第50話:とりあえず、宝物を探索する。(盗賊団②)
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第50話を投稿できました。
次は第60話を目指してがんばります。
無事にバシュラトに戻ってきた。そんなに時間が経っていないのに、何だか久しぶりな感じだ。本当はゆっくりしたいのだが、陛下の依頼がある以上、準備を整えて早く発った方がいいだろう。
とは言いつつも、足は冒険者ギルドに向かっていた。特に用事はないのだが、何となく足が向いたのだ。みんな元気かな…。
「あっ、ヒコサブロウさん。戻ってきたんですね。」
「ミルさん。はい、さっき戻ってきました。」
「バートさんから聞きましたよ。今回もご活躍されたそうで。」
「ははは。バートさんのことだから、もしかしたら誇張されてそうで怖いです…。」
「ふふふ。でもこれでCランク冒険者に昇格しましたね。もう一人前の冒険者ですね。」
「偶々運が良かっただけです。まだまだ未熟です。」
「ふふふ。その謙虚さを見ると安心します。そういえば、ミナさんやセレンさんも寂しがっていましたよ。なかなか帰ってこないって。」
「ははは。立て続けに依頼があったものですから、彼女たちとゆっくり話をする暇がなかったですね。」
「そうですよね。それでまたバシュラトで活動再開ですか?」
「いや、それが…。いろいろありまして、またしばらく街を離れることになりました。」
「そうなんですか…。Cランクに昇格したヒコサブロウさんの活躍をバシュラトの街で見たかったのですが、残念です。もし街を離れるなら、一度ミナさんやセレンさんと会ってあげて下さい。何も言わずに行ってしまうとまた寂しがると思いますから…。」
「そうですね。彼女たちがそんなに寂しがるかはわかりませんが、挨拶はしていこうと思います。彼女たちは今日は依頼ですか?」
「ええと…、そうですね。いま依頼を受けてますね。多分夕方には戻ってくると思いますよ。ちなみにアイラさんのパーティーも同じぐらいの時間の戻ってくるかと…。」
「そうですか。ありがとうございます。じゃあ、私は街中でもぶらぶらしてきます。」
「はい。いってらっしゃい。」
ミルさんに見送られて、ギルドを後にした。バシュラトの街並みを見ながら散策する。やはり、こちらの世界に来てから、最初に訪れ、過ごした街だからだろうか。街の様子や住民の平和な営みを見ると、嬉しい気持ちになってしまう。
イルザさんが新院長になった新しい孤児院も訪れた。子供たちから「ヒコサブロウおにいちゃんが来たよー!」と元気よく迎えられ、イルザ院長とも話をすることができた。移設や領主様の支援のおかげで、孤児院の生活はだいぶ改善されたとのことで、院長の顔からはその嬉しさが滲み出ていた。
孤児院を後にし、いつもの宿屋「お休み処 星のしずく」に向かい、宿をとった。宿泊が1泊だけだったからか、主人のラスクさんから「またすぐに出発ですか?」と訊かれ、そこからお互いに近況などを話した。どうやら、宿屋の経営は順調そうだった。昨日までは満室だったと聞いて、今日宿がとれて良かったと安心した。
時間はあっという間に過ぎて、もう夕方になった。彼女たちもそろそろ戻ってきているかなと思って、再度ギルドを訪れた。
「あーっ、ヒコサブロウ見つけたー!」
建物に入った直後、聞き覚えのある声がした。
「ちょっと…、お姉ちゃん。声が大きいよ…。」
セレンがお姉さんを嗜めるのもいつもの光景だ。
「そうだよ。ミナ。そんなに嬉しそうに叫ばなくても聞こえてるよ。」
「もう、そんなふうに言わないでよ。アイラ。恥ずかしい…。」
「あらあら、久しぶりに乙女の顔のミナが見れちゃった。」
「そんなことを言ってるアイラだって、まだかまだかって落ち着かなかったくせに。」
