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テンプレ異世界冒険譚  作者: エイト
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テンプレその1 即落ち少女

拝啓、神様、異世界に転生したら勇者になりました。いらないので返品させて下さい。

 そう現実逃避したところで結果は変わらず。勇者が出たことにより興奮する教会の人たち。本当に出たと驚愕する周囲の人々。最初はポカンとした後嬉しそうな顔をし、すぐに俺の気持ちを察して微妙な表情になるハルナ。今の味方はお前だけだよ...

そうしてトントン拍子で話が進み、何故か1つ下の妹も一緒に学園に行くことになったり、ギルドに強制登録させられたり、何故か王都の学園にて生活することになるなど、本当にどうしてこうなった?

 だが、しかしである。駄菓子菓子。これはむしろチャンスなのではないだろうか?そもそも俺はテンプレが好きである。転生してからエイトの人格に揺さぶられてばっかの俺の脳内もテンプレに対しての情熱は捨てていない。はずである。これを機にマジの勇者になってみるのも面白いかもしれない。


そうして一週間後。今日が入学の日である。前世とは違い満開の桜(この世界ではサクラツリーというらしい。それでいいのだろうか)の中をとおる。その際、白目を向けられるが、成り上がりで入学したことより、隣にいる2人がその原因だろう。

エイト「おい、ハルナ、ナナミ。くっつくな、目立ってるし、何より歩きづらい。」

ナナミ「問題ない、です。勇者教によって私たちは守られてますし、王も勇者は守れと言っています。」

ハルナ「そういうこと♪それに、同じクラスになったんだし、少しくらいは大丈夫よ♪」

この世界でも、前世と同じく3学年で大体5クラスである。俺らが入学するオリン魔法高校はその中でも完全実力主義でAからEクラスまである。俺たちは特例と言ってもいいんだが、ハルナは魔法の、ナナミは剣の才があり、Aクラスに入れる実力もある。俺はどっちもそれなりで、ナナミらが10だとすれば俺は8くらいである。とはいえ先に習っていたというのは大きく、個人戦では一度も負けたことはない。と言っても魔物を倒したこともなくモンスターを倒した程度だからそこまで強くもないが。

 「そこの不埒な男!」

そもそもどうしてこの程度の実力しかない奴が勇者に選ばれたのか。「ちょっと、聞いていますの?」大体教会なんて某モンスタークエスト以外は大体黒くてロクでもない「聞いていますの!!!!!」

エイト「うおっ!?」

ハルナ「ひゃあっ!?」

ナナミ「ひゃうっ!?」

ったく、一体なんなんだと前を向くと金髪のいかにも主人公に即落ちしそうな女。金髪ツインテールの碧眼という、あー、と納得してしまいそうなほどの即落ち少女だ。

即落ち少女「全く、神聖なる王都の神聖なる学園に少女2人連れてラブラブ登校とかふざけていますの?」

エイト「は、はぁ...」

なんだ神聖なる王都の神聖なる学園って、どんだけ神聖なんだよ。ていうかなんだラブラブ登校って。即落ち少女が使っていいセリフじゃねぇぞ。大体テンプレだとウブだろうが。あとハルナとナナミは照れるな。こっちが恥ずかしいだろ。

即落ち少女「なんですのその気の抜けた返事は!?男ならもっとこうハッキリと話しなさい!」

エイト「はぁ..ていうか即落ち少女、あんたの名前は?」

即落ち少女「即落ち?まぁいいですわ、わたくしは偉大なる王家に仕えるブライト家の娘!名をセナ・ブライト。学園にて名を馳せるものですわ!」

名を馳せるってなんだよ。一位でも取るのか?というより、ブライト家って確か...

ナナミ「ブライト家って確か王家に仕える貴族の中でも貧乏と聞いたことがありますが...」

セナ「誰が貧乏人ですって!?なら貴方達の家名はなんですの?」

エイト「自己紹介がまだだったな。俺はエイト・ストツィア。妹のナナミと、幼馴染のハルナ・ヘスティアだ。宜しく。」

セナ「ストツィア?ヘスティア?...あー!?貴方達勇者一向ね!?成り上がりの!」

エイト「まぁ、うん、確かに成り上がりだけど..」

そこまでハッキリと言いますかね?

セナ「貴方方が勇者...認められませんわね。せめてわたくしより強くなくては。名ばかりの勇者になどついていきたくもないですわね。」

エイト「いやついて来なくてもいいんだけど...」

ハルナ「ちょっと、さすがに言い過ぎじゃない?貴族らしいけど、失礼にも程があるわよ」

セナ「ならばこうしませんこと?この学園には決闘場もありますの。その決闘場にて勝負をつけますの。勇者であるエイト・ストツィアとわたくしのね。それならば文句はありませんよね?」

即落ち少女との決闘!?何というテンプレ展開!

エイト「わかった、いいぞ。俺が勝ったら文句は言うなよ。」

セナ「もちろんですわ。わたくしが負けたら、そうですね...言うことをなんでも聞きましょう。」

エイト「はあっ!?」

なんでも!?それはつまりなんでもだよな!?

ナナミ「お兄様、興奮しすぎです。」

ハルナ「むぅ、エイトくんのバカ」

セナ「そのかわり、わたくしが勝ったら言うことをなんでも聞いてもらいます。さらに勇者としての補助をこれから先一切受けないようにしてもらいます。」

エイト「わかった。その条件でいい。」

セナ「決まりですわね。では、一週間後にまた。」

そう言って去っていく即落ち少女。

エイト「なんでもねぇ...」

ナナミ、ハルナ「お兄様?(エイト君?)」

エイト「ちが、そうじゃないって!ただ、何命令してくんのかなって。」

そもそもどうしてこんなことをする必要があるのか。そりゃテンプレとはいえ、なんでもっていくらなんでもおかしい。貧乏家の再建?だからって自分を賭けるか?


ちなみにこのすぐあとに同じクラスと知り微妙な空気になるのはまた別の話。

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