十三話
ドリー島
仕事を終えた愛理達は、グラブに報告する為騎空団ギルドに入る。
「よっ、グラブ、仕事終わったよ」
「おう、ありがとうな」
愛理がグラブに仕事が終わったと伝えると、グラブは愛理の肩を叩いてから愛理に感謝した。
「あれ?シバとレイリは居ないの?」
グラブに報告を終えギルド内部を見渡した愛理は二人が居ないのを見て、仕事に行った可能性も考えつつ、グラブに二人の事を聞く。
「ん?おお、二人はソルフロート島に行ったんだ」
「ソルフロート島って?」
グラブによると二人はどうやらソルフロートと言う島に行ったらしい、しかし愛理はソルフロート島など知らないので、その島について質問する。
「なんだ知らないのか、ソルフロート島ってのは騎空団の島さ、沢山の飛空艇の為のパーツが売られてるし、質の良い弾薬も手に入る、それにいい武器屋や防具屋もあって、飯も美味い天国だ」
ソルフロート島についてグラブから聞いた愛理は、その島に興味を持つ、そんなに楽しそうな島なら是非行ってみたいと愛理は思った。
「私も行きたい!ソルフロート島って何処にあるの?」
「そう言うと思ってたぜ、ちょっと待ちな」
グラブは愛理に待つように言うと、自身の団員の元に行き、その団員に持たせていたらしい、地図を持って帰って来た。
「ここが、俺達が居るドリー島、そしてこっちがソルフロート島だ、距離としては半日程度の島だな」
「ここから北なんだね、分かった、教えてくれてありがとねグラブ」
「おう」
地図を見て島の位置が北だと理解した、愛理はグラブにお礼を言ってから仲間達の元に向かう。
「聞いてたよね?ソルフロート島に行ってみよっか?」
「はい、楽しそうな所ですし、行ってみましょう」
ソルフロート島に向かう事を決めた愛理達はメサイヤに向かい、ドリー島から出航した。
ドリー島〜ソルフロート島間空域
メサイヤはソルフロート島に向かい夕暮れの時の空を進む、赤く夕焼け染まる空はとても美しい。
「ねぇねぇ、そう言えばさぁ、下の雲の下には何があるのか、ラフォリアやケーニは知ってるの?」
愛理はずっと気になっていた、メサイヤの下に見える雲の下について聞いた。
「うーんと、私はお父様やお母様に、この世界で一本優れた剣が眠っていると聞いた事があります」
「俺は雲の下には海や陸地があるって話を聞いた事があるな」
「ふぅん」
愛理はどちらの話にも心惹かれた、眠る剣がどれほど強い物なのか自分で使ってみたいと思うし、本当に雲の下に大陸があると言うのなら、旅をしてみたいと愛理は思う。
「それじゃ私からも質問、この世界には闇の存在が居るのかしら?」
明日奈はこの世界を旅する目的の一つ、闇の存在について二人に聞いた。
「・・・すいません、知りません」
「俺もしらねぇな」
そして二人は闇については知らないと答えた、それを聞いて明日奈はやはり黒の空賊団に直接聞くべきだと思った、そして出来れば彼らのアジトに潜入し、更に詳細な情報を漁る必要があるとも考える。
「そう、ありがとうね」
「いえ、お役に立てなくてすみません」
「ふふふ、良いのよ」
明日奈は役に立てなかったと落ち込むラフォリアを慰める、愛理はそんな二人の様子を見て微笑みつつ、ソルフロート島に向けてメサイヤを走らせる。
ソルフロート島
時間は午前三時、まだ太陽が空に上がって来る前に愛理達はソルフロート島に辿り着いた、ソルフロート島、この島は島全体が都市となっており、様々な商業施設や、歓楽街、闘技場など様々な施設が集まった一大都市である。
「ふぅー疲れたよぉ〜」
メサイヤをソルフロート島船着場の15番ドックに船を着陸させた愛理は、リビングにやって来るとソファーに寝転ぶ、ラフォリアとケーニは眠っており、明日奈だけ起きていた。
「お疲れ様、愛理、ご飯食べる?」
明日奈は疲れたとソファーに寝転ぶ愛理に近付くと頭を撫でつつ、残しておいた夕食を食べるかどうか聞いた。
