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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
二章、島と島を巡る旅と三尾
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六話

ヤキー山


ここはヤキー山、岩山であり浮遊石が辺りに浮いている、浮いている浮遊石に愛理が触れてみると、十秒後ドスンと浮力を失い落ちた。


「ひっくりしたぁ」


なんとなく触れてみた岩が落ちて驚いた愛理は耳と尻尾の毛を逆立てている、実に感情が読みやすい耳と尻尾である。


「可愛いですね・・・」


「でしょ?」


そんな愛理の様子を見て、ラフォリアは頬に手を当てて顔を赤らめており、明日奈はラフォリアの肩を叩き、二人は何やら頷き合う。


「な、なに?」


そんな二人の視線に気付いた愛理は振り返り、自分の体を抱き締め隠す。


「なんでもないのよー愛理」


「そうです、なんでもありませーん」


「ほんとぉ?」


二人を怪しむ愛理は二人に疑いの表情を向け、愛理の疑いの表情を受ける明日奈とラフォリアはそっぽを向き、とぼける。


「まぁ良いけどさぁ・・・」


尻尾をソワソワと揺らす愛理は前を向き歩き始める、明日奈とラフォリアはクスリと笑い合ってから、愛理の後を追って山を登り始める。




「これは本当に困りましたね・・・」


「だね」


ヤキー山を進んでいると橋が落ちてしまっていた、下は流れの速そうな川、愛理達は先に進む方法を考える必要がある。


「・・・」


この件に関しては明日奈は何も言わない事にした、明日奈がプラチナモードに変身すれば飛んで二人を楽に崖の先に運べるのだ、しかしそれでは二人は成長出来ない、だから明日奈は見守るのだ。


「うーん、あの大きな木を倒す?」


愛理が指を刺す方向には大きな木がある、それを倒せば向こう側に行ける橋を作れそうだ。


「そうですね、やってみましょう」


ラフォリアの納得を得た愛理は、魔力剣を作り木を倒し始める、数十回斬りつけた所で木は倒れた。


「・・・」


「・・・」


斬り倒した木は、崖の反対側に届いたが転がって落ちて行き、川に流れて行った、失敗である。


「・・・ダメだね」


「はい・・・」


落ち込むラフォリアと愛理は周囲を見渡す、別の方法を探しているのだ。


「見て下さい!愛理!浮遊石です!」


「本当だ!あれを足場にすれば渡れるかも!」


愛理とラフォリアが見付けたのは四つの大きな飛空石、あれを足場にすれば渡れそうだと二人は考えた。


「でもあれが浮かんでいられるのは10秒くらい、早く渡らないとダメだね」


「ええ」


飛空石はバラバラに浮かんでいる、あれを速い動きで渡り切れるのかと、愛理は不安に思うが、渡るにはやるしか無い、ここは勇気を出すべきだろう。


「聞いてた?お婆ちゃん、あれを足場にして渡ろうと思うの、良い?」


「良いわ、やってしましょう」


明日奈の了承を得た愛理とラフォリアは浮遊石の方に向けて、歩いて行く。


「さぁ、ここだよ、二人共準備は良い?」


「はい」


「勿論よ」


「なら行くよ!」


愛理達は浮遊石に向けて飛んだ、一つ目の浮遊石に飛び乗った愛理達は急ぎ二つ目の浮遊石に向けて走る。


「ッ!」


三人は二つ目に飛び乗った、そして三つ目に飛び乗り、四つ目に飛び乗る。


「くっ!?」


四つ目の浮遊石は浮力が弱く愛理達が乗った途端、浮力を失い落ち始めた、明日奈は慌ててプラチナモードを発動させようとするが。


「イフリート!」


明日奈が変身する前に愛理がイフリートを呼び出した。


「イフリート!この浮遊石を下から蹴り飛ばして!」


愛理の頼みに頷いたイフリートは岩の壁にまずは足を付けてから下に見える川に向けて走り、岩の底が見えた所で飛んだ、そして岩を蹴り飛ばす。


イフリートが下から蹴り飛ばした衝撃により愛理達は上に吹き飛んだ、そしてそのまま先程とは反対側の崖に降り立つ。


「はぁー・・・なんとかなったね・・・」


「先程の岩が浮力を失った時は死んだかと思いました」


愛理は落ちて行く愛理を戻してから、はぁーと渡り切れた事を安堵する、ラフォリアもため息を吐いた。


(ふふふ、凄いわ、愛理)


