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相克の獅子たち1

「オラアアアアアアアアッ!!!」


 勢いよく振られた戦斧から、金色の爪(アウルム・ガデューカ)が眩い光を放ち、リダイア目がけて走ると、結界内は衝撃音と共に爆風の煙に包まれた。

 レオーネの眼は煙の膜が広がる瞬間、その勢いに乗り宙を跳んだ紅い影を捉えていた。

 威勢の良い声と共に、大きな剣がレオーネ目がけて天上から一気に振り落とされると、レオーネは戦斧を両手で支え盾にした。


 ガギンッ、と金属の大きな音が火花を散らし響くと、ビュッと煙が2人を恐れるように円心状に晴れ渡った。そして、それを合図にしたように、2人の目は見開き、再び激しい攻防戦が始まった。

 オルディウスは、リダイアを案ずる気持ちと戦いの高揚に押されながらも、その戦いを見守っていた。

 金と赤の残光が瞬く間に、武器を交わし合う2人を追うように現われては消え、現われては消える。


 二者とも、自身の体よりも遥かに大きな武器を扱っているというのに、何と軽々しく扱うことか。


 重量のある武器同士の接近戦とは思えぬ、無駄な動きの無い戦いに、オルディウスの目はもはや追いつけなかった。

 オルディウスは気付けなかったが、レオーネもリダイアも、相手の隙を僅かにでも作ろうと、簡易であるが強力な呪文を繰り出していた。

 レオーネはリダイアから放たれたそれを片腕で弾き、リダイアはレオーネからの攻撃を身軽な身のこなしでそれを涼し気に凌いでいた。


 そして、巨大な戦斧と大剣が鍔迫り合い状態になると、リダイアとレオーネは互いに微笑()んだ。


「全く、恐ろしい女だぜ。よくもまあ、そんな大掛かりな武器をここまで軽々と」


「フン、賊王。貴様も口先だけでは無いな。その力を善なるに使えば良かったものを」


「ハッ! そんな事に使う程、無駄な事は無いな、騎士様よ!

 善だろうが悪だろうが、そんなモンはな、この世に存在しねえんだ。お前ら身分のある連中が、不都合な連中を圧制するために作り上げた、都合の良い想像物に過ぎん。

 この世にあるのは常に自分と他人の2択だ。だが、その理も力の無い連中、弱者のみにしか成り立たない!

 強者に常にあるのは、自分だけだ。他者がどうこう考えることに、意味はない。自分以外の全ては、己の為だけに用意され、己の為だけに動く。

 結局のところ、この世に存在するのは常に俺様一人なんだよ!」


 力の均衡が、レオーネに優勢に働きだすと、戦斧が振られると同時にリダイアは宙を跳んで後退した。


「ほう、面白い道理だな。

 賊王、どうやら私と貴様はあらゆる所において、相克する存在らしい。

 神は私と貴様、一体どちらを選ぶか、見物ではないか」


 リダイアが言うと、レオーネも愉悦の笑みを浮かべた。


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