1話 やる気のない元・勇者
お疲れ様です。
何とか帰宅しアップに間に合いましたっ!
ちょっと今週仕事がハード過ぎて・・・orz
今回第1話となります^^
楽しく読んで頂けたら幸いです^^
それでは、第1話をお楽しみ下さい。
ラウルとミスティが駄女神の頼みに頭を悩ませていると、
その駄女神が奇声にも似た叫び声を挙げてきた。
「ユウトくんってのは誰の事なのよぉぉぉぉっ!」
その凄まじい奇声にラウルとミスティは両耳を押さえ、
再びしゃがみ込むと、ラウルの部屋全体に突然遮音障壁が出現した。
奇声が聞こえなくなったラウルとミスティが顏を上げると、
そこには魔法神・アリエルの姿があった。
「ア、アリエル・・・?あ、貴女どうしてここに?」
ミスティの言葉にアリエルは「フッ」と笑みを浮かべると、
呆れた表情を浮かべながら口を開いた。
「あの駄女神の声が聞えていたのは、この部屋だけじゃないのよ」
首を左右に振りながら面倒臭そうにそう言った。
「こ、ここだけじゃないのっ!?」
「ああ、あの駄女神が何をとち狂ったかは知らないけど、
神界全体に鳴り響いてるわよ」
「・・・か、彼女は相変わらず・・・だね」
神々がそう言いながら頭を押さえ呆れ返っていると、
アリエルが張った遮音結界をぶち破って、また駄女神の声が聞えた。
「ちょっとぉぉぉっ!私がまだ話をしている途中でしょうがぁぁぁっ!」
怒鳴る駄女神にアリエルは「カチン」と来ると、
天井に顔を向けながら声を張り上げた。
「おいっ!そこの駄女神ぃぃぃぃっ!
お前の受け持ち区域なんだから、あんたが何とかしなさいよぉぉぉっ!」
「うっ」
アリエルの声に言葉が詰まった駄女神を他所に、
ラウルとミスティは相談していたのだった。
「で、どう致しますか?」
「そうだね~・・・うーん・・・。
もうこれは~・・・」
そうラウルが苦笑いを浮かべながら言い淀んでいると、
ミスティが困り果てた顔をしながら口を開いた。
「ユウトさんにお任せするしか・・・」
「・・・だよね」
項垂れるようにラウルがそう言うと、
言い合いになっていた駄女神とアリエルの間に割って入った。
「君達っ!いい加減にしないかっ!
今は言い合いをしている場合じゃないだろっ!」
ラウルは苛立ちながらそう言うと、天井に向かって顔を上げ、
少し苛立った口調で話しかけた。
「君もっ!今は自分の立場を弁えたまえっ!
こっちは1人・・・心当たりがいるっ!
本当は彼に頼りたくはないのだけどね・・・」
悲しそうな表情を浮かべながらそう言ったラウルに、
ミスティとアリエルもまた・・・同じような表情を浮かべていた。
だが、声の主でもある駄女神はと言うと、
ラウルたちの気持ちなど露知らず、能天気な口調で話始めたのだった。
「ほ、ほんとに~?やった~♪
さっっっすがラウっちだよね~?頼りになるぅ~♪」
そう言ってお気楽ムードな駄女神にラウルは強く拳を握ると、
ミスティやアリエルまでもが聞いた事のないような怒鳴り声を挙げた。
「いい加減にしたまえっ!君は一体どれだけ迷惑をかければ気がすむんだっ!
自分の管理する星系だろっ!
もう少し創造神としてっ!自重する事を覚えたまえっ!!」
「ひ、ひぃぃぃ!」
ラウルの怒鳴り声にその空間が激しく振動し、
その苛立ちは声の主が居る離れた星系の一室にまで及んだ。
そして怒鳴り声を挙げた後、
ラウルはより一層悲しみの表情を浮かべながら言葉を続けた。
「僕が言う彼と言うのはね?
他星系の人族なんだ・・・わざわざ僕達の為に、
今もなお、僕達の子らの為に戦ってくれている・・・。
そんな彼に僕はまた・・・死地へと赴かせようとしている。
わかるかい?君にっ!
不甲斐ない神達の尻拭いをさせる情けなさが?
