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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
二章、島と島を巡る旅と三尾
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三十五話

トバッハ自警団


ここはトバッハ自警団の二階にある作戦会議室、トバッハ自警団はギャングが彼等の家族を攫ったのを機に作られた自警団である為、ギャング達はまだこの三階建ての建物の中にいる者達が自分の敵になるとは考えてはいない。


「さて、あなた達の作戦を聞かせてくれるかな?」


椅子の上にちょこんと座る愛理は机の反対側に座るジェラに、どんな作戦を立てているのか聞いた。


「僕らの家族を攫ったギャングはレッドスカルと言う、この町で一番の勢力を持つギャングだ、一番の勢力を持っている彼等に正面から戦いを挑んでも勝てないだろう」


「だね、そんな大きな力を持ってる奴等に正面から当たっても勝てないね、でも私にこの話を持って来たと言う事は勝算があるんでしょ?」


「ある、この町トバッハの町は地下に広大な地下通路がある、そしてその通路は奴等のアジトにも繋がっているんだ、だから僕達は地下から奴等のアジトに潜り込み、地下からの突然の襲撃に驚く奴等を一網打尽にするつもりだ」


話を聞いた愛理はこの手なら数で劣っていても迅速に行動すれば勝てるかもしれないと考えた。


「作戦はそれで良いよ、でもあなた達、この後の事考えてる?レッドスカルを潰して名を挙げた時点で他のギャングが敵討ちとして戦いを仕掛けて来るかもしれない、それをあなた達はどうするつもり?」


そう、作戦が上手く行き、彼等の家族を助けれたとしても、レッドスカルと仲の良いギャングが敵討ちとして攻撃を仕掛けて来るかも可能性は十分に考えられる、もしそうなった場合の手が無いのなら作戦を実行するのはやめておくべきだ。


「ロロックの町や他の町の協力を得るつもりだ、僕達と他の町の自警団は繋がっていてね、レッドスカルさえ潰せば、後は他の町の自警団の協力を得てギャング達を一網打尽に出来る」


つまりレッドスカルさえ無くなれば、後は愛理の協力がなくてもギャングを追い出し、他の町の自警団と共にこの町を平和な町に出来るという事だろう。


「ちゃんと後の考えがあって安心した、それじゃ作戦を実行する前に地下通路を見せてくれる?出来れば水がある場所を教えて欲しいの」


地下から侵攻すると言う彼等の作戦にもう一段階ある策を加えるつもりの愛理は地下通路で水がある場所を知りたいとジェラに言った。


「水か・・・確か・・・、ついて来てくれ」


「うん」


水と言われたジェラは暫く悩み、水がある場所を思い出したのか顔を上げ立ち上がり愛理について来るように言った、愛理は彼と共に地下通路に向かう。



地下通路


トバッハの町地下通路、薄暗く、埃臭い一本道で無数に分かれ様々な場所に繋がる通路が存在する地下空間だ。


愛理を案内するジェラはとある場所で足を止める、目の前には貯水槽があり、少し汚いが水が溜まっている。


「どうだい?」


「うん大丈夫、これならあの子を召喚出来る」


「あの子?」


「それは作戦を実行する時のお楽しみだよ、さっ帰ろっか」


ニヤニヤとジェラに策を隠す愛理は彼の前を歩き、歩いて来た道を引き返す、ジェラは愛理が何をしようとしているのか気になりつつも、愛理の後ろを歩く。




宿


「って訳でお婆ちゃん達にはレッドスカルの建物の上から攻め込んで欲しいの」


ここは明日奈達が取った宿の一室、明日奈にこっぴどく叱られ正座でもしてなさいと言われた愛理は素直に正座をしつつ、仲間達に上から攻め込んで欲しいと頼む、愛理は明日奈達に上から攻めさせることでレッドスカルの者達を上と下から挟み込むつもりなのだ。


「レッドスカルの本部は四階建てみたいなんだけど一階は作戦開始時点で私が一網打尽にする、そして二階を自警団のみんなと私で、お婆ちゃん達は四階と三階を頼めるかな?」


「分かりました、任せて下さい」


愛理が無事に帰って来て嬉しくて仕方ないと言った様子のラフォリアは愛理の腕にくっ付きつつ、任せろと言った。


「まぁ、報酬も悪くないし、やってやるさ、任せな」


「うむ」


「仕方ないわね、良いわよ」


ラフォリアの他の仲間もやってくれるようだ、愛理はこれを聞いてホッと安心する。


「ありがとね!みんな、それじゃ私はあっちに戻るからまた後でね」


正座に疲れフラフラと立ち上がった愛理は部屋から出て行こうとするが、明日奈に抱き締められた。


「気を付けるのよ?愛理」


「えへへ、うん」


明日奈に抱き締めて貰って嬉しい愛理は微笑みつつ頷き、明日奈ももう一度強く抱き締めてから愛理を離す、そして愛理はトバッハ自警団に戻って行った。




地下通路、レッドスカル近く


ここはレッドスカルの地下進入路近く、愛理はここでアクエリアスを召喚する。


「さぁアクエリアス!やる事は分かるよね!」


「ああ、任せな!」


愛理の言葉にちょっと悪そうな顔で笑ったアクエリアスは手のひらを地下進入路に向ける。


「行きな!」


アクエリアスは手の平から大量の水を放出する、アクエリアスにコントロールされた水は彼女の後ろにいる愛理達の方には来ず、目の前に見える階段を駆け上って行く。


「三分ほどお願いね」


「了解」


アクエリアスは悪い笑顔のまま水を放出し続ける、これが愛理の策、水で一階の奴等一網打尽作戦である。

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