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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
二章、島と島を巡る旅と三尾
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四十七話

船着場


翌日、ブラックウルフェンのアジトで聞いた通り、彼等の船団がサビシート島から見て南西から迫って来ていた。


「愛理!行くよ!」


前日のうちに駆け付けていたレイリが通信機越しに愛理に大きな声を聞かせて来た。


「愛理、俺達について来い」


レイリと共にサビシートに来ていたグラブも愛理に声をかける。


「その良いケツはワシが守ってやるからのぅ」


シバは若干セクハラっぽい。


「うん、ありがとう!頼りにしてるね!」


飛空艇同士の戦闘は初心者である愛理は三人の言葉に頷きガッツポーズをする、そして騎空団の団長達を乗せた飛空艇の船団はブラックウルフェンの飛空艇を迎え撃つ為に船着場から出航する。


「愛理、ご武運を」


戦闘に向かうメサイヤを見送るラフォリアは、愛理の無事を自分を変えてくれた友の無事を天に祈る。



戦闘空域


既にブラックウルフェンの船団と騎空団連合の戦闘が始まっていた、互いに互いミサイルを撃ち合い、躱せなかった方が落ちて行く。


「愛理!ミサイルだ!たっぷりと喰らわせてやんな!」


「了解!」


レイリの声を聞いた愛理はミサイルの発射スイッチを押し、発射する八門の砲塔から発射されたミサイルは前方にいる二隻の飛空艇に命中し、命中した飛空艇は沈没する。


「良いぞ!その調子だ!」


「うん・・・」


グラブが二隻落とした愛理を賞賛の声を送る、しかし愛理は浮かない顔だ、何故なら落とした数だけ愛理は人を殺してしまったのだ、賞賛されても良い気はしない。


(この戦闘に参加するって時点で、騎空団を作った時点で覚悟しなきゃならない事、なら私はこの罪に向かい合わなきゃ、そして殺してしまった人を絶対に忘れない)


愛理は強い意志で人を殺した罪と向き合う事を心に誓う、そしてその罪を永遠に忘れないと心に決めた。


「来るぞ!回避運動じゃ!」


前方からミサイルが迫る、愛理はメサイヤに回避運動をさせつつ、ビーム砲でミサイルを叩き落とす。


「良し!」


ミサイルを躱した愛理は前方に浮かぶ敵飛空艇をロックオンすると、ビームランチャーを発射する、ズシューンと言う重い音と共に発射されたビームランチャーは敵飛空艇を貫き、後方にいる飛空艇までも貫いた。


「やるな、その調子で頼む」


「はい」


ザザッと知らない声の通信が入る、愛理はその声に返答すると、再びミサイル発射のボタンを押した。




「抜けるぞ!回頭してし落とせ!」


ブラックウルフェンの船団はカズが多い、こちらも数が多いとは言え、防御を貫かれこうして防衛網を抜かれてしまう、防衛網を抜けたブラックウルフェンの飛空艇からはすかさず小型飛空艇が飛び立ち、島に向かって行く。


「くっ!」


メサイヤを回頭させた愛理は小型飛空艇を狙おうとするが手が震えて撃てない、撃てない愛理は通常の飛空艇をビームランチャーで撃ち抜いた、その時だ後方からのミサイル接近を示すアラートがなる、愛理は慌ててメサイヤを回頭させようとするが・・・。


「言ったじゃろう!ケツは守るとのぅ!」


シバの飛空艇がガトリングガンでミサイルを全て落としてくれた、シバは先程のセクハラ発言通り愛理のケツを守ってくれたのだ。


「ありがとう、シバさん、でもセクハラだよ」


「ハッハッハッ!なんとでも言えぃ!」


ハッハッハッ!と笑うシバは回頭中のメサイヤのケツを守る、愛理は尻がムズムズする感じを覚える。


(後でお腹でも抓ってやろう・・・)


愛理はそんな事を考えつつトリガーを押す、すると真上からの攻撃を示すアラートがなる、愛理は慌てずメサイヤの機首を上に向け機首のビームを放つが、上にいる敵飛空艇を落としきれていない、それを見た愛理はビームランチャーを放とうとするが・・・。


「任せな!」


レイリの機体からドローンが飛び、特攻した、ドローンの特攻攻撃を喰らった敵飛空艇は沈没し、愛理は焦らず落ちて来る破片を躱す。


「どうだ?レイリの機体のドローンは使い方間違ってるだろ?」


「だね・・・」


そう、レイリのドローンの使い方は間違っている、本来ならドローンは複数機による包囲攻撃を仕掛ける為の物なのだが、レイリは特攻に使ってしまっている、コスト的にも大間違いな使い方である。


