異世界に来ました
15歳、その誕生日に前世の記憶が蘇ってきた。
転生先の名前はエイト・ストツィア。全体人口の10分の1にも満たない黒髪で、なかなかのイケメン。
これはなんかゲームのような世界に見えるからかもしれない。鼻があるはずなのに全然見えないし。
エイトは、まるで主人公のような男だった。幼馴染であるハルナ・ヘスティアと、妹であるナナミ・ストツィアといつも一緒。ゲームのような世界だからか、両方とも美少女だし、ナナミはブラコン、ハルナはピンク髪で、エイトにデレデレ。正直リア充爆発しろと思った。
そんな勝ち組でありながら性格もよく、村の人をいつも助けているし、幼い頃には、モンスターから命をかけてハルナとナナミを救っている。
尚且つ親孝行もしっかりとし、親や幼馴染を守るために剣術を習っているなど、正直どうして俺がこいつになったのか問い詰めたい。
さて、この世界のことを話していこう。
この世界は、まぁ簡単に言うと、その辺のなろうみたいな感じである。
モンスター(魔物)がいて、ギルドもあって、魔法もある。尚且つステータスとかいう魔法もあって、エルフもドワーフも龍人もなんでもいる。
魔王とやらもいて、侵略の意思はないみたいだけど、過去の負の遺産のせいで勇者教とかいう胡散臭い教会が日々魔王を倒せとか言っている。
海はあるがその向こうには誰もいったことがおらず、元の世界みたいに地球儀もない。どころか、その辺の地図すらない。大雑把に国があって町があって川があってとかそんな感じ。だからって街の地図すらないのはどうかと思う。
文明レベルとしては家は煉瓦や木材が多く、コンクリートもない。石油も見つかっておらず、見つかったとしてもどうにかできるとも思えない。
洗濯物は魔法のクリーンとかいうやつでシミすら落ちるし、それ以外のことも大抵魔法でなんとかなるので必要ないのかもしれない。
食事は魔物だったりモンスターだったり。何が違うのかとも思ったがどうやら魔素とかいうのが空中に漂っているらしく、それを必要以上に取り込んだのが魔物らしい。一回魔物化したイノシシ、ホーンボアとかいうのをみたが皮膚が膨張して中の血が見えていたり、なんか紫だったりして、正直キモかった。ナナミやハルナは大泣きしていたからな。あれを食べるのかと当時は焦ってたな。うまかったけど
魔法も魔素が関わっており、普段の呼吸で魔素を取り込み、体内で自分の体に合うようにする。それを魔力といい、いわゆるMPである。これに大体一時間くらいかかって、深呼吸すれば当然その時間は短くなる。ちなみにスライムはその大きさから全然魔力がない。雑魚と言われるのはこういう事情があったりする。だからか一部ではペット扱いされてたり、市場では日本円にして500円くらいで売られてたりする。
さて、そういう世界に生まれた俺だが、15歳にてある儀式を行うことになっている。勇者の儀式と言われるやつで、勇者教の水晶で判別される。これは15歳になったら誰でも行うことであり、いわゆる成人の儀式として扱われている。まぁつまり15になったので成人ですって言うようなものだ。ここから学園に行ったりギルドに行ったり就職したりするのが普通である。ちなみに勇者になったら学園に行きながらギルドにも所属し、クエストをこなすことになる。勇者になったからって強くなるわけでもないし、権力が手に入るわけでもない。むしろしがらみが増えるだけなのでそれが勇者教が疎まれている理由でもあったりする。
そして、その日。
エイト「やっと成人か、これでようやく学園に行けるな」
ハルナ「エイトくん、ずっとまってたもんね」
エイト「それにしても多いな。こんなにいるのか?」
周りには教会に群がる多くの人々。こんなにいるのは些かおかしくないか?
ハルナ「なんか隣町の教会が破壊されたらしいよ。税金を不当に取ってたとか、人体実験していたとかで」
エイト「そんなこともしてるのか、勇者教って?」
ハルナ「どうだろうね。税金の方はそれっぽいけど、人体実験は無いと思うな」
そんなことを話してると俺たちの番である。ハルナも何も起こらず終わり、次は俺...とその時。
パァァッと光る水晶。あたりが見えなくなるほどの眩しい光が水晶から放たれる。これって一体..!
するとフッと収まる光。そうして放たれる興奮している教会の人からの言葉。
「おめでとう!あなたが勇者様です!」
.......はぁ?