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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
二章、島と島を巡る旅と三尾
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三十一話

宿、コロコロ


馬が走る音、パカラパカラと言う音を聞いて愛理は耳をピン!と立ててから目を覚ました、眠る明日奈の横を通り窓に近付くとカウボーイ達が馬で町の外に向かう所のようだ。


「どこ行くんだろ?」


彼等がどこに向かうのか気になった愛理は服を着替え、剣を腰に装備すると部屋を出る、起きて自己メンテナンスをしていたホワイトローズも一緒だ。



宿、コロコロ前


「おじさん!」


ここは宿コロコロ前、愛理は目の前を走って行くおじさんに声をかける。


「うむ?なんだね?」


おじさんは愛理の言葉に反応し馬を止める。


「そんなに急いでどこに行くの?」


「うむ、今日はジューシーモーモーが現れる日でな、ジューシーモーモーの肉は美味で高く売れる、皆それを狩りに向かっているのだ、それでは俺も急いでいるのでさらば!」


所謂町民だけが知るお小遣い稼ぎと言った物らしい。


「ふーん、ふふーん面白そう、おじさんの急いだ様子を見るにお婆ちゃん達を起こしてる時間はないけど、私達も行ってみようか、ホワイトローズ」


恐らくカウボーイ達がカウボーイらしくジューシーモーモー達を銃で撃ち抜き仕留める様子を見たいと思った愛理は、彼等の狩の様子を見てみようとホワイトローズに持ちかける。


「Yes、興味深いですし、行ってみましょう」


「良し!来て!アルヒィン!」


カウボーイ達のジューシーモーモー狩りの様子をホワイトローズどこに見ると決めあった愛理は馬の精霊、アルヒィンを呼ぶ、アルヒィンと言う名前は愛理が付けたニックネームである。


「はい!」


愛理はアルヒィンに付けられた手綱を叩き、カウボーイ達を追って荒野に向かう。


「あらあら、ふふふ、お転婆なのは小さい頃から変わらないわね」


アルヒィンを操り走って行く愛理を窓から見守っていた明日奈は、ホワイトローズがいるのなら大丈夫だろうと判断し、もう一眠りする事にする。




ロロックの荒野


愛理がアルヒィンと共にロロックの荒野に来ると、カウボーイ達は雄叫びを上げてジューシーモーモーを追い立てていた、上手く追い立てた所で一斉に銃弾を放ち仕留め、回収担当のカウボーイが荷台に乗せて行く。


「上手ー!凄いね!」


「Yes、長年の経験が伺えます」


愛理とホワイトローズがカウボーイ達の手際の良さに感心していると、1匹のジューシーモーモーが愛理目掛けて突っ込んで来る、今愛理が着ているのは赤色の服、恐らく服の色に興奮して襲いかかって来たのだろう。


「はい!」


カウボーイ達が銃を使うのなら愛理は剣を使う、アルヒィンを走らせ自信ありげな表情の愛理は突っ込んで来るジューシーモーモーと相対する。


「っ!」


アルヒィンがもう少しでジューシーモーモーの角に貫かれると言った所で愛理は馬頭を左に向け角を躱す、そして剣を一閃ジューシーモーモーの首を斬り裂いた。


「良し!」


愛理に首を斬り裂かれたジューシーモーモーは絶命し倒れる、一体仕留めた愛理は誇らしげに剣を天に掲げた。


「おうおうやるではないか!服の色は感心しないが、手伝ってくれるのならその調子で頼む!」


ジューシーモーモー一体を愛理が仕留めた様子を見ていた先程のおじさんが近付いてきて愛理を褒める、愛理はやるではないかと言われた所で尻尾を誇らしげに掲げ、服の色は感心しないと言われた所で尻尾をヘニャリと垂らす。


「ほぅれ、お前さんを狙って来たぞ、どうする?」


「囮になる、おじさんが仕留めて」


「よかろう」


愛理の服にジューシーモーモーが引き付けられるのならば愛理が囮になるべきだと判断した愛理は、おじさんの聞き手を確認し右手だと理解してから、アルヒィンを走らせる。


「どうするんです?」


「簡単だよ、見てて」


愛理は馬を円形に走らせる、今はおじさんの左側、やがて真後ろ、そして真横に右側に入る、ジューシーモーモーがおじさんの真横に入る少し前に愛理は口を開く。


「おじさん今だよ!撃って!」


「了解」


愛理に撃てと言われたおじさんは銃弾を放つ、銃弾は見事命中し、ジューシーモーモーは倒れた。


「なるほど、愛理に引き寄せられるのですから、彼が撃ちやすい右側に誘導したと言う訳ですか」


「ふふーん、そゆこと、ほらまた来た!」


ホワイトローズと話しているとふたたびジューシーモーモーが来る、愛理は再び同じ手を使いおじさんと共に、ジューシーモーモーを仕留め続けた。



一時間後、ジューシーモーモー狩りは終了した、急に落ち着いたまだまだ大量にいるジューシーモーモーは反転しカウボーイの一団から離れて行く。


「お嬢さんのおかげで個人的な報酬が手に入りそうだ、ありがとう、後で山分けにしよう」


「えへへ、うん」


愛理やおじさんの周りにはかなりの数のジューシーモーモー、これだけいればかなりの儲けになりそうだ、そして狩をしながらおじさんにこの後狩った者達で焼肉パーティを開くと聞き、狩りに参加したのだから参加しても良いと言われた愛理は焼肉!焼肉!と尻尾を揺らす。




