十八話黒の空賊団の襲撃2
ソルフロート島、東地区
シバ、そしてレイリは自身の団員を率いて黒の空賊団の相手をしていた、そんな2人の団長の前に2人の男が現れる。
「よお、あんたシバってんだろ?知ってるぜ?数々の空賊団を潰して来たって言う伝説の老兵だってな」
「そっちの方も私はよく知っています、名はレイリ、まだまだ新鋭の騎空団の団長ですが、優れたリーダーシップにより僅か3年でソリビカ同盟の中でもトップクラスの団を作り上げたと」
「ご存知じゃないさ!それであんた達は誰だい?」
レイリは2人の男の名を聞く。
「俺はうちの幹部のラベンダの部下、サージェだ」
「私はラバゼと申します」
レイリに名を聞かれた2人は答え武器を抜いて、シバとレイリに斬りかかる。
「さてさて、戦いじゃあ、準備はいいかのぅ?レイリよ」
「いつでもオッケーさ!」
シバとレイリも2人の男を迎え撃つ。
ソルフロート島、西地区
愛理がラベンダに斬りかかる少し前、明日奈とケーニとラフォリアの目の前にも敵が現れる。
「お姉様はあの子を可愛がるつもりみたいだし、私達はこいつらを虐めようよ、ねぇ?サーレ?」
「そうね、メーレ」
現れた敵は2人のよく似た顔の少女、名はメーレとサーレと言うらしい。
「退いて下さい!」
愛理の援護に向かう為、ラフォリアは駆け出し2人の少女を追い払おうとする、しかし。
「ファイア」
「アイス」
赤毛と青毛の2人の少女の攻撃により行く手を阻まれる。
「あの子を助けたいのなら」
「私達を倒してからにしなさい」
そして2人の少女は不気味に笑う、2人の笑みを見たラフォリアは武器を構え、ケーニも明日奈もラフォリアの隣に立つ。
「ハァァ!」
愛理はラベンダに向けて斬りかかる、ラベンダはサドスティックに笑うと余裕で縦振りの斬撃を躱す。
「うふふ、ほらぁ!」
愛理の横に回ったラベンダは鞭を愛理の首に巻き付けた。
「くっ!」
首を鞭で絞められる愛理は剣で鞭を斬ろうとするが、その前にラベンダは鞭を振るい、愛理をビルに叩き付けた、愛理はビルのガラスを突き破り、室内へと消える。
「あんた、良い度胸だ、あたしのご主人に攻撃するなんてね!」
主人に対しての攻撃を見て怒ったアクエリアスは大量の水球を作りラベンダに向けて放つ。
「速いけど、あたらないわぁ!」
ラベンダは鞭で次々と水球を叩き落とす、それを見たアクエリアスは彼女の足場から水の槍を出現させるが、ラベンダは躱した。
「・・・」
ビルの中に突っ込んだ愛理は瓦礫の中から這い出し、体の状態を確認する。
「・・・っ!」
左腕が激しく痛む、自己診断では恐らく折れてはいないがこの痛みでは使えないだろう。
「衝波は使えない、それに両手を使った斬撃も出来ないか、ミスっちゃったな・・・」
愛理は自分のミスを悔いつつビルから抜け出した、するとアクエリアスがラベンダと互角の戦いを繰り広げている、愛理はラベンダが背中を見せた瞬間を狙い駆け出す。
「はっ!」
白く光る剣で愛理はラベンダの背中を斬り付けようとする、しかしラベンダはアクエリアスに鞭を叩き付ける事で動きを止め、愛理には顔に蹴りを放つ事でこちらも動きを止めた。
「まだぁ!」
顔に一撃喰らいよろけた愛理だが、それでもラベンダに向けて剣を振るう、ラベンダはそれをしゃがんで躱すと愛理の腹に強烈な左ストレートを突き入れた。
「くっはっ!?」
腹に感じた強烈な痛みで愛理の顔が大きく歪み、愛理は地面に倒れた、ラベンダは倒れた愛理の頭を踏み付ける。
「お前!」
アクエリアスは踏み付けられる愛理を見て両手に水剣を作りラベンダに迫る、それを横目で見たラベンダは鞭でアクエリアスを拘束し、更に拘束魔法で四肢を地面に固定した、これでアクエリアスも動けない。
「うふふ、お嬢ちゃん?さぁどうする?」
ラベンダは自分に踏み付けられる愛理を見て嘲笑う、愛理は剣を逆手に持ち彼女の足に突き刺そうとしたが、愛理の剣はラベンダに蹴り飛ばされ、地面を滑って行った。
「狐火!」
愛理は右手から狐火を放つが、ラベンダは腕で弾き、懐から短刀を取り出す。
「つまらないわぁ、あの坊ちゃんを倒したと聞いていたからどんな物かと期待していたのにこんな物なんてねぇ、もう良いわぁ、死ね」
そして愛理の心臓を狙い短刀を振り下ろした。
「させない」
その時だ、少女の声が愛理の耳に聞こえ、ラベンダの手から短刀が弾かれた。
「あなたは・・・」
「久し振りね?久城愛理」
愛理を助けたのは以前、飛空船で愛理を襲った黒い髪に赤い瞳を持った少女だった、少女は愛理に手を差し出す、愛理は少女の手は取らず自分で立ち上がる。
「なんであなたが私を助けるの?」