少しは真面目に取り組んだらどうなんだっ!」
そう言うとラウルは、俯き1粒の涙を床へと落としていた。
そんな雰囲気に流石の駄女神も、素直に謝罪してきたのだった。
そして落ち着きを見せたラウルが真剣な眼差しを向け話を切り出した。
「君の星系で頼りになりそうな子はいるのかい?」
そうラウルが尋ねると、駄女神は少しの間「うーん」と唸っていた。
そして小さくつぶやくように「・・・あっ」と声を漏らすと、
ある人物について話を始めていった。
「じ、実は~心当たりはあるんだけど~」
「そ、それは誰だいっ!?そしてどこに居るんだいっ!?」
ラウルは笑みを浮かべながらそう言うのだが、
駄女神の声は浮かない声色だった。
不思議に思ったミステイがラウルよりも先に口を開いた。
「どうかしたのですか?それとも何か都合が・・・?」
そう話を切り出したミスティに駄女神は深く溜息を吐くと、
期待を裏切るように答えが返ってきたのだった。
「え、えっとね~?実は今どこに居るかわかんないのよね~」
「「「はぁ~っ!?」」」
「えっと~他星系の神に頼み込んでうちへ来てもらって~
うちの星系でとりあえず悪い星で魔王退治をしてもらうはずが~
どう言う訳か、違う場所へ送っちゃったみたいで~・・・」
(とりあえずって・・・ん~、ちょっと違和感を感じるね)
駄女神は自覚があるのだろう、自分の愚かさを悔いているような、
そんな声色をして、その言葉も弱々しく感じ取れた。
少しの間、神々は意気消沈として言葉を失い茫然としていると、
「コンコン」と扉をノックした後、
その扉から現れた人物に、ラウル、ミスティ、アリエルは目を丸くしていた。
「なんじゃ?鳩が豆鉄砲でも喰らったかのような顔をして?」
苦々しい表情を浮かべていたのは、日本の神・・・天照だった。
そしてその天照の肩口からひょっこりと笑みを浮かべ顔を覗かせたのは、
・・・月読だった。
その空気の重さに月読が「ん?」と首を傾げると、
天照の横に立ち口を開いた。
「皆さん・・・いかがされたのですか?」
その月読の言葉にラウル達は未だに言葉を失っていると、
少し苛立った口調で天照が話し始めた。
「なんなのじゃ?この空気の重たさは?
妾達に対して無礼であろう?」
「えっ、えっと・・・」
ラウルが慌てて口を開こうとしたのだが、
その言葉に言い淀んでいると、何かを察した天照が口を開いて来た。
「ひょっとして~・・・この神界中に響いておる、
他星系の駄女神の話の事・・・かの?」
「「「!?」」」
その驚きの表情を見せた神々に天照と月読は顔を見合わせると、
「はぁ~」っと、溜息を吐いて見せていた。
ラウルは渋い顔を見せながらも、事の説明を話していき、
全ての状況の説明を終えると、月読が話を切り出してきた。
「状況は理解出来ましたが・・・それにしても・・・
まさかこのような創造神が居るとは・・・。
しかし項垂れている場合ではありませんね?
少しでも早く対処せねば・・・悠斗様の青春がっ!」
「せ、青春って・・・お主もまた・・・」
そう言いながら天照もまた月読に対して呆れているようだったが、
ある提案を投げかけてきた。
「こう言うのはどうじゃ?
今すぐ・・・とはいかんのじゃがの?
妾の星からも誰か1人を貸し出す・・・と言うのはどうかの?」
天照の提案に最初に喰いついたのは駄女神だった。
「い、いいのっ!?天照っ!?」
その駄女神の物の言いように、天照はムッとした顔を天井へと向けると、
威圧しながら言葉を発した。
「お主・・・妾とお主は・・・友達か・・・の?」
「・・・えっ、えぇ~とぉ~・・・ご、ごめん・・・じゃ~なくて、
も、申し訳御座いません」
「妾達はお主に義理も何もないのじゃぞ?
ただ・・・悠斗様の手助けになれば・・・と、
そう思っての申し出じゃ。
それを・・・お主?