「ちょ、ちょっと、ハーレ。それは黙っててよ。」
「アイラもそんな表情するのね。私たちには見せない顔ね。ねえ、ジャン。」
「ああ、そうだな。」
「もう、ジャンまでハーレに乗らないでよ!」
「「「ははは。」」」
ミナやセレンだけでなく、アイラたちも変わりなさそうだった。
「久しぶりって言えばいいのかな?みんな元気そうで安心したよ。」
「そうね。毎日ギルドで顔を合わせたり、時には一緒に依頼もこなしたからね。そう思ったら、急に街から離れたって聞いたから、何となく久しぶりな感じがするね。最初はミナやセレン、うちのアイラなんか元気なさげだったんだから。」
「そうなの?」
「そうだよ。ねえ、みんな?」
ハーレに問われた女性陣は、俯いて黙ってしまった。ジャンとビルは我関せずという感じだ。
「ごめんね。ちゃんと依頼で街を離れるって言っておけばよかったね。」
「ううん。そんなこと…。だけど、冒険者の中には、同じ街に留まらずに活動拠点を変える人も多いから、もしかしたらヒコサブロウもそうなのかなって…。ちょっと不安になっただけ…。」
「そうだったんだ。とりあえず拠点を移すみたいなことはまだ考えていないかな。まだバシュラトで活動したいと思ってるよ。」
「そうなんだ。良かった。」
ミナは嬉しそうな笑顔にこちらを向いた。その可愛らしい顔にこちらの表情も和む。髪には以前にプレセントした髪飾りが光っていた。大事にしてくれているようで嬉しい。
「ちょっと~、二人とも。二人だけの世界に入らないでほしいな。ねえ、セレン。」
「えっ…、私?」
「そうだよ。私たちもうかうかしてると、ヒコサブロウ取られちゃうよ。」
「えっ…、ちょ、ちょっと。本人を前にそんなこと言わないで。みんなに勘違いされちゃう…。」
「べつに勘違いじゃないでしょ。セレンだって、ヒコサブロウのことが…。」
「もう、わかったからやめてよ~!」
セレンとアイラは何やら盛り上がっていて、それをハーレが微笑ましく眺めていた。どうやら彼女たちは平和そうだ。そんなことを考えていると、アイラがこちらを向いた。
「ねえ。そのミナの髪飾りって、ヒコサブロウが買ってあげたんでしょ?」
「そうだよ。ミナから聞いたんだね。」
「うん。ねえ、私とセレンにも買ってあげたいなあって思わない?」
「えっと…。そういえば前にそんな話してたね。そうだね…。確かにミナだけってのは不公平?なのかな…。」
「ちょっと、ヒコサブロウ。」
「ミナは黙ってて~。ねえ、前も言ったけど、今度一緒に買い物行かない?もちろん、セレンと私、それぞれ別々で。」
「僕は大丈夫だよ。じゃあ、今度一緒に買い物に行こうか。」
「やった!ねえ、セレン。」
「う、うん…。ほんとにいいの?」
「もちろん。だって断る理由もないし。」
私の回答にアイラとセレンは嬉しそうな表情をしていた。そんなに楽しいものなのかな。一方、ミナは頬が膨れていて、ある意味可愛らしい顔をしていた。ちなみにジャンはやれやれといった感じで首を横に振っていた。解せない…。
「だけど、一緒に出かけるのはもう少し先でもいい?明日からまた街を離れるから…。」
「「「えっ…。」」」
「そうなの?戻ってきたばかりでしょ?」
「そうなんだけどね…。ちょっと野暮用というか、用事があって…。」
「もしかして依頼ですか?」
「まあ…。そんな感じ…。」
さすがに国王陛下から直接依頼を受けたとは言えない。内密に捜索しろとも言われたし。
「…決めたわ。」
「決めたって、何?お姉ちゃん。」
「私もヒコサブロウと一緒に行く。」
「「「ええっ!」」」
ギルド内に驚きの声が響き渡った。
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