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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第一部、一章冒険の始まりと三尾
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七話

道具屋倉庫


愛理と明日奈は道具屋の倉庫に入った、ここに先にこの倉庫に来て居るはずの、同じ依頼を受けた冒険者が居る筈だ。


「こんにちは!ってあなたはさっきの!」


倉庫の中に居たのは先程愛理がぶつかってしまった、神秘的な雰囲気を感じさせる白髪の少女だった。


「あら、また会いましたね」


白髪の少女は愛理を見ると、フワリと笑う。


(わぁー!笑っても綺麗・・・)


愛理は少女の笑顔に再び見惚れてしまった。


「さて、あなたが今日一緒に仕事をしてくれる子ね?私は久城明日奈、こっちはま・・・い、妹の愛理よ、よろしく」


(私、いつからお婆ちゃんの妹になったんだろう・・・)


明日奈は愛理と自分の自己紹介を纏めて行った、明日奈の自己紹介を聞いた愛理は、勝手に自分を妹と呼ぶ明日奈に呆れた。


「私は、ラフォリア、よろしく」


少女ラフォリアは自分も自己紹介をし、頭を下げる。


「よろしくね!ラフォリアちゃん!」


愛理はラフォリアの手を取ると、よろしくと言い、微笑みかけた。


「よろしく」


ラフォリアも愛理にフワリと微笑み返した。


これが愛理のパートナーとなるラフォリアとの出会い、そしてラフォリアは・・・。



「さてと、随分沢山あるわねぇ」


「そうだね」


「・・・」


自己紹介を終えた愛理達の目の前には大量の商品が積まれている、その数は愛理が数えてみた所、三十個ある、これを住所が書かれている紙に書かれている記述によると三時までに全て運ばないといけないようだ。


現在時刻は愛理の時計によると、午前十時、制限時間は五時間と言った所である。


「うーむ、これは手分けするしか無いわね、私が二十個運ぶわ、愛理とラフォリアちゃんが二人協力して、十個運んでくれるかしら?」


「はーい!」


「分かった」


二人の返事を聞いた明日奈はプラチナモードに変身し、まずは重そうな荷物を担ぎ、外に出て行った、恐らくは空を飛んで荷物を運ぶのだろう。


「驚いた、あなたのお姉さん、変身出来るし飛べるのですね」


(それにあの姿は、伝説の・・・)


「そうなんだよー、凄いでしょ?」


「はい」


愛理からは背中しか見えないが、ラフォリアは笑っている、聖力という魔力の上位に位置する力を使う明日奈の力を「感じて」。




クーラの町


愛理とラフォリアは協力して一つの商品を運んでいた、やたらと大きい魔導通信機を。


「重いよぉ」


「頑張って」


魔導通信機が重いと嘆く愛理をラフォリアは励ます。


「何処までだっけ?」


「あそこ、見えてますか?あの魔導通信局までです」


ラフォリアが指差す先、そこには確かに電話のマークが描かれた看板がある、看板までの距離はおよそ500メートル位、辛い。


「ラフォリア、足元に石!」


「あなたの足元のレンガが割れてます、気を付けて」


愛理とラフォリアは二人こうやってフォローし合いながら、道具屋からの凡そ四百メートルを進んで来た、そのおかげで転けて魔導通信機をひっくり返すことも無く、ここまで来る事が出来た。


「はっはっはっ!大きな荷物を運ぶ冒険者の姿はこの町の風物詩だなぁ!頑張れよ!」


セコセコと運んでいると、椅子に座っているおっさんが、二人を元気付けてくれた、そしてそのおっさんによると愛理とラフォリアが行なっているこれは、この町の風物詩らしい。