いや・・・貴様っ!調子に乗るのも大概にしておけっ!」
「・・・は、はい。
ほ、本当に申し訳御座いませんでした」
「ふんっ!」と、鼻息荒くそっぽを向いた天照に、
同伴してきた月読を始め、ラウル達も顔の引きつりを抑える事が出来なかった。
それから暫くの時間・・・。
駄女神が管理する星系での捜索を、
ラウルとアリエル・・・そして駄女神が行い、
悠斗に事の説明をするのはミスティとなった。
その話し合いが終了すると、天照と月読は部屋を退室すると地球へと戻り、
緊急対策会議が開かれる事になった。
そして・・・。
「ふぅ~・・・この星にも「リョウヘイくん」は居なかったか・・・
元・勇者くん・・・一体どこにいるんだ・・・」
ラウルは軽く息を吐くと、そのまましゃがみ込み途方に暮れていた。
すると「リョウヘイ」を捜索するアリエルから念話が入るのだが、
「・・・こちらも空振りよ」と、疲れの色を滲ませていた。
「わかった。引き続き捜索を頼むよ」
「・・・了解」
ラウルは晴れ渡る空を見上げながら、再び途方に暮れた表情を見せながら、
駄女神とのミーティングを思い出していた。
「で・・・?君がどこに送ったかわからないと言う・・・
その子ってさ・・・」
ラウルが話をそう切り出すと駄女神は意図を察し、
その男の名を告げた。
「その子の名は・・・「リョウヘイ」
ニホンと言う国に住んでいたけど、ある事が原因で・・・」
「リョウヘイくん・・・か・・・」
するとアリエルが不機嫌そうに2人の会話に入って来た。
「ちょっとあんた達・・・話し合うのは別にいいんだけど、
人族が居る惑星ってたくさんあるのよ?
もう少し絞る事って出来ないのかしら?」
苛立ちを押さえつつも、アリエルは駄女神を威圧していた。
「ア、アリエル・・・さ、さん・・・あははは・・・
ちょっと、こ、怖いんで・・・もうすこ~し威圧を押さえてもらえると・・・」
「・・・はぁ?」
「なっ、何でもありません・・・」
アリエルの威圧に屈する形となりながらも、
「リョウヘイ」が送られたであろう惑星を片っ端から捜索し始めたのだった。
「はぁ~・・・本当に見つかるのかな~?」
そう言ってラウルはがっくりと肩を落とすと、
この星の人族にしては強い力を感じその視線は、
自然とそちらの方へと向いていた。
「この力って・・・?」
ラウルは重い腰を上げると、力を感じた方角へと向かい始めた。
そしてここは惑星ザナフィーにある「ルクナ」の街・・・。
ユウナギはアスティナと共に冒険者としての依頼をこなしていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・
も、もう、つ、疲れたぁぁぁぁぁっ!」
山奥深い石切り場で、
ラウル達が必死に探す男がドカッ!と岩の上に腰を落していた。
「ちょっと、ユウナギッ!
ちゃっちゃっと運びなさいよっ!
これじゃ~いつまで経っても依頼が完了しないじゃないのよっ!」
そう言いながら銀髪のラフカールロングをなびかせながら、
アスティナは巨石を担ぎユウナギの目の前で悪態をついてきた。
「い、いや~アスティナさんや・・・。
こう見えても俺はちゃんと運んでるんだよ~?
ちょっと休憩したくらいで、そんな目くじらたてなくてもさ~?」
「・・・はぁ?か弱い女の私が、こんなに頑張ってるのに?」
アスティナの言葉にユウナギは少しの間沈黙すると、
片眉をピクリと反応させて反論していった。
「どこがか弱いんだよっ!?
トロールを素手でぶっ殺すヤツが・・・か弱いだって~?
フンッ!呆れて神々も凄まじいゲップを漏らすわぁっ!」
ユウナギの言葉にアスティナは「ドシャッ!」と巨石を落すと、
こめかみをヒクヒクさせ、指をバキボキと鳴らしながら睨んできた。
「へっ!?」
「ほほぅ~・・・何かい、お前さん?
この可憐で男子が守ってあげたい女子NO.1の・・・このわ・た・し・がっ!
か弱くないとでも?」
ニヤリと笑みを浮かべたアスティナから、
魔力が溢れ出し、その魔力の冷たさにユウナギは悪寒が走ったのだった。
(だ、誰が可憐で守ってあげたい女子NO.1だよっ!
