二十四話
オーセール山
前日たっぷりとアツイーヨ荘の温泉や美味しい料理を満喫した愛理は、団のみんなに今日は自由行動と言い、1人でオーセール山の中腹のレベンの家まで来ていた。
「それで何しに来たのだ?」
前日一緒に戦った仲とは言え、仲間でもない愛理が現れたとすればこう聞くのは仕方ないだろう、レベンは愛理に何しに来たのか聞く。
「みんなも言ってたけど、あなたがここで何してるのか気になってねー、何してるの?」
こう言う時の愛理は明日奈もそう言う所があるのだが、単刀直入である。
「何をしているのか・・・か、ふぅむ困ったな、そう聞かれても何もしていないとしか答えれん、私は今は隠居生活中だからな」
「それじゃ、ここに来る前は何をしていたの?」
レベンが隠居生活をしていると聞いた愛理は、隠居生活をする前は何をしていたのか聞いた。
「私の国の王宮で王宮魔導士をしていた、もうやめて一年になる」
「ふぅん凄いんだね!」
「それ程でもない」
レベンは愛理に凄いと言われても誇らない、愛理はそんな彼を見て彼は驕りを持たない人なのだと思った。
「ねっレベンさん、レベンさんの国ってどんな国なの?」
彼が口にした彼の国について気になった愛理は、彼の国はどんな国なのか質問する。
「私の国は広い領土を持った島で、緑豊かな美しい島だ、島には沢山の町があって中心に私が仕えていた王宮がある、名はエルフィン王国、エルフの国だ」
「へぇー」
愛理は彼の話を聞いて思う、いつかエルフィン王国にも行ってみたいと、そしてレベンが生まれ育った国を見て回るのだ。
「ねっ!もっとお話し聞かせて?」
「良いぞ、ロックタートルを打ち倒した君にならなんでも聞かせてやろう」
愛理はレベンに沢山の話を聞かせてもらった、そのどれもが愛理をワクワクさせる、魅力的な話だった。
三時間後、レベンの話は尽きることが無く彼はまだ愛理に話を聞かせていた、愛理は尻尾を揺らし頬杖しながら楽しそうに彼の話を聞き続けていた、その時だレベンが急に話をやめて立ち上がる。
「どったの?レベンさん」
「妙な魔力を感じた」
妙な魔力を感じたと言うレベンの言葉を聞いた愛理は立ち上がり目を閉じる、すると確かに西の方に妙な魔力を感じる。
「行ってみる?」
「ああ、行ってみよう」
妙な魔力を感じた2人はレベンは実にシンプルだが、質の良い木で作られた杖と、愛理は机に置いていた剣を腰に装備し妙な魔力を感じた場所に向かう。
オーセール山西
愛理とレベンは異常を感じた場所にやって来た。
「あれは・・・なに?レベンさん」
「魔力暴走だ、一箇所に魔力が溜まり過ぎると起こる現象だ」
魔力暴走が起こる地点からは地面から天に向かって赤い魔力が噴き出している、魔力暴走の範囲は徐々に広がっている。
「どんどん広がってるけど、あれが大きくなって行ったらどうなるの?」
「島が崩壊する、あれはこの島を構成する魔力も吸い上げ天に放出してしまうのだ、即急に止めなくてはならん!」
レベンは魔力暴走が広がればどうなるのか愛理に説明すると、杖を構える。
「私も協力する!どうすれば良いの?」
ここまで来てなにもせずに帰る気などない愛理は、レベンに魔力暴走を止める為にはどうすれば良いのか聞いた。
「魔力暴走の中心地、そこに魔力の塊がある、それを破壊すれば止まる」
魔力暴走の中心地に魔力の塊があると聞いた愛理は目を閉じて探ってみる、すると確かに球体の魔力の塊が存在しているのを感じた。
「あれだね、分かった」
対象の場所が分かればこちらのもの、愛理は剣を構え、剣に魔力を込める。
「うむ、期待しているぞ」
レベンは愛理の肩を叩いてから杖に魔力を込め始める、そして2人の魔力が高まり2人は、魔力を魔球体に向けて放った。
「どうだ?」
2人が放った魔力は球体に命中する、しかし球体は少し傷付いただけでまだ生き残っていた。
「くっ!拡大スピードが早い!もう一度行くぞ!愛理!」
レベンはもう一度杖を構え愛理を見る、そして目を見開く、愛理が金色の光を放ち宙に浮かんでいたのだ、そしてレベンは確かに見た愛理の手の甲の上に浮かぶ黄道十二宮の紋章を。
「・・・消え去れ」
愛理は剣を放してから球体に向けて手を向ける、そして手のひらから金色の光を放つと次の瞬間、金色の光は球体を貫き、暴走した魔力は空に向けて発散し、魔力暴走は収束した。
「君は・・・誰だ?」
魔力に精通するレベンは今の愛理を見ただけで理解する、今の愛理が愛理ではない事を、そして尋ねるお前は何者だと。
「何故お前にそれを教える必要がある?」
謎の存在はレベンに自分の正体を話すつもりなど無い事を伝えた、そして愛理を包む金色の光は消え愛理は倒れる、レベンは慌てて愛理を受け止める。
「・・・」
気を失った愛理を横抱きに抱いたレベンは謎の存在の正体を考えつつ、眠る愛理を連れて麓の温泉街に向かうのだった。
???
「あなたは誰?」
「私?私はお前の・・・」




