二十二話
王城地下、宝物庫
地下には余り火は及ばなかったようだ、宝物庫の内部は焼けてはいるが、財宝や武器が焼け残っている。
ラフォリアは宝物庫の奥の王家の紋章が刻まれた壁に近付くと手を触れる、すると。
「!」
ズズズと壁が動き地面に沈んで行った、ラフォリアは父が一度も話してくれなかったこの扉の存在自体に驚きつつも、仲間達と共に中に入って行く。
扉の先は下に伸びる階段となっていた、愛理達は階段を降りて行き、その先の広場に辿り着く。
「これは・・・」
広場にあったのは武器、その形は槍である、金と蒼の装飾が成されている。
「私、分かるよ、これはアルファルドとか言う奴が持っていた偽物の聖武器じゃなくて、本物の聖武器」
「Yes、彼女からは私と同じ物を感じます」
愛理は神の子として、ホワイトローズは同じ聖なる武器として、広場に保管されていた武器についてラフォリアに話す。
「・・・」
愛理とホワイトローズの言葉を聞いたラフォリアは、聖武器に近付き手に持つ、すると武器は光を放ち、ラフォリアの右手に王家の紋章を刻むと、光を失っていた刃元の宝石に光を灯した、どうやらラフォリアが触れる事で起動したようだ。
『我はかつて、勇者と共に戦った青年と共に戦場を駆けた者、名はヴァルキュリア』
起動した聖武器は、ラフォリアの脳内に語りかける、そして彼女の名はヴァルキュリアと言うらしい。
『グリメィスの名を継ぎ、そして我が主人となるべく産まれてきた少女よ、我と共にあれ、そして勇者と共に闇の者に打ち勝つのだ』
ヴァルキュリアは言葉を言い終わるとそれ以上は何も言わなくなった。
(ふふふ、どうやら私と愛理は初めから出会う運命だったようです、それならば私は愛理を支え、愛理を勝利に導くと誓いましょう)
自分の使命を槍を手に入れる事で理解したラフォリアは、十二宮の勇者、愛理を方を向くと、ヴァルキュリアが教えてくれたある事を伝える為、口を開く。
「愛理、あなたが夢に見た事は嘘偽りがない事実です、あなたが夢に見た剣はあなたが持つべき剣、あなたはその剣を手に入れる必要があります」
「・・・!、なんでそんな事が分かるの?」
愛理はラフォリアが手に持った聖武器が彼女にそれを教えてくれたのだろうと思いつつも、彼女に何故そんな事が分かるのだと聞く。
「この槍が教えてくれました、そして私はこの槍ヴァルキュリアと共にあなたと一緒に闇と戦い、闇に打ち勝つ事が使命のようです」
「そうなんだ、ラフォリアが私と同じ使命を・・・」
ラフォリアの言葉を聞いた愛理も思った、自分とラフォリアはあの時、巡り会ってなかったとしても、いつかは巡り会う運命だったのだろうと、何故なら自分達は同じ使命を背負って産まれてきたのだから。
「でも、ラフォリア、行き方は分かるの?、このままあの雲に突っ込んだとしても、私達死んじゃうだけだよ?」
「はい、分かります、まずはあなたの力を覚醒させる、そして覚醒したあなたと私で、力を雲に打撃ち込めば道が開かれるようです」
雲の下にある世界、そこに行く為には、まずは愛理の勇者の力の完全覚醒、そして愛理とラフォリアの二人で力を合わせ、力を撃ち込めば道が開かれるようだ。
「ふむ・・・、なんにせよ、愛理の力の覚醒が必要という訳か、闇の復活も近いかもしれん、急がなくてはな」
「ですね、急いで愛理ちゃんの力を覚醒させちゃいましょう!」
「うん!」
レベンが言った通りなんにせよ愛理の力のある覚醒が必要である、急ぎ全ての十二宮の精霊と契約する必要があるだろう。
「おい、ラフォリア、机の上に手紙があるぜ?」
広場の脇の机の上に手紙が置いてあった、ラフォリアは近付き読んでみる。
『ラフォリアよ、勇者と共に居るのならば、ソリビカ王都に向かえ、そして王と会うのだ』
手紙を読んだラフォリアはこれもさっきの手紙に一緒に書けば良いのでは?、と思いつつ、次の目的地が分かった事を喜ぶ、正直次何をすれば良いか困っていたのだ。
「愛理、お父様の手紙によると、ソリビカ王都に向かい王に会って欲しいそうです、行ってみましょう」
「ソリビカ王都、分かった行ってみよう」
次、どこに向かえば良いのだろうと愛理も考えていた、ラフォリアの父がソリビカ王都に向かえと言うのならば行ってみようと愛理は思う。
「ソリビカ王都なら、場所は分かるぜ、まずはベレー島に戻る、そこから南だ」
ケーニによるとソリビカ王都はベレー島の南にあるらしい、ならば一度ベレー島に戻り、そこで少し休んだ後、ソリビカ王都に向かうとしよう。
「ケーニ、道案内、お願いね?、それじゃ行こうか、ソリビカ王都へ!」
愛理達は滅びた王都を後にし、メサイヤに戻る、そしてベレー島に一度戻るのであった。
ベレー島船着場
順調なフライトで愛理達はベレー島の船着場に戻って来た、そして一行は宿に向かう、人々の魂を浄化したり、メサイヤを魔力ポーションを飲みながら飛ばしたりと、愛理がもうヘロヘロなのだ、流石に休まないと不味い。
「疲れたよー」
ヘロヘロ愛理は、宿の部屋に入るとベッドに飛び込む。
「駄目ですよ?、愛理、ご飯も食べず、お風呂にも入らなかった事、マスターに言い付けますよ?」
ホワイトローズはこのまま眠ってしまいそうな愛理に、明日奈に言い付けるぞと警告する、それを聞いた愛理は飛び起きる、だらしない事をしていると報告されれば確実に明日奈に怒られる、明日奈に怒られるのは嫌なのだ、そんな愛理を見たラフォリアと蒼狐はクスクスと笑い合い、そして互いに互いの顔を見るとプイッと顔を背ける。
「なら、さっさとご飯食べて、お風呂に、入ろー」
「Yes」
顔を背けているラフォリアと蒼狐に呆れながら愛理はベッドから飛び降り部屋を出る、それを見たラフォリアと蒼狐も、愛理と共に部屋を出た。