知らねーよっ!つーか・・・初耳なんですけどぉぉぉっ!?)
「あは・・・あははは・・・じ、冗談ですよ~もうやだな~♪
所謂一つの~・・・アメリカンジョークと言うヤツですよ~♪」
ユウナギは冷や汗を流しながら、あからさまに引きつった笑みを浮かべていた。
「あ、あめ・・・な、何?」
「い、いや・・・もういいです。
ごめんなさい。私が悪う御座いました」
真顔でユウナギのジョークに答えたアスティナに、
ユウナギは無駄な抵抗をするのをやめ、素直に謝罪したのだった。
(あぁ~やってらんね~・・・早く帰って一杯ひっかけたいぜ~)
そう考えているとアスティナが訝しい顔を見せつつ口を開いた。
「あんたまさか・・・
いっぱいひっかけたいとか思ってんじゃないでしょうね?」
(は、はぁ~?な、何でわかったんだっ!?)
「あははは・・・そ、そんな事ある訳ないじゃないですか~?
て、てへペロッ!」
「全く・・・あんたって人は・・・」
アスティナは頭を押さえつつ項垂れていると、
突然ユウナギ達の居る空間に一筋の光が降り注いだ。
「なっ、何だ・・・この力はっ!?」
「ユ、ユウナギ・・・一体何がっ!?」
警戒を強めその光を凝視していると、その光の中から人影が見て取れた。
「ユウナギッ!」
「ああっ!アスティナっ!気を抜くんじゃねーぞっ!」
「分かってるわよっ!」
異常なほどの力を目の前にしたユウナギとアスティナは、
マジックボックスから武器を取り出すと、身構え戦闘態勢に入った。
すると光の中から白いローブを纏った男が姿を現すと、
ユウナギとアスティナに声をかけてきた。
「突然すまないね。
ちょっと君達に聞きたい事があるんだけど・・・いいかな?」
その男の問いにユウナギとアスティナは念話で会話をしていたのだった。
(ユウナギ・・・どう思う?)
(・・・この力って神力だよな?)
(え、えぇ・・・でも私達の知る神力とは違って質が違う気が・・・)
(ああ、でも・・・。敵ではなさそうだ)
(あんたがそう言うのなら・・・)
ユウナギとアスティナが念話を終えるのを見計らったかのように、
その男が一瞬目を細め見つめていた。
(うむ、この2人はこの星系では異質の力を持っているようだね?
目的のリョウヘイくんではないようだけど・・・
もしかしたら、僕の話を聞いてくれるかもしれない)
そう考えたラウルは彼らをスカウトするべく口を開いた。
「念話は終了したかな?」
「「!?」」
驚きの表情を浮かべる2人に、その男は苦笑しながら話を続けた。
「ははは・・・そんなに警戒しなくていいよ?
あっ、自己紹介を忘れていたね?
僕の名はラウル・・・。
別の星系から来た創造神なんだ・・・よろしくね♪」
(ユ、ユウナギっ!?こ、この人・・・自分で創造神ってっ!?
な、何か・・・うさん臭くないっ!?
って言うか、自分で創造神とか言っちゃって・・・ヤバくないっ!?)
(いやいや、アスティナさんや?
どう見たって神でしょ?
じゃなければ・・・ただの変態だぜ?)
2人の念話の内容がその表情から読み解いたのか、
ラウルは苦々しい表情を浮かべながら口を開いた。
「あははは・・・だ、だいたい予想ついたけど・・・
か、悲しくなるから普通に話を聞いてくんないかな?」
その悲しそうな笑みに一応の警戒を解いた2人は、
ラウルと名乗る創造神の話を聞く事にしたのだった。
一応の警戒を解いた2人に、ラウルは事の説明をしていった。
そして暫くの沈黙が続くと、口を開いたのはユウナギだった。
「あぁ~・・・ラウル・・・様だっけか?」
「うん」
「悪いんだけど~・・・俺達は遠慮するわ」
「・・・えっ?」
戸惑う表情を見せたラウルに、ユウナギは頭を掻きながら話を続けた。
「んー・・・正直面倒臭い・・・」
「・・・ハッキリ言うんだね?」
ユウナギは背伸びをしながら頭の後ろで手を組むと、
あくびをしながら気だるそうにその問いに返答した。
「だってさ~・・・別に俺達じゃなくてもいいんじゃね?
