五話
クーラの町冒険者ギルド
愛理と明日奈は冒険者ギルドに入った、流石は初心者冒険者が集まる町、冒険者を目指しこの町に集まった夢と希望に満ち溢れる少年や少女達は誰もが活気に溢れた目をしている。
「賑やかだね」
「そうじゃな、・・・ご、ゴホン、そうね」
「お婆ちゃん?今なんか変じゃなかった?」
「気のせいよ、うん、気のせい」
「ほんとぉ?」
愛理と明日奈は彼等の姿を眺めつつ、カウンターに向かう。
「ようこそ!クーラの町の冒険者ギルドへ!今宵はどう言ったご用件でしょうか!」
カウンターの前に立つと受け付けのおねーさんが愛想良く挨拶をしてくれた、赤い髪が綺麗な女性である。
「冒険者登録をしたいの、お願い出来るかしら?」
「分かりました!そのプレートに触れて下さい!」
「はーい!」
明日奈と愛理はおねーさんに指定された通りプレートに触れる、するとプレートが光り愛理と明日奈の情報が表示された、その内容は・・・。
『久城愛理
性別女、年齢15歳、種族妖狐、レベル32
技、ホーリーソード、ホーリーブレイド、身体強化、狐火』
『久城明日奈
性別女、年齢362歳、種族妖狐、レベル計測不能
技、解析不能』
と言った内容だった、このプレート、愛理のレベルは解析出来るようだが、明日奈のレベルは解析出来ないようだ、恐らくはレベルが高過ぎるせいだろう。
(計測不能って、初めて見たわ・・・)
受け付けのおねーさんは明日奈の解析結果を見て内心は驚いたが顔には出さ無い、流石は数多の人々の応対をしている、プロである。
「ありがとうございます、冒険者カード完成致しました、絶対に無くさないで下さいね、再発行には50000ゴールドも掛かってしまいますから」
「それは辛いわね、無くさないようにするわ」
愛理と明日奈は勿論この世界のゴールドは持っていない、その為50000ゴールドは大金である、だから絶対に無くさないように気を付けなくてはならない。
「それでは、冒険者としての心得はあちらにある看板に描いてありますので、それをしっかりと読んで、冒険者としての生活をお楽しみ下さいませ」
「うん!ありがと!おねーさん!」
冒険者登録を終えた愛理と明日奈はおねーさんに言われた、冒険者の心得が書かれている看板に近付く。
その内容は冒険者ランクはEランクからSランクまでで、依頼を完遂させポイントを貯める事で上のランクに上がる、依頼の難易度はランクにより変動し、報酬も変動する、パーティ登録はカウンターで、ポーションや魔力回復薬の購入は忘れないように、等の基本的な内容だった。
「グラン王都のギルドと変わんないね」
「そうね、まぁ、ここら辺の内容は何処も同じよ」
冒険者の心得を見終えた愛理と明日奈はクエストボードに近付く、取り敢えずは依頼をこなし宿に泊まる為の宿費を得る必要があるのだ。
「愛理、あなたが選びなさい、仕事始めだし、取り敢えずは簡単な物でね」
「良いの?やったぁ!」
明日奈に依頼を選べと言われた愛理は尻尾を揺らしつつ、依頼を選び始める、愛理の可愛らしく無邪気な様子を男達が鼻を膨らませ見ている。
(うーん、うちの孫はちょーと隙だらけね)
明日奈はチラリと後ろを見て男達の様子を確認すると、これからはこの子にそう言う教育も愛理にしてあげないとなと、思った。
「これにする!」
依頼を選び終えたらしい愛理は、明日奈に一枚の依頼書を手渡す。
「薬草30枚の採集依頼、報酬は1800ゴールド、ちょーと少ないけど、この世界での初めての仕事だしこんなものね、良いわこれにしましょう」
依頼の内容を確認した明日奈は頷き、愛理に依頼書を返す。
「それじゃあ、受けてくるねー」
尻尾を振りウキウキした様子の愛理は、依頼書を持って依頼を受けにカウンターに向かった。
ベレー草原
ここはベレー草原、クーラの町の北と西と東方向に広がる草原で、南側には愛理達が抜けて来た森が存在している。
ここに生息する愛理が見渡して見える範囲に、動物は山羊や鹿や猪や狼、魔物はスライムやゴブリンが居るようだ、初心者冒険者の町の近くである為か危険な動物や魔物は居ないようである。
「さぁ、薬草集め、頑張りましょうか」
「うん」
依頼書の裏には、この地方の薬草は木の根元に生えると書かれている、その記述を見た愛理と明日奈は、近くにある木に近付き根元を見てみると確かに三つ葉の青々とした草が生えている、薬草を見つけた愛理は採取し鞄に入れた。
周囲を見渡してみると他にも同じ様に木の根元を見て回っている者達がいる、愛理達と同じく薬草の採取を行っているのだろう。
薬草を集め続け、25枚ほど集めた二人はクーラの町から少し離れた場所まで来ていた。
「見て見て!お婆ちゃん!四つ葉のクローバー!」
下を見るとたまたま四つ葉のクローバーを見つけたい愛理は、尻尾を振りつつ、明日奈に見つけた物を見せる。
「あらあら、良かったわね、でもぉ?」
愛理が見付けたクローバーを見た明日奈は、尻尾を振る孫の姿を見てやっぱり可愛いわこの子と思ったが、その考えを振り切り孫の頬を抓る。
「真面目に働きなさい」
「ふぁーい」
明日奈に頬を抓られる愛理は、フガフガと返事をした、それを聞いた明日奈は頬から手を離し、明日奈に注意された愛理は瓶にクローバーを入れてから、薬草を探す。
「あった!見付けたよ!」
「こっちも見付けたわ」
更に数分後、愛理と明日奈は薬草を集め終わった、キッチリ30枚、これを冒険者ギルドに届ければ依頼は完了である。
「終わったね、ギルドに戻ろうよ、お婆ちゃん」
「そうね、戻りましょう」
薬草を集め終わった愛理と明日奈はクーラの町に向けて歩いて行く。
宿、マナマナ荘
ギルドで報酬とランクポイント50を受け取った二人は、お風呂に入っていた。
「・・・」
既に髪も体も洗い終えている愛理は鼻までお湯に浸け、ブクブクと水面を揺らしつつ、ジト目で明日奈の体を、特に胸部のマシュマロを見ていた。
(お婆ちゃんの大きいなぁ)
明日奈のマシュマロは非常にボリューミーな物であり、愛理の家族の中でも最大の大きさである、愛理は明日葉がそこそこ大きい事もあり15歳ながらそこそこの大きさの物を持っているのだが、それでも自分の物は明日奈の物に数段劣る、正直羨ましい。
(でも腰の細さや足の長さでは負けてないもん、ないもん!)
マシュマロの大きさでは負けたが、腰や足は負けてないと心の中で言い張る愛理は、更にブクブクと水面を揺らす。
(・・・視線でどこを見てるのかバレバレよ?愛理・・・)
巨大マシュマロに愛理の視線を感じている明日奈は、気付いてはいるが無視してあげていた。




