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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
二章、島と島を巡る旅と三尾
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二十二話

オーセール島、温泉街


愛理達はオーセール島の温泉街を歩く、普段はもっと活気があり人で賑わっている筈の温泉街の様子を眺めながら。


「どの宿も閉店だね・・・大丈夫なのかなぁ」


「・・・みたいね、許さないわよ、源泉を止めているっていう魔物!」


2人の妖狐は尻尾をピクピクさせつつ全く別の反応をする、愛理は温泉街の者達を心配し、明日奈は源泉を止めている魔物に怒っている。


「レイリさん、源泉の詳細な場所を知っていますか?」


ラフォリアはそんな2人の様子を見てクスリと笑ってから、レイリに源泉の詳細な場所を聞く。


「任せな、あの山は何回か入った事があってねぇ、ついでに源泉を見に行った事もあるから案内出来るよ」


「なら道案内をお願い致します」


「あぁ、道案内はこのレイリ姉さんに任せな!」


こうして愛理達はレイリの道案内に従い、温泉街を離れ、温泉の源泉に向かう。



オーセール山


ここはオーセール山、温泉街はこの山の麓にあり源泉は山頂にある、魔物は火の属性を持った魔物が多い。


「危ない!」


「うぉ!?」


ケーニの足元から突然熱湯の間欠泉が噴き出した、何かがせり上がって来る音を優れた狐の耳で捉えていた愛理は、ケーニが間欠泉に巻き込まれる前に彼を引っ張り彼を間欠泉から守る。


「危なかったねぇ、ここはそんな感じで間欠泉が噴き出して来るから気を付けな、ほら地面の所々に穴があるだろう?その穴を避けるようにして歩くんだ」


「分かった」


レイリのアドバイスを聞いた愛理達は地面に開いた穴を避けるようにして歩く、そうしている間にも地面からお湯が噴き出し、遠くの方では間欠泉に魔物が打ち上げられていた。


「当たったらああなる訳だね・・・」


打ち上げられたがなんとか地面に着地しフラフラと歩いて行く魔物を見た愛理は、絶対に間欠泉に当たらないようにしようと心に決めた。


「ねえ、レイリ」


「はい!なんでしょう!姉さん!」


「・・・」


明日奈がレイリを話しかけるとレイリはビシッと振り返る、そして明日奈を姉さんと呼んだ、それを見た愛理は明日奈はレイリに何をしたのだろうと、明日奈を白い目で見るが無視された。


「ここで一番強い魔物はどんな奴なの?、こんな環境だもの、みんなそこそこ強い筈、その中でも一番強い奴を知りたいわ」


「少し待って下さいね?」


明日奈に一番強い魔物はどれかと聞かれたレイリは歩きつつ、一番強い魔物を探す、そして見つけたようで指を刺した。


「あいつですね、ロックタートル、あいつらがここでは最強の魔物です」


「ふぅん」


ロックタートル、その名の通り岩の甲羅を身に纏った亀である、ロックタートルの甲羅は地面から噴き出す間欠泉を物ともせず防ぐ、彼等は頑丈な甲羅により間欠泉から身を守る事で安全に数を増やし続け、この島で一番の勢力を作り上げたのだ。


「あいつらはのしかかり攻撃をしたり、ほら見て下さい!」


「わー!火を噴いたよ!」


ロックタートルの攻撃方法はのしかかりや突進、もう一つが火炎放射だ、彼等の火炎放射は非常に高温であり、彼等の敵はあっという間に消し炭にされてしまう、攻撃力の面でも彼等はこの島の頂点に位置するのだ。


「数も多い、喧嘩を売らない方が、良さそうだな」


「はい・・・」


この周囲を見渡しただけでも、ロックタートルは30体程いる、この数に囲まれれば愛理達はあっという間に火炎放射で消し炭にされそうだ、ならば避けて進み刺激しない方が良さそうだ。


愛理達はロックタートルを刺激しないよう、出来るだけ音を立てないようにして歩き、先に進んで行く。



オーセール島洞窟


「ジメジメしてるねー」


「あぁ、水蒸気が、壁や地面から噴き出してるんだ」


ここはオーセール島の洞窟、この洞窟は麓と山の中腹を繋いでおり、頂上の源泉に向かうのであれば、ここを通るのが一番早い、壁や地面からは暖かい水蒸気が噴き出しており、非常に蒸し暑い。


「ジメジメしてるのもそうだけど進む毎に熱くなってねぇか?」


「それはこの洞窟の中間地点にはマグマが流れている場所があるからだよ、ほら見えてきた」


ジメジメした区間を抜けると灼熱のマグマが流れる場所に出た、この区間はマグマによって赤く照らされており、猛烈な熱さである為長く居る事は出来なさそうだ。


「ここは長くきると本当にヤバイからね、さっさと抜けるよ!」


レイリは手で合図すると走り始める、愛理達もレイリを追って走る。


「見て下さい!マグマの中を泳いでいる魔物がいますよ!」


ラフォリアが指を刺す先に確かにマグマを泳ぐ魔物が居る、その姿は鮫に似ていた。


「あれはマグマシャークさ!マグマを泳げる凄い奴らだよ!」


レイリは走りながら、マグマの中を泳ぐ鮫の名をマグマシャークだと言った、マグマシャーク達はどうやら岩を食べるようで、壁をガリガリとかじっている、人間には興味はないようで大きな足音を立てる愛理達に一切興味を見せない。


「ちょっかいさえ出さなかったら温厚な奴等さ、そのちょっかいを出す奴がたまにマグマの中に引き込まれたりするけどね!」


マグマシャークのフカヒレは絶品であり、絶品だと言うフカヒレを味わおうと危険を承知で狩りに来る者がいる、しかし大抵はマグマの中に引き込まれてマグマに溶けると言う結末が待っている為、冒険者ギルドはマグマシャーク狩りを厳重に禁止しているが、やる奴はやるので問題となっている。


「さぁ・・・抜けたよ、熱かったねぇ」


「はい・・・」


愛理達はマグマが流れる区間を抜けた、余り熱さに強くないラフォリアは顔を真っ赤にし、肩で息をしている。


「大丈夫?ラフォリア?はい水」


そんなラフォリアを見て心配した愛理は、彼女に水筒を渡す。


「はい、ありがとうございます・・・」


ラフォリアは愛理から受け取った水筒の蓋を開けてグビグビと水を飲む。


「ありがとう、愛理」


そして一言愛理に感謝してから水筒を返す。


「いいよー」


そして愛理は自分も水筒の蓋を開けて水を飲む、それを見たラフォリアは。


「!」


目を見開き、愛理が水を飲む様子、特に水筒の口をガン見していた、鼻を押さえつつ。


「どうしたんだ?ラフォリア、熱さで頭に血が上ったか?」


「なんでもないです、はい、ないです」


「そうかぁ?」


水分を取り終えた愛理達は再びレイリを先頭にし、山の頂上へと向かう。

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