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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第一部、一章冒険の始まりと三尾
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二話

五年前、森の中の家の前の広場


コン!コン!と剣と剣が交わり合う音が聞こえる、10歳となった愛理は二年前に自ら希望して弟子入りした明日奈に修行を付けてもらっていた。


「ししょー!行くよ!」


「ちゃんと師匠って言いなさい!」


木刀を構える愛理はグッと足に力を籠めて前に向けて飛び出す、剣を下に向けたままの明日奈は愛理が近くまで迫った瞬間剣を胸の前に構え、振りかぶり愛理に向けて振るう。


「っ!」


愛理は明日奈の斬撃をしゃがんで躱すと、人間の目の死角、斜め後ろに入り込みそこから剣を振るう。


しかし明日奈はその斬撃を振り返りもせずに剣で受け止めると、足を突き出した。


「・・・」


明日奈の足は愛理の顔の手前で止まった、明日奈の蹴りが顔に当たらずに済んだ愛理は、一先ず安心し、ふぅーと息を吐く。


「愛理、私の死角を突いてきた所までは良かった、でも私にもあなたにも狐の耳がある、私達はこの耳を使う事で、音により死角を殺せるようになるの、覚えておきなさい」


明日奈は内心、愛理の成長を喜びつつも師として、愛理の成長を願い、愛理の駄目な所をキチンと教えた。


「耳かぁ」


今の愛理は自身の剣と目に頼り切って戦っており、戦闘中に耳を使う余裕は無い、しかし師の言葉を聞いた愛理は反省し、これからは耳も使い、明日奈に言われた通り死角を少なくする努力をしようと思った。


「それじゃししょ!もう一回行くよ!」


「ししょじゃ司書になるわよ!?」


明日奈は愛理に突っ込みを入れつつも向かって来る愛理の剣を受け止めた。




家の中


愛理はスースーと寝息を立てて明日奈の膝の上で眠っている、明日奈は可愛い孫の寝顔を見て微笑む。


「マスター、愛理は随分と強くなりましたね」


「そうね、この子には才能があるわ」


明日奈は愛理に8歳の頃から剣を教えている、しかし無、アダムと戦っていた頃からホワイトローズのサポート無しの魔法は得意では無い、その為魔法は余り教えれてないのが、問題だと明日奈は思っている。


「ねぇホワイトローズ、この子私みたいに魔法を使ったら威力が高くなり過ぎで大変な事になるタイプでも無いわよね?」


「Yes、私が触れて愛理の魔力特性を探ってみた所、魔法使いになれる才能も持ち合わせています、しかしやはりマスターの孫、剣士としての才能の方が優っています」


明日奈はホワイトローズの言葉を聞いて内心喜ぶ、やはり自分の才能を継いで剣士としての才能を持ち合わせていて欲しいものなのだ。


「それじゃ、あなたとの相性は?」


「それは、答えはNOです、マスター、未来や今日香と違い、私のマスターになれる特性は愛理は持ち合わせていないようです」


「そう・・・」


ホワイトローズの話を聞いて明日奈は少し残念に思う、自分以上に慣れるかもしれない才能を感じるこの子が、ホワイトローズを扱う事が出来れば、徐々に迫って来ていると感じている闇に対しての大きな戦力になれるかもしれないと思っていた。


しかしそれは叶わないようだ、愛理は自身の力を高め、迫る闇と戦わないといけないのかもしれない、勿論愛理が望まないのであれば明日奈自身が闇と戦い討つつもりだ。


だが愛理が闇と戦う事を望むのなら明日奈は愛理と共に闇に立ち向かい、討つと決めている、蒼と白金の勇者としてだ。


「他の子達は大きな闇に襲われる事は無かった、でも私と同じく強い力を持ったこの子が産まれた時に闇が迫って来た、つまりはそういう事なのかしらね?」


明日奈は思う自身の神の血は大いなる闇が迫る時に勇者となる存在を産むのかもしれないと、実際、実の娘である未来と今日香以外の孫達は強い力を持って産まれては来なかった、しかし愛理は強い力を持って産まれて来た、闇と呼応するかのように。


「Yes、マスターと同じく愛理も、勇者となるべき存在なのでしょう」


「・・・」


明日奈は暗い表情をする、自身の神の血のせいでこの子は魔と戦う宿命を背負ってしまったのではないかと、明日奈はただ幸せに健やかに生きてくれて居ればそれで良い、それを自身の血のせいで戦いの宿命に巻き込まれるのであれば、明日奈は自分が嫌になってしまう。


「マスター?」


ホワイトローズはそんな明日奈の表情を見て、明日奈の肩に降り立つとその頬に触れる。


「大丈夫よ、ホワイトローズ、この子が私の血のせいで戦いの宿命を背負ったと言うのなら、絶対に私がこの子を守る」


愛理は新たな希望となるかもしれない存在だ、そんな存在を失わせるつもりは無い、どんな時でも見守り守る、それが自身の役目だと明日奈は思う。




「んー?」


明日奈に抱かれ眠る愛理は目を覚ました、自身の膝を見るとホワイトローズが眠っていた。


「おはようございます、愛理」


「うん!おはよ!」


愛理は目を覚ましたホワイトローズに元気良く挨拶する、そしてホワイトローズが自身の膝の上から飛び立った後、明日奈の膝の上から飛び降り、喉が乾いているので明日奈が先程淹れてくれた紅茶を飲む。


「美味しいですか?愛理?」


「うん、このクッキー食べて良いかな?」


「Yes」


「やった!」


机の上の籠の中に入っている菓子は、明日奈が作ったもの、ホワイトローズはあまり食べすぎると太るわよ?と明日奈に言われているが気にせず食べているものだ、明日奈としても孫娘に食べて貰えるのなら嬉しい筈だ。


この家の住人、ホワイトローズに菓子を食べても良いと許可を貰った愛理は、クッキーを手に取り食べる、この部屋に飾られている写真に写る彼も大好きだった明日奈のクッキーを。


「ふふふ、美味しい?」


目を覚ました明日奈は、クッキーを食べる愛理に美味しいかどうか聞く。


「わっ!?・・・びっくりしたぁ、うん!美味しいよ!」


いきなり明日奈に声を掛けられた愛理は尻尾の毛を坂立たせ驚くが、すぐに落ち着き、明日奈の方を向くと満面の笑みでクッキーも美味しいと答える。


「ふふふ、ありがと」


可愛い孫娘に自信が作ったクッキーを美味しいと言って貰えた明日奈は嬉しくなり、孫娘を抱き締める、愛理は大好きな明日奈に抱き締めて貰えて嬉しくなり、嬉しそうに微笑んだ。


「ねぇ愛理、一緒にクッキーを作りましょうか?」


「うん!作る!」

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