ロロックの町


報酬10万ゴールドを貰い、焼肉パーティを楽しんだホワイトローズを頭を乗せる、愛理はロロックの町を歩く、ジューシーモーモーの肉はその名の通りジューシーで、大変美味であった、いつかまた来て食べたい。


「ん?」


食った食ったと腹を撫でる愛理通りホワイトローズの視線の先には、派手な魔道具屋、如何にもな怪しい雰囲気を醸し出しているが面白そうである、愛理はスタスタと店に近付き店に入る。


「これはなんとも・・・」


「面白い店だね・・・」


2人の視線の先には明らかに危険な魔道具達が棚に置かれている、その一つは爆発ポーション、蓋を開けたら爆発すると言った物で、暗殺用途にどうぞと書かれている。


「怖いよ・・・」


「なんでこんな物売っていられるのでしょう・・・」


明らかに危険物なポーションから視線を逸らし、別の棚を見ると今度は、伸縮剣、伸びたり縮んだりする剣らしい、しかし壊れれば永遠と伸び続けるようになるらしく、そうなった場合は島の下に投棄して下さいと書かれている。


「もし下に大陸があればさ、大迷惑だよね・・・」


「ですね、下に未開の地が無いことを祈ります」


有るかもしれないし、無いかもしれない地上の心配をしつつ次の棚に目を移す、そこにはジャンプブーツ、これを履けば高い所まで簡単に行くことが出来るらしい。


「あっこれ良いかも」


明日奈と違い飛行手段を持たない愛理にとって飛行手段となるこのブーツ、非常に有用に見えた。


「駄目ですよ愛理、出力が不安定で下手すれば、室内の場合は天井に激突し、野外の場合は高く飛びすぎて落下死する危険性があるそうです」


「ひゃーあ」


こりゃ駄目だと愛理は次の商品を見る、今度は穴掘り君、地面に設置すると穴を掘ってくれるらしい永遠に。


「これ使えばそのうち島に穴開けれるんじゃないかな・・・?」


「恐らくですが・・・」


「うん、出ようか」


「Yes」


ここで買う物は何もなさそうだと判断した愛理は店を出た、そしてまた通りを歩く。


「おっ、野球かな?あれ?」


「微妙に違いますが似ていますね」


いつの間にか入っていた公園で少年や少女達が野球みたいな遊びをやっていた、彼等は楽しそうに野球伸びような遊びをやっている。


「よーし、おねーちゃんも混ぜて貰おうかな?」


彼等と遊びたくなった愛理は身を屈めつつ彼等に混ぜてくれないかと聞く。


「おねーちゃん?うーんおねーちゃん?まぁ良いよ!」


「な、なんでおねーちゃんって所に悩むのかな!」


愛理の事を歳上か?と悩む少年達にツッコミを入れつつ愛理は彼等に混ぜて貰い、野球みたいな遊びを楽しんだ。



宿、コロコロ


「まー!」


「ただいまですよ、愛理」


元気良くただいまの挨拶をしホワイトローズ似て訂正された愛理は部屋を見渡すが、誰もいなかった。


「誰も居ないね」


「ですね」


部屋に仲間達がいなかった事を残念に思いつつ愛理はベッドに寝転がる、頭の上から離れたホワイトローズは愛理のお腹の上に乗る。


「ふふふ、今日は楽しかったね、ホワイトローズ」


「はい」


そして愛理はホワイトローズと共にいつの間にか眠っていた。





三時間後パチリと目を覚ました愛理は顔を上げる、するとゴツンと何かに頭を当てた。


「イテテ・・・」


痛む頭を抑えつつ愛理は何に頭を当てたのかと部屋を見渡すとラフォリアが頭を抑えて悶絶していた。


「石頭なのですね、愛理は・・・」


「そ、そうかな?あはは、ごめんね?」


「良いですよ」


しかし愛理は考える起こすだけなら顔を近付ける必要はないと、ラフォリアは何をしようとしていたのだろうか?。


「ねっ、ラ・・・」


「さ、さぁ!皆さんご飯を食べていますよ!下に行きましょう!」


愛理がラフォリアに何をしようとしていたのか聞こうとすると、ラフォリアは突然大きな声を出して愛理の声を遮り部屋から出て行く。


「ど、どったの?」


愛理はそんな彼女に首を傾げつつ後に続いて夕食を食べに向かう。

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