元、剣と剣がぶつかり合い小さな火花が鮮明に弾ける。
「シャーリーとか言ったな! 中々の剣技だ」
「何を上から目線な! 魔者のみならず女子供まで連れた者を寄越すとは!」
「おいおい、こいつらのことはさておき魔者を使役してるってのは本当のようだな!」
互いに川の流れに足を取られないよう激しい動きは出来ないが、一進一退の剣撃を見せていた。
「噂ぐらいは聞いているはずだ! それなのに従いここへ来たのであろう!?」
「噂ぐらいはな! だか、生憎オレは誰にも縛られることはないのでな」
「そんな分かりきったことを!!」
スルトは傷つける気がないのかシャーリーの剣筋を見切りながら軽くいなしては笑みを浮かべていたが、鳴子に使われていた縄を引っ張られ足を掬われ川に浸かる羽目になった。
「勝負あったな! 色々と話してもらうぞ」
「そいつは安易だなっ」
シャーリーの振り下ろす剣はスルトの肩を目掛けていたが、水面下で足を払われたことで二人とも川に浸かる姿勢になった。
「はははっ! まだやるってのかい?」
「な! 何を!!」
スルトは川の中で座る姿勢ながらも、剣を振るうシャーリーを嘲笑い剣を弾いている。
「お前じゃオレに勝てない。それでもまだ続けるのかい?」
「私は負けていない! 貴様らは必ず追い返す!」
「そうかいそうかい、聞く耳持たずってやつか。だったらやるしかねぇよな!」
スルトは川の流れに沿うように仰向けで勢いをつけると一瞬でシャーリーとの距離が取れ、そこで互いに立ち上がると膠着状態になるかと思われた。
「退く気はないのね?」
「あんたらがオレらの話を聞くまではな」
「私達がいなければ国の民が苦しむわ! だからこそ貴方達のような者は排除しなければならないのよ!」
「言っても分からねぇようだな。だったら黙らせるしかない、ってな」
言い終えると同時に近くの岩に片足で跳び移るとその勢いのままシャーリーの肩口に跳び蹴りを放つ。その素早さに体勢の崩れたまま剣の腹で受け止めたが、勢いを止められずに縺れる形で川に沈むことになった。
「ぷはっ! 奴は!?」
姿の見えないスルトに焦りを感じたシャーリーは後ろから剣を持つ手を捻り上げられ、剣を落とし苦痛の声を上げた。
「これでどうだい? あんたらの命を取る気はないんだがな」
「ぐぐぐ、どうあっても退く気はないって?」
「おいおい、この状況でもオレらに退けって? 腕が折れても知らねぇぜ?」
「腕一本で守れるなら別に構わないわ」
「いい覚悟だ。と言いたいところだが、その覚悟はここで使うには勿体ないな。オレらは敵じゃないもんでな」
「敵じゃない? だったら何の為に!?」
「オレと一緒にこの国を解放しないか?」
「国を、解放?」
「ああ、そうさ。魔の力からの解放だ」
「それって、本気なの?」
「冗談で言う話じゃないさ」
「……分かったわ。私の負けよ。話だけは聞いて上げる」
「話だけはってか。それでも良いさ」
折り合いがついた所でスルトは手を離すと、シャーリーは肩を抑えながら仲間の元へ向かう。それをスルトは眺めていたが意見が割れているのだろう、大きな声が何度か聞こえると頭を掻きながらリリア達の元へ戻って行った。




