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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第一部、一章冒険の始まりと三尾
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四話

第438世界メルファファスタ


複数の浮遊大陸が存在し、人々は飛行船により大地と大地の間を移動する世界、この世界の人々は古き時代から広大な空と共に生きて来た。



ベレー島


ベレー島、この世界の初心者冒険者が集まる島である、様々な種類の魔物や動物が生息しており、冒険者としての経験を積むのに打って付けの島なのである。


「わー!本当に浮遊島の下に大地が無いんだね!」


「ええ、どういう構造なのかしら?この星・・・」


愛理が言うようにこの世界の浮遊島の下には大地が無い、浮遊島から下を覗くとただただ白い雲が見えるだけなのである、勿論白い雲の下に向かった者も居るが帰って来た者は居ないと言われている。


「さて、そろそろ下を見るのをやめて、町に向かいましょうか?愛理、この世界での冒険者カードを作らなきゃね」


「はーい!」


明日奈に町に行こうと言われた愛理は返事をし、下を見るのをやめて明日奈の隣に駆け寄る、そして二人は近くに見えている街道を歩き町に向かう。


「凄い風だね」


「そうね」


愛理と明日奈が居るすぐそこが崖のこの場所は物凄く風が強い、ジャンプすれば数秒浮けそうな程に、その時だ、大きなエンジン音が聞こえて来た、エンジン音を聞いた愛理と明日奈は耳をピン!と立てつつ空を見上げる。


「わぁ!大きな船!」


大きなエンジン音の正体はこの世界の人々が島と島の間を移動する飛行船だった、帆船に翼を生やしたようなその姿はとても力強い、空を別の島に向けて行く飛行船は愛理と明日奈に見送られ、別の島に向けて進んで行った。


「凄かったね」


「ええ、いつか乗っちゃいましょうか?」


「うん!」


愛理はまた一つ楽しみが出来たと尻尾を揺らし喜ぶ、あの大きな船に乗って旅が出来るのだ、楽しみで楽しみで仕方がない。




船を見送った愛理と明日奈は街道を行く、二人の周囲には広大な草原、沢山の花々や沢山の草木が生を謳歌しており、のどかな風景が広がっている。


二人が尻尾を揺らしながら歩いていると、前から馬車が近付いて来るのが見えた、馬車を操縦しているのは優しそうなドワーフのおじさんだ。


「こんにちは」


「やぁやぁ、綺麗な姉妹さん方、こんにちは」


愛理がおじさんに挨拶すると、ドワーフのおじさんは挨拶をしてくれた、しかし彼にとっては愛理と明日奈は姉妹に見えたらしいが仕方がない、二人の外見はよく似ているのだ、そして明日奈にとってはそれは嬉しい事でもある、若く見て貰えていると言う事だからだ。


「町はもうすぐかしら?」


「ああ、歩いてなら後1時間って所さね」


「ありがとう」


機嫌の良い明日奈はドワーフのおじさんに町はもうすぐかと聞き、彼は後1時間程だと答えた、それを聞いた明日奈は彼にお礼を言い、それを聞いたドワーフのおじさんは愛理と明日奈に手を振ると、街道を馬車を走らせ進んで行った。


「私達、姉妹に見えるんだね」


「ふふふ、そうみたいね」




更に15分程歩いた愛理と明日奈は森の中を歩いている、チュンチュンと鳥の声が聞こえ、リスやウサギなどの動物の姿を確認出来た。


「ふふ、かーわいい」


何故か動物によく懐かれる愛理は、肩に2匹のリスを乗せている、2匹のリスは愛理が指先で頭を撫でてやると、頬を舐めてくれてくすぐったい。


「あら?もう行っちゃうの?」


愛理が一頻り頭を撫でてやるとリス達は愛理の服を伝って地面に降りる、自分から離れて行くリスを見た愛理はもう少し彼等を触っていたかったと少し残念に思う。


「仕方ないわ、彼等にも彼等の生活があるのだから、彼等が生きる時間をあなたに少しだけくれた事を感謝しなさい」


「うんそうだね、あの子達は私にあの子達の少し時間をくれた、その事を感謝しなきゃ、リスさん達ありがとう」


森の中に消えて行き姿が見えなくなったリス達に愛理は感謝する、明日奈はそんな愛理の髪を撫でる。


「あれ?」


そして二人がまた歩き始めると、リス達がガサゴソと茂みから出て来た、彼等はその小さな手に何かを持っている。


「くれるの?」


愛理がリス達に近付きしゃがむと、彼等はその手に持つどんぐりを差し出して来た、それを見た愛理は手を平を彼等の側にやると彼等はどんぐりを愛理の手の平に置いた。


「ふふふ、ありがとうリスさん、大切にするね?」


愛理は彼等の食料であろうどんぐりをくれたリスに感謝し頭を撫でる、愛理に感謝されたリス達は愛理の手を舐めてから、茂みの中に消えて行く、彼等の寝床に帰って行ったのだろう。


彼等の姿を見送った愛理はどんぐりを大切に鞄の中に入っている瓶の中に入れた、小さな小さな彼等がくれた親愛の印は愛理の一生の宝物となる。




クーラの町


愛理と明日奈は森を抜け、クーラの町にやって来た、栄えた町のようであり、人々の楽しそうな笑い声が聞こえて来る。


「綺麗な町ね」


木造建築の家々が並ぶ、クーラの町はとても美しい、レンガ造りの道や、道の左右に造られた花壇には様々な美しい花々が咲き誇っている、遠くの方には噴水が見え、その周囲では子供達が楽しそうに遊んでいる。


初めて来た町では何が何処にあるのかを把握しておくのが大切だ、それを理解している愛理は、周囲を見渡し、武器防具屋や道具屋、八百屋などを見付けた、路地裏を見ると如何わしい店が見えたが、まだ15歳である愛理はすぐに目を逸らし見なかった事にする。


「おねーちゃん、何処から来たの?」


噴水の前までやって来ると、女の子が愛理に話しかけて来た、愛理は女の子の視線に合わせるようにしゃがむ。


「ちょっと遠い所だよ」


「どんな所?」


女の子にどんな所?と聞かれた愛理は自分の自宅を思い出す、暖かくて幸せなあの場所を。


「そうねー、この町みたいなとても綺麗な所だよ」


「私も行ける?」


「うーん、それは分かんないかなぁ」


愛理の故郷、地球に行く為には転移の魔法が必要である、流石にこの子が転移を使えるようになるか分からないので、愛理は分からないと答えた。


「そっかぁ・・・でも話してくれてありがと!おねーちゃん!」


愛理に分からないと言われ女の子は少し残念そうな顔をする、しかしすぐに笑顔を見せ、愛理に話してくれてありがとと言い、去って行った。


「小さい子って可愛いなぁ」


愛理は小さくなって行くその背中を見送り、見えなくなった所で立ち上がる。


「さっ!お婆ちゃん、冒険者ギルドに行こ!」


「ええ」


愛理と明日奈、そして明日奈の胸ポケットで眠るホワイトローズは、冒険者ギルドに向けて歩いて行った。

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