「ニャー!」


そこで愛理にやたらと懐いている猫集団が現れた、ニャー鳴きながら、愛理の足元に纏わりつく。


「愛理、その猫達は何ですか!?」


「えっ、えへへ、さっきね?みんな頭を撫でてあげたら懐いちゃったの・・・」


「そ、そうですか・・・じゃ無くて!その子達に離れて貰わないと、危ないです!」


「分かってる!」


このままでは危ないと理解している愛理はどうしようかと考え・・・。


「よっ!」


鞄から鈴を取り出すと、チリンチリンと鳴らし放り投げた、猫達はその音と投げると言う行為に釣られ、全員投げられた鈴の方に走って行く。


「やりますね、愛理」


「ふふん、でしょ?」


愛理とラフォリアは猫達が戻って来る前に、いそいそと魔導通信局に向かった。



魔導通信局


「お荷物おもちしました!」


魔導通信局に入った愛理は声を出し、荷物を持って来たと、内部の人々に伝える。


「あらあら、ありがとうね?お嬢ちゃん達、そこら辺に置いておいてくれて良いわ、ありがとう」


「分かりました」


そこら辺に置いておいても良いと聞いた、愛理とラフォリアは、それでも気を使い人が通らなそうな所に魔導通信機を置いた。


「ふぅー、なんとかなったね」


「そうですね」


猫乱入と言うトラブルがあったものの無事、魔導通信機をここまで運んで来れた愛理とラフォリアは、パチンと手を合わせあった。


「えへへ」


「ふふふ」


そして、二人仲良く笑い合うと、二人は魔導通信局を出て、次の商品を取りに道具屋に戻る。




愛理とラフォリアが運ぶ二つ目の商品は大量の剣だ、届け先はこの町の兵士宿舎。


「さっきよりは軽いね」


「でも数が多いですし、この籠のバランスも・・・」


愛理とラフォリアは剣が入っている籠をそのまま運び出し運んでいる、籠の中に入っている剣は二人が動く度に揺れ動いており、少しのミスでひっくり返ってしまいそうだ。


「うわ!風が!」


「止まりましょう!」


そこで浮遊島ならではなのか強い風が町に吹き込んで来た、愛理とラフォリアは籠を地面に置き、籠がひっくり返らないように支える。


「はっはっはっ!そうやって籠を支える姿もこの町の風物詩だなぁ!頑張れよ!」


愛理とラフォリアが必死になって、籠を支えていると、先程のおっさんがまた元気付けてくれた。


「笑う前に手伝ってよ・・・」


「ですね・・・」


愛理とラフォリアは小声でおっさんに向けて文句を言いつつ、風が止んだ所で籠を持ち上げ運ぶ。


「兵士宿舎はアレですね」


「うん、あの剣のマークの建物だね」


愛理とラフォリアが目指す兵士宿舎は剣のマークが描かれた建物だ、とても立派なレンガ造りの建物で、庭先には訓練所もあり、兵士達が訓練を行なっている様子が見える。


「ここから見えてる、あの人達にもってきたよーって言ったら良さそうだね」


「ですね、後はあの人達に任せましょう」


「わぉーん!」


目的地を決めた二人だったが、今度は犬の声が聞こえて来た。


「・・・あの子達も懐かれた?」


「うん・・・」


「何か投げる物は?」


「無いよ!」


「・・・急ぎますよ!」


ドドドと徐々に迫って来る犬達、愛理とラフォリアは彼等から逃げるように急ぎ、兵士宿舎に向かう。



兵士宿舎


「きゃっ!あはは!くすぐったいよぉ!」


兵士宿舎の外で愛理は犬達と戯れている、犬達は尻尾を揺らしながら愛理の顔を舐める。


「それでは確かにお持ち致しました」


「おう!ありがとな!」


犬に絡まれる前に愛理と共に何とかここまで剣を届け終えたラフォリアは、愛理に代わり兵と会話をし、終わった所で愛理の元に向かう。


「さぁ、行きますよ?愛理」


「うん、ごめんね?みんな、また遊ぼうね?」


ラフォリアの言葉を聞いた愛理は犬達から離れ、またねと手を振り、道具屋に戻って行く、犬達はそんな愛理を寂しそうに見送っていた。