「良いんだよ!このくらいの出費は!」


「いやいや勿体無いって・・・」


グラブはレイリにツッコミを入れつつ、とある装備を展開させる、それはビームカッター、羽に装着されたビームカッター射出装着からビームカッターが発射される射出型の切断武器であり、当たればどんな飛空艇も落とせる為非常に強力だ。


「喰らえ!」


グラブはまず一発のビームカッターを発射する、敵飛空艇はそれを右方向に避けるが、それを予測していたグラブは二発目でビームカッターを命中させ、敵飛空艇は真っ二つとなり爆発する。


「やるね!」


「おうさ!」


騎空団連合の戦闘は危なげなく進んで行く。




味方は大して減らず敵が減って行く戦場、ブラックウルフェン側は焦っていた、焦るブラックウルフェンは巨大飛空艇を発進させる。


「大きい・・・」


愛理は巨大な飛空艇を見て身が竦む思いをする、控えめに見ても千メートル級の大きさはありそうだ。


「トドール級だ、制圧型って言われる過去の戦争の時に使われた飛空艇でな、厄介な相手だ」


騎空団連合二発目で向けて迫るトドール級はその巨体の各部に大量に設置された砲門から弾頭を放ち次々と、こちらの飛空艇を落として行く、そして飛空艇が落とされる事で出来た隙間からブラックウルフェンの通常型飛空艇が抜けて行き、次々と上陸して行く。


「ヤバイよ!上陸された!奴等はあの島をソルフロートをもう一度攻撃する為の足場として制圧する気なんだ!止めないと!」


そうサビシート島の位置はソルフロート島を攻撃するのに絶好の位置である、その為その絶好の位置にあるサビシートをブラックウルフェンは欲しがり攻撃して来た、以前潜り込んでいたブラックウルフェンの男もギャングを使いサビシートの戦力を削ぐのが目的であった。


「そのためにはあのデカブツを落とすぞ、お前ら!一斉砲撃だ!」


グラブは他の団長達に対し一斉砲撃を要求する、それに答えた他の団長、そして愛理も一斉に砲撃を開始する。


「くっ、なんと言う防御力じゃ・・・効いておるがこのままでは落とせん・・・」


一分ほどの砲撃、こちらの飛空艇は弾切れを起こす者もおり、トドール級も煙を上げているがまだまだ落ちそうにない、それを見たシバはこのままでは落とせないと焦る。


「任せて!操縦席を落として来る!」


メサイヤの機動力ならトドール級の砲撃を掻い潜り操縦席に攻撃を加えれると判断した愛理は、特攻攻撃を志願する。


「出来るのか?」


「任せて」


「分かった、でも俺も行くぜ」


「あたしもだ」


「うん」


「ケツは任せよ」


ケツにこだわるシバは特攻攻撃の障害となる他の敵飛空艇を牽制する、シバが牽制を行なっている間に、愛理達は特攻攻撃を仕掛けた。


「行っけぇ!」


瞳に投射される網膜投影のスクリーンを一杯に埋める砲撃の雨、愛理は機体をバレルロールさせ次々と回避して行く、機体は次々と被弾して行くが気にせず前に進む、グラブとレイリも被弾しつつも後方からメサイヤをカバーする。


「落とせ!あの三機を!」


「分かっています!しかし速すぎます!」


トドール級の船長は迫る三機を見て焦り早急に落とせと命令する、命令を受けた船員は努力するが三機の動きが速すぎて落としきれない。


「捉えたよ!」


遂にメサイヤの射程に敵の操縦席が入った、愛理は機体を被弾させつつもビームランチャーを放つ、メサイヤのビームランチャーはトドール級の操縦席を貫き、そして致命的なダメージを受けたトドール級は爆発を起こし、落ちて行く。


「やったぜ!愛理!」


「うん」


トドール級の爆発を避けて愛理は、落ちて行く巨大な戦艦を潤を秘めた表情で見守っていた。




『緊急事態です!上陸した小型飛空艇の中に敵、二名の幹部が搭乗していた模様、手が空いている方は応援を望みます!』


防衛網を抜けた飛空艇から発進した小型飛空艇にらアジトで声だけを聞いた二人の男が乗っていたらしい、そして彼等は陸で戦う者が救援要請を入れて来るほどに暴れているようだ。


「行ってくれ愛理、その機体のダメージじゃもう戦えないだろう?」


「うん」


先頭で弾幕を抜けたメサイヤはかなり被弾している、その為これ以上の戦闘は出来ない、愛理は素直にここをグラブに任せ、機体を回頭させると、陸の救援に向かうのだった。


「ほぼ初陣であの実力、期待した通りだっただろ?」


「うむ、あの子は必ず大成する、ハッハッハッ!嬉しいのう!」

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