十七話黒の空賊団の襲撃1
数日前、黒の空賊団本部
第438世界のとある島に存在する黒の空賊団の本部で、1人の男と1人の露出度の高い服を着た女が会話をしていた。
「ウフフ、団長?あの島にしかけるつもりなのぉ?」
「あぁ、あの島はうちにとっても他の空賊にとっても邪魔な存在だからな、これを機に根絶やしにする」
「なら指揮を私に任せてくんない?あんたの息子に一泡吹かせたって言う、雌ガキを見てみたいしさ」
「好きにしろ」
空賊団の団長に好きにしろと言われた女はソルフロート島に向かう船団に合流し、船団の指揮を執り島に向かう。
ソリビカ同盟ソルフロート島支店
この日のソルフロート島の天気は雨、窓の側に座り尻尾を揺らす愛理の瞳には、降り注ぐ雨が映る。
「やまないねー、遊びに行きたいのになぁ」
この日もソルフロート島で遊ぶつもりだった愛理は、雨のせいで外に出れなく不満そうに口を尖らせる。
「仕方ないですよ愛理、ほらトランプで遊びましょう」
「もう、飽きたよぉ〜」
暇な愛理達は既にトランプで遊び倒している、その為愛理は正直飽きている。
「それじゃ、訓練所で鍛えるか?」
「おっ、良いね、暇だしやろっか」
ケーニの提案に乗った愛理は剣を手に取り立ち上がる、そしてラフォリアとケーニと共にドアに向かおうとした所で。
「高熱源接近!注意を!」
愛理達に危険を伝えるホワイトローズの声が部屋に響いた、次の近くから瞬間爆発音が聞こえ、それを発端に近くや遠くから爆発音が連続して島に響く。
「何が起こってるの!?ホワイトローズ!」
「サーチ中・・・これは黒の空賊団の飛空艇です!、10機の飛空艇による爆撃を行なっている模様!」
ホワイトローズのサーチ結果を聞いた愛理は窓から空を見上げる、すると確かに上空に黒い船体の飛空艇が現れており、ミサイルによる爆撃を行なっているようだ。
「街が燃えてる・・・、ケーニ!屋上に案内して!」
黒の空賊団の攻撃により街は炎に包まれ始めている、炎が更に広がる前に消す必要があると判断した愛理はケーニに屋上に案内するように頼んだ。
「良いけど、何をするんだ?」
「火を消すの!」
「!、分かったこっちだ!」
愛理の自信ありげな声を聞いてケーニは愛理を先導して行く、屋上に向かう2人に明日奈とラフォリアもついて行く。
ソリビカ同盟支店、屋上
「で?どうするんだよ?愛理」
愛理を建物の屋上に案内したケーニは愛理にこれからどうするのか聞く。
「こうするの!来て!アクエリアス!」
ケーニの質問を聞いた愛理は現在の愛理が二体だけ従える、黄道十二宮の精霊の一体、アクエリアスを召喚する、アクエリアスは愛理が従える精霊の中で2番目の強さを誇り、その姿は美しい青色の髪を持った人魚の女性の姿だ。
「気持ち良い雨だ、さて愛理、私は何をすれば良い?」
言葉を発する事が出来ないイフリートとは違い、黄道十二宮の精霊であるアクエリアスは言葉を発する事が出来る、アクエリアスは主人である愛理に自分は何をすれば良いのか聞いた。
「火を消して!」
「分かったよ!そぉら!」
愛理に火を消すように頼まれたアクエリアスは空に手をかざした、すると宙にいくつもの水球が現れて燃えている場所に直撃する、すると火は無事消えた。
「ありがとアクエリアス、それでね?これから多分戦いになるの、だから暫く外に居てくれるかな?」
「はいよ」
これから確実に戦闘になると判断する愛理はアクエリアスに外に居てくれるように頼んだ、すると彼女は快く承諾し、愛理の後ろに控える。
『マスター、既に街の東で降りて来た空賊と街に滞在する騎空団との戦闘が勃発している模様』
「そう、それ以外は?」
『西からも攻めて来ている模様、そしてそちらは守りが手薄です』
「ならそっちに行きましょう、みんな!西に向かうわ!ついて来なさい!」
西の守りを自分達で固めると決めた明日奈はビルから飛び降りて行った、それを見た愛理達は。
「無理ですよね・・・」
「あぁ無理だ・・・」