強いヤツなんてまだ居るだろうし、
俺達が戦わないといけない理由があるとは思えないんだが?」
そう答えるユウナギにアスティナも無言で何度が頷いていた。
その様子を見たラウルは、もう一度説明するのだが、
その返答は同じだったのだ。
「だ~か~ら~・・・俺達には関係ねーだろ?」
「か、関係ないって・・・他の星の人族達が滅ぼされてもいいと?」
ラウルは眉間に皺を寄せながら少し言葉を強めると、
ユウナギは不機嫌そうに口を開いた。
「それだよ、それ・・・。
神ってヤツは頼み事ばかりじゃねーか?
上からこっちの世界をただ覗くだけで、てめーらでは何もしようとはしねー。
それなのに困った時だけこっちに一方的な押し付けをしてきやがる。
俺達はお前達の道具じゃねーんだよっ!
てめーは神だろ?
だったらてめー達の力でどうにかしやがれっ!」
ラウルはユウナギの言葉に胸の辺りがズキンと痛んだ。
図星だった・・・。
だがラウルは不思議と嫌ではなかったのだ。
何故ならこのユウナギと言う男は、
相手が神だと分かっていても、力強い言葉で遠慮なく答えたからだった。
そしてラウルはこう思っていた。
(この男・・・私が神だと分かっていながらこの態度・・・。
きっとこの男は以前に神と出会っている。
やる気がないのは僕的にはいただけないけど・・・
きっと神から理不尽な事をされたのかもしれないな?)
そう思っていると、今度はアスティナが口を開いて来た。
「ユウナギの言う通りだわ。
世界の為だとか・・・もうこれ以上私達に関わらないで欲しいわねっ!
本当にもう・・・うんざりだわっ!」
ラウルを睨みつけるように口を開いたアスティナの言葉に、
違和感を感じたラウルは・・・。
(世界の為?これ以上、私達に?
えっと~・・・それってまさかっ!?
それに・・・彼の名はユウナギと言っていたよね?
その名って、もしかして・・・?)
ラウルは目を細めつつ眉間に皺を寄せると、
ユウナギとアスティナを最大限の力を使って鑑定した。
(・・・えっ!?)
その鑑定の結果に、ラウルは驚きの表情を浮かべると、
ユウナギが殺気を放ちながら怒気を含ませながら口を開いた。
「てめー・・・俺達を鑑定しやがったなっ!?」
そのユウナギの言葉に鋭く反応を示したアスティナは、
戦闘態勢を取ると、ジリジリと焦げるほどの殺気を放って来た。
だが殺気を放たれているラウルはニヤリと笑みを浮かべると、
その殺気を気にする事もなく口を開いた。
「ユウナギくん・・・その身体って・・・さ?」
「なっ!?」
「!?」
ラウルの言葉にユウナギとアスティナは咄嗟に距離を取ると、
より一層の警戒を強めていた。
「そして・・・君、アスティナくん・・・君も・・・」
「「!?」」
2人の顔からは戸惑いの表情が浮かんでおり、
ラウルは確信すると真剣な表情を浮かべ話を切り出した。
「君が・・・リョウヘイくん・・・だね?」
「なっ、何を証拠にっ!?」
その言葉にラウルは「フッ」と笑うと、
両手を上げて降参して見せたのだった。
「な、何をっ!?」
「ど、どうして手を上げるのよっ!?」
その言葉にラウルは戦う意思がない事を告げた。
そしてこう切り出した。
「・・・君の力が必要なんだ。
不甲斐ない僕達神の代わりに頼めないかな?
頼むよ・・・やる気のない元・勇者くん♪」
ラウルのその声からは、神独特である威圧がなく、
ただ・・・。
心から救いを求めている事が強く伝わって来たのだった。
「・・・は、話・・・くらいなら・・・」
ぶっきら棒にそう言ったユウナギだったが、
その男の顔が少し・・・赤くなっていた事に気付いたラウルだった。
今回ユウナギが初登場となります^^
そして次回は悠斗の登場となりますので、
楽しく読んでもらえると幸いです^^
ってなことで、緋色火花でした。