第45話:とりあえず、商人を護衛する⑨
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護衛依頼編 終了です。
※今回は少し短めです…。
役員会議での騒動から3日後。
私たち冒険者はファビアーノ氏の屋敷に招かれていた。あの後ダミアーノ及びジルドを始めとする一派は衛兵による取り調べを受けているとのことだった。しかし、事が大きいだけに、全貌が解明するまでには、それなりの時間を要するようだった。
「今回は本当にお世話になった。本来であれば、ただの護衛依頼だったのにも関わらず、よくやってくれた。」
確かにファビアーノ氏の言う通りだった。本来であればこれは単なる護衛依頼。単なる護衛依頼とは、道中での盗賊やモンスターから護衛対象を守ることを指す。暗殺者に命を狙われているとか、ましてや商会の転覆を防ぐという、護衛対象の内部に関する依頼になると、その依頼ランクは上がることになるだろう。
「特にヒコサブロウ殿には、要所要所で見事な活躍だった。こうやって、ダミアーノの悪事を満天下に示し、奴を商会から排除することができた。感謝する。」
「いいえ…。皆さんのご協力とご活躍があればこそです。私は大したことをしておりません。」
「おい、やめろ。ヒコサブロウ。それを言ったら、今回俺たちのパーティーは何もしてないに等しいからな。なんか惨めに思えてくる…。」
「はっはっは。そんなことはないぞ。バート殿のパーティーにも感謝している。ヒコサブロウ殿が謙虚すぎるのだ。」
「すみません…。」
「さて、あまり長話をしても仕方がないな。早速今回の報酬を渡そうと思う。」
「えっ?報酬はギルドの方から頂きますが…。」
バートさんの言うことは最もだった。通常、報酬を依頼主から直接もらうことはない。そもそもそういうときに問題が起きないようにギルドが仲介するのだ。
「これは護衛依頼の報酬とは別のものだ。今回の暗殺者から私たちを守ってくれたこと、ダミアーノ一派との権力争いでこちらを勝利に導いてくれた報酬だ。」
「それこそ、ヒコサブロウはともかく、私たちも頂いてもいいのですか…?」
「当然だ。バート殿もミーナを守ってくれたしな。おい、セルジョ。」
「はい。」
ファビアーノ氏の執事であるセルジョさんが、テーブルの上に袋を置いた。若干、私に置かれた袋の方が大きいように感じる。
「とはいっても、最後にヒコサブロウ殿が活躍した分は差を付けた。悪く思わないでくれ、バート殿。」
「いえいえ。それこそヒコサブロウと同じ金額を頂くわけにはいきません。」
「そうか。じゃあ話は以上となるが…。ヒコサブロウ殿は残ってくれるか?実は別件で依頼したことがあってな。おそらくバシュラトへ戻るのには、まだ時間を要すると思う。」
「はい…。承知しました。」
「それでは私はここで失礼します。じゃあなヒコサブロウ。バシュラトに戻ったら、また酒でも飲もう。」
「はい。お疲れさまでした。バートさん。」
彼はメイドに案内され、部屋を退出した。
―――――
「さて、ヒコサブロウ殿にはもう少し付き合ってもらいたい。」
「はい。どのような件でしょうか。」
「まずは、さきの一件で、まだ報酬がある。セルジョ。」
「はい。」
セルジョさんがテーブルの上に置いたのは、豪華そうな木でできた箱だった。
「まずは中身を見てくれ。」
「はい…。」
中身は銀貨のようなコインだった。しかし、表面には紋章が刻まれている。
「この紋章は当家のものだ。つまり、このメダルを持つ者は、ベルニ商会の後ろ盾があるという印だ。」
「そんなものを一介の冒険者に与えてもいいのですか?」
「はっはっは。ヒコサブロウ殿が、自身のことをどう思うかは勝手だがな、すでに君の実力はそこらへんの一介の冒険者とは一線を画していると考えている。そしてその力は、これからも商会の役に立つと考えた。いわば先行投資みたいなものだ。別に商会の専属になれという意味ではないが、これからも商会に何かあった時は、力になってくれると有難い。」
「…わかりました。これも何かの縁。必要があれば力になります。私にできることであればですが…。」
「それでいい。こちらも無理に協力しろとは言わない。」
私はそのメダルを箱ごと、マジックバックにしまった。
「さて、本題はここからだ。」
ファビアーノ氏は、私がメダルをしまうのを確認すると、話を切り出した。何の依頼だろうか…。
「実はな、国王陛下が君に会いたいとおっしゃっている。」
「へっ…。」
自分でも情けない声は思わず出てしまったなと感じた瞬間だった。
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