「私はアクエリアスに背負って貰えば・・・」
ビルから飛び降りる事など出来るはずもなく、階段を降りて明日奈の元に向かう。
「遅いわね・・・」
ソルフロート島、西地区
愛理達は走って西地区にやって来た、すると少数の騎空団の団員と、空賊団の団員による戦闘が行われている、愛理達は騎空団側の陣営として戦闘に参加する。
「行くよ!みんな!」
「はい!」
武器を抜いた愛理達は戦闘を開始した、まずは青色に光る剣をその手に持つ愛理が先陣を切り、駆け出した。
「蒼き人魚の一撃!」
愛理が放った技は蒼き人魚の一撃、剣を振るえば激しい水流が巻き起こり、敵を纏めて薙ぎ倒す広範囲攻撃だ、しかしこの技はそもそもアクエリアスが水辺でしか召喚出来ない為周囲に水が無いと使えない、使い所が限られる技だ。
この日は雨、周囲には水が大量に溢れている為、いつでもアクエリアスを召喚できる為、この技を使える、蒼き人魚の一撃を喰らった黒の空賊団の団員達は激しい水流に巻き込まれ気絶して行く、しかし避けた物も大量に居り、戦闘はまだまだ終わりそうに無い。
「喰らいやがれ!サンダーバレット!」
ケーニは敵の中心地に向けて、雷撃の槍の雨を降らすサンダーバレットを放った、サンダーバレットはこちらも近くに水辺がある時に最大の威力を発揮する技であり、地面に刺さった雷撃の槍は刺さった瞬間に地面に雷撃を流し、敵を痺れさせ気絶させる。
「やるね!ケーニ!」
「お前もな!」
2人の活躍を見て自分も負けるつもりなど無いラフォリアは、槍を前方に向けて突き出しつつ駆け出した。
「ストライクランサー!」
ラフォリアが放つ技はストライクランスの応用、風を纏い縦方向に多数の敵を切り開く技ストライクランサー、ラフォリアの前方に居た敵は一直線に突っ込んで来るラフォリアに吹き飛ばされた。
「みんなやるわね!、その調子で頼むわ!」
ブラスターモードのホワイトローズによる低出力のブラスターで敵を薙ぎ払う明日奈は、仲間達に言葉を掛ける。
「うん!任せて!」
それに愛理が答え、ラフォリアとケーニは頷いた。
「ふふふ、見付けた、あの子ね」
1人の女がビルの上から愛理達を見下ろしていた。
愛理の前方から2人の黒の空賊団の団員が迫る、すると愛理と団員の間にアクエリアスが降り立ち敵を水球の中に閉じ込めた、閉じ込められた男達は溺れ気絶する、敵が気絶したのを見たアクエリアスは彼等を水球から解放する。
「ウフフ、こんにちはぁ、可愛いお嬢ちゃん?」
西地区の攻撃が落ち着いて来た頃、愛理の背後から突然女の声がした。
「!」
突然の背後からの声に驚き愛理は振り返る、するとそこには緑色の髪に露出度の高い服、そして尖った耳が特徴のエルフの女性が立っていた、
「あなたは誰?」
愛理は剣を構えつつ女の正体を聞く。
「私はラベンダ、黒の空賊団の幹部よぉ、よろしくねぇ」
女、ラベンダは語尾を伸ばす特徴的な喋り方で愛理に自分の名を名乗った。
「黒の空賊団の幹部・・・、そんな人が私に何の用?」
「そうねぇ、あなたのぉ実力を見に来たのよぉ」
愛理がラベンダの目的を聞きラベンダは答える為に口を開くのと同時に消えた、すると彼女は愛理の背後に一瞬で現れ、愛理を羽交い締めにする。
「なっ!?くっ!」
羽交い締めにされた愛理はこれは不味いと羽交い締めから逃れようと暴れる、しかしラベンダの力は強く逃げれない、ラベンダは逃げれない愛理の体に触れる。
「まだまだ幼いのにここはもうそれなりに立派なのねぇ」
「くっ!こんのぉ!」
ラベンダは雨に濡れる服越しに愛理の胸を揉む、赤の他人に胸を揉まれ苛ついた愛理は、上にラベンダごと飛ぶと縦に回転し、無理矢理にラベンダを離させた、愛理に離されたラベンダはフワリと地面に着地する。
「はぁはぁ、私流石に怒ったんだから!」
「良いわぁ、あなたが怒る所もっと見せてぇ?」
腰に付けていた鞭を手に持ったラベンダは愛理に向けて鞭を振るう、愛理はそれを横に躱し、ラベンダに向けて駆ける。




