四十二話
コペラの遺跡
アンデット達をやり過ごした愛理達は遺跡の通路を進んでいる、目指すはお宝一攫千金である。
「キャー!」
前方から悲鳴が聞こえて来た、どうやら前方に別の冒険者の者達がいるらしい。
「どうする?お婆ちゃん、手助けする?」
悲鳴が聞こえて来たと言う事は前方にいる冒険者の者達は襲われているのだろう、そう思った愛理は明日奈に手助けするか聞いた。
「助けましょう、冒険者とは助け合うものだしね」
「うん!それじゃみんなはゆっくりついて来てね!」
明日奈と手助けをすると決めあった愛理は、仲間達に手を振りみんなが照り返してくれた事を嬉しく思いつつ走り始める。
「助けに来たよ!」
悲鳴をあげた冒険者の一団は一分ほど走った距離の広場にいた、広場には沢山のアンデットモンスター、冒険者の者達は全員女性でアンデットモンスターに怯え座り込んで震えている、相当恐怖を感じているのか助けに来たと言う愛理の声も聞こえていないようだ。
「「ホーリーソード」」
彼女らを見て声をかけるのは後だと判断した愛理と明日奈は光の剣を発動させた。
「!?」
するとアンデットモンスター達は一斉にこちらを向いた。
「わっ!わっ!わっ!なんでこっちに来るの!?」
そしてアンデットモンスター達は一斉に愛理と明日奈に向けて飛びかかって来た、アンデットモンスター達は彼等にとって特攻攻撃である光属性を使う二人をさっさと仕留めようとしているのだろうか?。
「愛理!こいつらの爪や牙には毒がある可能性があるわ!当たらないようにね!」
「分かってる!」
迫るアンデットモンスターと最初に相対したのは明日奈だ、ホワイトローズをブレイカーモード、大剣の姿に変形させた明日奈はゾンビや悪霊と言ったアンデットモンスターを纏めて薙ぎ払う。
「な、なんか嬉しそうなんだけど!?」
明日奈に纏めて薙ぎ払われるアンデットモンスターは何故か嬉しそうだ、もしかしたら成仏出来て嬉しいのかもしれない。
「ほっ!」
愛理は近くのゾンビを蹴り飛ばした、蹴り飛ばされたゾンビは他のゾンビを巻き込んで倒れる、愛理は倒れた彼等を纏めて倒す。
「ホントだ、嬉しそう・・・」
愛理に光属性の攻撃で倒されたゾンビ達は、やはり嬉しそうだ。
「なんか気持ち悪いしとっとと倒し切っちゃいましょう!愛理!」
「だ、だね」
絶世の美女である明日奈に気持ち悪いと言われたゾンビや悪霊達はショックを受けた感じの表情を見せる。
一体倒すたびに感謝されてる気がする愛理と明日奈は、アンデットモンスターを仕留め終わった、彼等に襲われていた冒険者の者達は、アンデットモンスターがいない事に気付くと、溜息を吐いてから立ち上がり、二人に近付いてくる。
「ありがと!助かったわ!」
「私達にはこのダンジョンは無茶だったみたい、帰るわ・・・それと助けてくれてありがとう!」
冒険者の者達は愛理と明日奈に感謝してから立ち去って行く、彼女らと入れ替わりにラフォリア達が広場にやって来た。
「無事助ける事が出来たのですね、それでは先に進みましょう!」
「うん」
愛理達は広場を後にし、遺跡の奥に向けて進む。
コペラの遺跡二層
ウィーンカシャン、ウィーンカシャン、二層にやって来た愛理達は、前方にいる者達を物陰から見守っていた。
「何?アレ・・・」
「キラーマシーンだ」
前方にいる者達の正体はキラーマシーンである、キラーマシーンとは魔物狩りの為に作られた機械兵器が暴走し、人間狩りを始めてしまったと言う経緯を持つ人口の魔物で、危険度の高い魔物である。
頭部にはレーザー砲、左右のマニュピレーターにはレーザーライフルとサーベル、足は蜘蛛のような構造となっておりどんな地形でも対応する、そんな危険な魔物が二層にやって来てすぐの広場に大量にいる、そしてこの層にはアンデットモンスターはいないようだ。
「・・・ここは私の芸で気を引いて!」
「意味ないと思うぜ・・・」
人型の魔物には蒼狐の宴会芸は通用するかもしれないが、彼等は機械だ、ただ単に攻撃対象として攻撃して来るだけだろう。
「レベンさん、あの子達の弱点って知ってる?」
キラーマシーンの対処法を知らない愛理は、物知りレベンにキラーマシーンの弱点を知らないかと聞く。
「雷属性の攻撃に弱いと本で読んだ事がある、そしてこの中でその属性の攻撃を繰り出せるのは私だけだろう、ここは私に任せて貰おう」
キラーマシーンの弱点は雷属性の攻撃らしい、弱点を愛理に伝えたレベンは杖を掲げ彼等を仕留めに向かおうとしたが。
「ほー!雷ですか!ならコレですね!」
蒼狐がレベンが動く前に広場に向かって何かを放った、すると猛烈な雷撃が発動し、キラーマシーン達は沈黙した。
「で、デカ乳!?何をしたのです!?」
一撃でキラーマシーンを殲滅した蒼狐を見て、ラフォリアが彼女に何をしたのか聞いた。
「宴会芸用の電飾系の魔法をですね、暴走させたのです、危なくて人がいる状態では使えないのですが、皆さんがこうして隠れているおかげで使えました」
「ふ、ふーん、やりますね、デカ乳の癖に」
蒼狐の説明に関心したらしいラフォリアは、素直な言葉ではないが、蒼狐を称賛した。
「な、なんですかあなたが私に感謝など・・・」
ラフォリアに感謝され面食らう蒼狐は、顔を赤くする。
(おっ?ふーん)
そんな二人を見てある事に気付いたホワイトローズを頭に乗せる愛理は、ホワイトローズと共にふむふむと頷きつつ、メモに何かを書いていた。
愛理達は二層を歩く、キラーマシーンがシャカシャカと歩いているが、レベンが機能停止させ事なきを得ている。
「おっ!部屋だ、入ってみようぜ」
レベンが再びキラーマシーンを停止させた後ケーニが部屋を見つけた、ケーニは意気揚々と扉を開けて部屋の中に入る。
「って何もねーのかよ・・・」
しかしケーニが言った通り部屋には何も無い、埃を被った床にはいくつかの足跡があり、他の冒険者もここに来て何も無い事を嘆き去って言ったのが、奥まで行って引き返して行く足跡を見て判断出来た。
「うーん?本当にそうかしら?ホワイトローズ、サーチ」
このような遺跡に意味のない部屋などないだろうと思う明日奈は、ホワイトローズにサーチを頼む。
「Yes」
明日奈に部屋のサーチを頼まれたホワイトローズはサーチを始める。
「奥の壁の向こうに部屋のような空間を確認」
すると奥の壁の向こうに部屋があると判明した。
「マジか・・・」
ホワイトローズが出したサーチ結果にケーニは驚くのと同時に反省する、見た目だけで物事を早急に判断するのはいけない事だと。
「さぁこの壁の向こうに何があるのか見てみましょう、誰か破壊して!」
下手をすれば壁を破壊するついでにこのダンジョンを消し飛ばし兼ねない明日奈は、仲間達に壁を破壊してと頼む。
「俺がやるよ、ちょっと前にダイナマイトを買っておいたんだ」
明日奈の言葉にケーニが答えた、彼はダイナマイトを火を付けて壁の側に投げる、愛理達は慌てて部屋を出て、ドアを閉めた。




