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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
二章、島と島を巡る旅と三尾
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十二話

ドリー島船着場


前日の宴でギルドの職員も含め全員酔い潰れてしまったが、ギルドの職員達は二日酔いで青い顔をしつつも働いている、そんな彼等を見て愛理は苦笑いを浮かべつつ、この日受ける依頼を受け付けのおねーさんに渡す。


今回の仕事は早速ソリビカ王国同盟の仕事だ、まだ愛理達は同盟の入る事を認められては居ないが、飛空艇が修理中の為、仕事に行けないグラブが愛理に代わりに行って欲しいと頼んで来たので、愛理は仕事を引き受けたのだ。


「行ってらっしゃい・・・」


テンションが低い受け付けのおねーさんに依頼書に判子を貰った愛理は明日奈とラフォリアと共に、メサイヤが停泊するドックに向かう。



9番ドック


愛理達が9番ドックにやって来ると二人のグラブと見知らぬ少年が居た、愛理はグラブに近づいて行く、グラブから貰った仕事を受けたと報告する為だ。


「グラブ!仕事受けたよ!」


「おう、ありがとな、代わりと言っちゃなんだが、推薦書は出しておいたぜ、早かったら明日には結果が分かる筈だ」


「ありがと、それでさグラブ、その子誰?」


グラブが同盟に入籍する為の推薦書を出してくれたと聞いて愛理は頭を下げつつお礼を言い、顔を上げると少年について聞く。


「こいつは俺の弟分だ、ほら自己紹介しな」


グラブは少年の肩を叩くと自己紹介するように言う。


「おう、俺はグラブの弟分のケーニだ、よろしく」


グラブの弟分、青髪の少年ケーニは自己紹介すると愛理に向けて手を差し出す、愛理は差し出された手を取り、握手する。


「それでだな、愛理、お前らの団はまだ三人で色々手が足りねぇだろ?」


「うーん」


手が足りないと言われて愛理は考える、考えた結果確かに手は足りないなと思う、特に足りないと感じる場面は荷物の積み入れや運び出しの際だ。


「こいつはさ、まだまだ色々と経験不足なんだ、だからよぉ、経験を積む為にもお前の団に入れてやってくんねぇかな?」


「私は良いけど、二人はどう?」


愛理としてはケーニが入って来るのは歓迎だ、戦力的にも仕事の面でも手が増えるのは良い事だ、しかし元から居る二人にも彼がフォックステイルに入っても良いか確認しておくべきなので、二人に彼を入れても良いか聞く。


「良いわよ」


「・・・愛理が入れたいと言うなら、何も言いません」


明日奈は和かに、ラフォリアは何故か不愉快そうにケーニが団に入っても良いと言った、つまりケーニのフォックステイル入りはこれで決まった、


「だってさ、と言うわけでうちの団に歓迎するよ、ケーニ、これからよろしくね?」


「ああ!よろしくな!団長!」


新たに団に入ったケーニと愛理は改めて握手し、ケーニは更に明日奈とラフォリアとも、握手をする。


「それじゃケーニの事、よろしく頼むぜ愛理」


「うん任せて」


そして新たな仲間ケーニをフォックステイルに加えた愛理は、去って行くグラブに手を振り彼と入れ替わりにやって来た、今回の依頼の荷物を持って来た人物と話をする。




ドリー島〜メラザカ島間空域


メサイヤはドリー島空域を進む、今回の仕事は前回の依頼と同じく運搬依頼、今回はメラザカ島の軍に新品の武器を届けると言った内容だ。


「それで?ケーニはどんな風に戦うの?」


愛理はメサイヤの操縦をしつつ、団長として新団員が入った時に必ずしなくてはならない質問の一つ、新団員の戦い方について聞いた。


「俺の戦い方は、これを使った中距離戦だ、前衛のサポートが兄貴の団に居た時の俺の役目だった」


愛理に戦い方を聞かれたケーニが取り出した武器は二丁の魔導マシンガンだ、どうやら彼は魔導マシンガンを用いた中距離戦を行うらしい。


「そっか、なら私とラフォリアは近接戦闘向きだからさ、中距離戦が得意って言うあなたの事頼りにするね?」


そう愛理もラフォリアも基本近接戦闘を積極的に仕掛ける前衛タイプだ、前衛タイプの二人は中衛タイプや後衛タイプに弱い、その為ケーニが中衛と後衛の相手をしてくれるようになれば、より安心して近接戦闘を仕掛ける事が出来る、ちなみに全距離対応型の明日奈は特別枠である。