「ふー、これで最後だねー」


「はい」


愛理とラフォリアが運ぶ最後の商品、それは小さな箱だった、綺麗な包装がなされており、恐らくはプレゼントだろう。


「プレゼントかな?プレゼントだよね?これ」


「多分ですけどね」


「これ、これから貰う人、嬉しいだろうなぁ」


「ふふふ、ですね」


愛理はこれからこのプレゼントを貰う人が浮かべる笑顔を想像してニコニコと笑う、ラフォリアはそんな愛理を見て、この子は素直で優しい子なのだと思った。


「早く持って行ってあげたいし、走ろっか?ラフォリア?」


「はい!」


愛理とラフォリアは走り、届け先に向かう。




「ちわー」


「こんにちはですよ?愛理・・・」


愛理とラフォリアは届け先の一軒の家の前に立ち、ノックをしてから挨拶をする、ラフォリアはちゃんと挨拶をしない愛理にツッコミを入れる。


暫く愛理とラフォリアがドアの前で待っているとドアが開き、優しそうな女性が顔を出した。


「あら?あなた達は?」


「お届けものです!」


「あら!頼んでいたあれね!、シリカ!おいで!」


「なにー?まま?」


愛理からお届けものですと聞いた女性は頬に手を当てて、あらあらまぁまぁすると、振り返り子の名前を呼ぶ、すると中から幼い女の子の声がした。


「あっ!昨日のお姉ちゃん!」


「あなたは昨日の!また会ったね!!」


プレゼントの届け先は先日あった小さな少女の家だった、その子を見た愛理はしゃがみ、少女の頭を撫でる。


「えへへー」


シリカは愛理に頭を撫でて貰い嬉しそうに笑う、愛理はそんな愛らしい少女の様子を見て可愛いなぁと微笑む。


「ふふふ、これは多分シリカちゃんのだよね?はい」


「ママ、これなぁに?」


「開けてみなさい」


シリカの頭から手を離した愛理は背中に隠していた、プレゼントを取り出しシリカに渡した、愛理からプレゼントを受け取ったシリカは包みを開けて、中の箱を開ける、中に入っていたのは、可愛らしい人形だった。


「わぁ!可愛い!」


「ふふふ、本当に可愛いお人形さんです」


可愛らしい人形を貰ったシリカははしゃぐ、愛理はそんな少女を他所に、ゴソゴソと鞄の中から何かを探していた。


「見付けた、シリカちゃん、これあげる!」


愛理が探していたもの、それは可愛らしい人形に似合いそうなリボンだった、愛理が小さい頃、母に貰ったものだが、少女の嬉しそうな顔を見て、もっと喜ばせてあげたいと思い、愛理はこれをプレゼントした。


「わぁ!可愛いリボン!貰っても良いの?」


「うん、あげる、そのお人形さんに付けてあげて?」


「うん!」


シリカは早速、愛理から貰ったリボンを人形に付ける、するとストレートヘアーだった、人形はポニーテールとなり、更に可愛さが増した。


「可愛い!ありがとう!お姉ちゃん!」


更に可愛くなった人形を見てシリカは喜び愛理に抱き着く、愛理は少女を優しく抱き締め微笑んだ。




道具屋倉庫前


仕事を全部終えた愛理とラフォリアは倉庫に戻って来た。


「あら、お帰り、愛理、ラフォリアちゃん」


倉庫の前に来ると、明日奈が出迎えてくれた。


「ただまー!」


「そこはただいまですよ、愛理」


愛理は変な挨拶を明日奈に返し、ラフォリアはそれにツッコミを入れた。


「あら?随分と仲良くなったのね?」


明日奈はそんな二人の様子を見て、ニコニコと笑いながら、随分と仲良くなったのねと質問する。


「うん!」


「はい!」


二人は明日奈の質問を聞いて笑い合うと、頷いた。


「ふふふ、お腹空いたでしょう?、報酬を貰って何か食べに行きましょう」


「うん、食べる!」


「はい!行きましょう!」


愛理とラフォリアは明日奈の言葉に頷き、三人で仲良くお昼を食べに向かった。

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