そうこの少女、愛理を殺そうとしている筈、その為愛理には何故この少女が自分を助けるのか分からない。
「ん?あなたは私が殺したいからよ、あんなおばさんに殺させたりなんかさせない」
「ふーん、そう」
愛理は少女が自分を助けた理由に溜息を吐きつつ、ラベンダを見据える。
「あいつさぁ強いの、だから私を助けたんならちょっと手を貸してくれない?」
「良いわよ」
黒髪の少女は愛理の頼みを受け入れると、短剣を構える、愛理も剣を拾ってから構え、ラベンダに向けて同時に駆け出した。
「遅れないで」
「分かってるよ!」
ソルフロート島、東地区
レイリは2人の男に接近すると、両手に持つ双剣を振るう、サージェとラバゼは左右に躱す。
「速いが直線的ですね」
ラバゼはレイリを直線的だと笑い、銃を構え撃つが。
「フン、わざとだ」
レイリは躱し、後ろをチラリと見る、するとシバが二丁のミサイルランチャーを構えていた。
「祭りじゃあ!」
シバが持つのは魔導ミサイルランチャー、魔力を投入すれば魔力が尽きるまでは無限に弾が装填される、制圧用兵器だ、シバはラバゼに向けて弾をめちゃくちゃに放つ。
「おいおい・・・」
サージェは砲撃に巻き込まれたラバゼを心配しつつ、これはまずいと引こうとしたが。
「逃がさないよ!」
いつの間にか真後ろに迫っていたレイリに砲撃の方に向けて蹴り飛ばされた。
「楽しんで来な!」
「こ、このやろ!」
レイリに蹴り飛ばされたサージェも砲撃に巻き込まれた、1分後丸焦げとなっているが、なんとか無事だった2人が煙の中から現れる。
「ワシを使いよったな?この女狐め」
「だってその方が早いだろう?」
「まぁのぅ!」
シバとレイリはガッハッハと笑いながら次の敵を探し戦場を駆ける、丸焦げとなった2人の男はシバとレイリがいなくなってからこそこそと逃げ出した。
ソルフロート島、西地区
愛理がラベンダと戦い始めた頃、明日奈達も2人の少女との戦いに入ろうとしていた。
「さて、行くわよ?2人とも」
「おう!」
「はい!」
明日奈はラフォリアとケーニを率いて2人の少女に向けて駆ける、明日奈はメーレに斬りかかり、ラフォリアはサーレに槍を突き出す。
「「シールド!」」
メーレとサーレはぴったりと声を合わせ、シールドを張る、ラフォリアの槍はシールドに阻まれたが、明日奈の斬撃は。
「なっ!?」
あっさりとメーレのシールドを破壊した。
「この子は任せなさい、2人はそっちの子の相手を」
「分かった」
「任せて下さい」
明日奈の言葉を聞いた2人はサーレに向かって行く、それを見送った明日奈はメーレの方に向き直り。
「さぁ、ちょっとだけ遊びましょうか?お嬢ちゃん?」
ニコニコと笑いながら言葉を少女に聞かせた。
「あ、あはは?」
メーレはそんな明日奈を見て涙目になりつつあははと笑った。
「喰らいなさい!」
ラフォリアは二連撃のダブルストライクランスを放つがサーレはシールドで防ぐ、ケーニも弾丸をシールドに叩き込むが、シールドは割れない、なんとかこのシールドを割らないと勝ち目は無さそうだ。
(明日奈さんはどうやって・・・)
ラフォリアはサーレが放って来るアイスを躱しながら、何故明日奈があっさりとシールドを壊せたのか考える。
「・・・そうか、分かりました」
「なにがだよ?」
「明日奈さんがシールドを破った方法です、ケーニ、あの子の動きを止めてくれませんか?」
シールドの破り方を思い付いたラフォリアはケーニにサーレの動きを止めて欲しいと頼む。
「良いぜ、任せろ」
「頼みます」
ラフォリアの頼みを受けたケーニはサーレに弾丸を叩き込む、ラフォリアはその間に槍に力を収束させる。
「行きます!」
充分に魔力を槍に収束させたラフォリアはサーレに向けて迫る、ケーニは尚もシールドに弾を撃ち続けサーレの動きを止める。
「ハン!なにをしても無駄よ!」
「さぁ?それはどうでしょう!」
ラフォリアはシールドに槍を突き付けた。
「ほらやっぱり」
ラフォリアの槍はシールドを突き破らなかった、サーレはそれを見て安心するとシールドの外、ラフォリアの真後ろにアイスを発動させると、放とうとするが。
「ストライクバースト!」
ラフォリアの槍から魔力の塊が放出され、シールドを振り飛ばした、明日奈は剣に魔力を纏わせ、シールド以上の力でシールドを振り飛ばした、対するラフォリアは槍に魔力を収束させる事で、同じくシールドを強度を越える一撃でシールドを振り飛ばしたのだ。
「終わりだ!」
ケーニはサーレを押し倒し拘束する、サーレは悔しそうにケーニを睨み付けるが、ケーニは構わずサーレを押さえつける。
その時だ、愛理がラベンダに放り投げられビルの中に消えた。
「愛理!」
それを見たラフォリアが愛理の名を呼ぶ。