「おう、任せな、美人さん達のケツは俺が守ってやるよ」


「わー、ケーニのエッチ」


愛理やラフォリアのケツを守ると言うケーニを愛理はニヤケながら茶化す、ラフォリアはプイッとそっぽを向く。


「あらあら?ケーニ君はお姉さんには興味ないのかしら?」


愛理とケーニのやり取りを聞いた明日奈もふざけてケーニを誘惑する。


「そりゃ勿論、ありますよ」


ケーニは明日奈の言葉に食い付きうんうんと頷く。


「お婆ちゃん300歳越えてるけどねー」


そこで愛理はケーニに真実を伝えた。


「なっ!?マジすか?」


愛理の言葉を聞いたケーニは明日奈に真偽を聞いた。


「はぁー、そうよ300歳越えのお婆ちゃんですよー、・・・後で覚えておきなさい?愛理」


「そうなんすか・・・」


愛理に真実を暴露された明日奈は、溜息を吐きつつ真実だと、認め、ニコニコと愛理に後で覚えておけと伝えた、そしてケーニは歳の差が離れ過ぎていると駄目なタイプらしい。


「島に着いたらすぐに逃げるもーん、捕まらないもーん」


愛理は明日奈に向けて舌をベーと出し、祖母を揶揄う、勿論後の事など考えていない。


「ふーん、ふぅーん、後で後悔しても遅いわよ?愛理」


「こ、怖くないもん!」


今の明日奈は画面越しでもかなりの迫力なのだが、愛理はそれでも尻尾を大きく膨らませ虚勢を張る、その様子はまるで小さなリスのようだ、明日奈はさながら大きなドラゴンである。


そんな一行を乗せたメサイヤはメラザカ島に到着し、愛理は1番ドックにメサイヤを着陸させた。




メラザカ島船着場


メサイヤがメラザカ島のドックに辿り着いた瞬間明日奈はリビングから消えた、次の瞬間コクピットの方から愛理の悲鳴が聞こえて来て、数分後シクシクと泣く愛理と、何故か艶々としている明日奈がリビングに戻って来た、愛理は一体明日奈に何をされたのか、それは本人達のが知る事である。


愛理が泣き止んだ後、四人は倉庫に向かい、武器が入った木箱をそれぞれ持って外に出る、力自慢なケーニは箱を纏めて四つ持った、船着場の何処かに、軍の者が居るはずなので手渡せばその場で報酬を得るのと同時に依頼は完了となる。


「居ました!」


船着場を歩いているとかつてクーラの町で見た軍の者と同じ服を着た人物をラフォリアが見つけた、軍の者はキョロキョロと誰かを探しているようだ。


「あのー、この武器あなたに渡さなきゃいけない物なんだと思うんだけどあってるかな?」


愛理がキョロキョロしている軍人に話しかける。


「ん?君達がソリビカ同盟の者だと言うのならその通りだが」


やはり彼が依頼の相手のようだ。


「そっ、私達がそのソリビカ同盟の者なの、確かにご依頼の品をお持ちしましたら、ご確認下さい」


「ほう君達がソリビカ同盟の・・・うむ、確認させてもらおう」


軍の者は愛理達がそれぞれ持つ木箱の中身を確認していき、手に持つリストと照らし合わせている、十分後確認作業は終わった。


「うむ!確かに依頼通りの品々だ、これで取り引きは成立、報酬を受け取ってくれ」


軍の者は愛理に巾着袋を渡す、愛理はそれを受け取るとズッシリとした重さを感じた。


「それではまた頼むぞ」


そして軍の者は木箱を詰め込むと、車を運転し去って行った。


「ねぇねぇみんな、これすっごく入ってそうだよぉ?」


軍の者を見送った後、愛理はワクワクソワソワと仲間に巾着袋を見せる。


「だな!開けてみようぜ!」


「はい!」


「なら、開けちゃいまーす」


期待するケーニとラフォリアの気持ちに答え、愛理は巾着袋を開ける、すると中身は軽く二十万ゴールドは入っていそうな金貨の山だった。


「・・・こんなに貰っていいのかな?」


「ですよね、多過ぎませんか?」


金貨の山を見て高かったテンションから一転、愛理とラフォリアは不安そうな表情になる。


「この位ソリビカ同盟の依頼じゃ普通だぜ?、まぁお前らは同盟の依頼を初めてうけたんだから、驚くのも無理はねぇけどな」


どうやら、ケーニによるとこの程度の報酬は、ソリビカ同盟の依頼では、普通なようだ。


「まっ、渡された時点で俺達の金だ、細かい事は気にすんな」


「う、うん」


ケーニの言葉を聞いた愛理はまだまだ戸惑いつつも、巾着袋を鞄に入れた、そして愛理達はグラブに依頼の完了を知らせる為にメラザカ島を離れ、ドリー島に向かうのだった。

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