「うん、食べる」
明日奈のご飯と聞いた愛理は素早く起き上がると、食べると答える、それを見た明日奈はキッチンに向かい、夕食を乗せた皿を机の上に置いた。
「わぁ!ハンバーグ!頂きます!」
明日奈が取り置きして置いてくれた料理はパンとハンバーグだった、愛理は嬉しそうにパンとハンバーグを食べる。
「美味しい?」
「うん、美味しい」
愛理は美味しい?と聞いて来る明日奈に向けて、幸せそうな笑顔を見せると、一気にパンとハンバーグを平らげてしまった。
「ごちー、そしておやすみー」
そして愛理はソファーの上に寝転び目を閉じる、もう眠るつもりのようだ。
「食べたばかりなのに寝て良いの?太るわよ?」
「その分運動するから良いのー」
愛理は普段は食事を食べたすぐ後に寝たりしないのだが、この日は疲れている、その為明日奈の忠告を聞いても眠りに就いた、明日奈はそんな愛理を見て仕方ないわねと溜息を吐きつつ、愛理に毛布をかけてあげた。
ソルフロート島玄関ゲート
ソルフロート島はこの玄関ゲートで騎空団カードを見せない事には中に入れない、完全な騎空団しか入れない都市だ、これは空賊団の侵入を防ぐ為で、都市で売られている強い武器を空賊団に渡らないようにする為でもある。
「騎空団カードをお見せ下さいませ」
遊園地のスタッフのような格好をしたゲート担当のおねーさんに騎空団カードを見せるように言われた愛理は、彼女にカードを見せる。
「はい」
「・・・確かに、それでは!ソルフロート島をお楽しみ下さいませ!」
ゲートが開き、愛理達はソルフロート島の中にへと入る、最初の目的地はケーニが恐らくレイリとシバが居るだろうと予想するソリビカ王国同盟のソルフロート島支店だ。
ソリビカ王国同盟ソルフロート島支店
ゲートを抜けた愛理達はソリビカ王国同盟のソルフロート島支店に入る、ソリビカ王国同盟の支店にはケーニの案内のおかげで迷う事なく辿り着けた。
「あなたがフォックステイルの久城愛理さん?」
「うんそうだよ、あなたは?」
「私はソリビカ同盟の管理官の一人よ、先に来ていたレイリさんやシバさんからあなたがここに来る事を聞いて居たから、グラブさんの推薦を受けたあなたとあなたの団員を待っていたの」
「そ、そうなんだ」
愛理は彼女が管理官だと聞いて緊張する、つまり彼女が愛理に知らせる結果次第で、フォックステイルのソリビカ同盟入りが、叶うか叶わないか決まるのだ。
「それでは早速結果を通知します」
「・・・」
「あなた方フォックステイルのソリビカ同盟入りをソリビカ同盟は認めます、ようこそ!ソリビカ王国同盟へ!」
「・・・やったぁ!」
管理官の女性の通知を聞いて愛理は一瞬固まり、仲間達の方に振り返った、そして彼等が頷いたのを見てから、ソリビカ同盟に入れた事を喜んだ、余程嬉しかったのか尻尾が盛大に振られている。
「ふふふ、良かったですね、それで騎空団カードを出して下さい、あなたの騎空団カードにあなた方がソリビカ同盟のメンバーだと記録させます、これによりあなた方はソリビカ同盟の信頼を得る事が出来ますよ」
「はーい!」
騎空団カードを出すように言われた愛理はカードを取り出す、すると女性は専用の物らしい黒いカードを取り出すと愛理のカードに触れされた、すると次の瞬間、愛理のカードにソリビカ同盟の印である、赤い薔薇の模様が記された。
「これにてあなた方の同盟入りは完了です、ではまたお会いしましょう、愛理さん」
女性は愛理に向けて微笑みかけると去って行った。
「よう、愛理見ていたよぉ、ソリビカ王国同盟入り、おめでとう!」
愛理が嬉しそうにカードを見つめていると、レイリが近付いて来て、愛理達のソリビカ同盟入りを祝福する。
「うむ、こりゃめでたい!」
「えへへ、二人ともありがとう」
レイリの後から近付いてきたシバも愛理達の同盟入りを喜んでくれた、愛理はそんな二人を見て嬉しそうに微笑むのだった。