明日奈は自分の知恵と勇気で崖を渡り切った愛理を見て、嬉しそうに微笑む。




クゥー遺跡


クゥー遺跡、ここに古代の飛空艇が眠っている。


「静かですね」


「うん、魔物の足音も聞こえない」


愛理はその優れた狐の耳で遺跡内部の音を探るが何の音も聞こえない、どうやらこの遺跡には魔物すらも存在しないようだ。


「居ないなら居ない方が良いのよ、さっ奥まで行ってみましょう」


「うん」


愛理達は遺跡の奥に向けて進んで行く。



遺跡最奥地


愛理達は沢山の部屋を見て回りながらここ、クゥー遺跡最奥地にやって来た、途中愛理達が見た部屋には宝箱が存在したが、どれもカラで過去沢山訪れていたとされる、冒険者や騎空団の者達が既に回収して売ってしまったのだろう。


「これが問題の扉ね」


「うん、開くのかなぁ?」


愛理は扉を押してみるがビクともしない、押して開く扉では無いらしい。


「やっぱり、これじゃ無理だよねー」


「はい、過去の方々も同じ事を試している筈ですから」


愛理が行った行動は誰もが試した方法だろう、押して開かないのなら別の方法を考えなくてはならないのだ。


「爆撃の跡、爆破して開こうとしたのね」


壁には爆撃の跡がある、過去訪れた者達は爆撃で扉を破壊しようとしたようだが、この扉は耐えたのだろう、つまり攻撃しても意味が無い。


「うーん・・・」


愛理は尻尾をゆっくりと揺らしつつ辺りを見渡す、何かスイッチのような物がないか探しているのだ。


「こういう時は壁よ!壁を探るのよ!」


明日奈は壁を触ってスイッチがないか探る、これすなわち歳の功である。


「床を剥がしてみるとか・・・」


ラフォリアは剥がせそうな床を探し始める、少しの隙間を見付ける時は指を突っ込み引っぺがそうとするが剥がれない。


「ん?」


そして愛理は上を見た、すると何か取っ手が見える。


「ねっ?お婆ちゃん、何だろ?アレ」


そして明日奈に声をかけ、天井の取っ手を彼女に教える。


「確かに、気になるわね、っと!」


取っ手を見た明日奈はグッとしゃがみ上に向けて飛ぶ、ゆうに20メートル程度飛んだ。


「・・・」


ラフォリアは明日奈の恐るべき身体能力を見てポカーンとする、愛理は慣れたものなので何も思わない。


「良し!」


明日奈は天井の取っ手に捕まる、するとガコンと音がした、何か仕掛けが動いたようだ。


「わっ!わっ!なんか出て来た!」


床が突然左右に開き、中から台が迫り出して来た、台の上には手のマークが描かれたプレートがある。


「これに触れろと言う意味でしょうか?」


「多分ね」


取っ手を離し、降りて来た明日奈がプレートに触れてみる、しかし無反応開かない。


「なら私が」


ラフォリアもプレートに触れるが開かない。


「なら私!」


愛理もプレートに触れてみる。


「おっ?」


ズズと微妙に扉が開いた。


「ねぇホワイトローズ、これもしかして魔力を吸収してる?」


「Yes、マスターの聖力、そしてラフォリアの魔力は吸収されていませんが、愛理の魔力は吸収されています、つまり今少し開いたのは、愛理の聖属性の魔力を吸った影響でしょう」


恐らくは他の冒険者や騎空団の者達もこの台を呼び出す事までは辿り着いていた筈、しかし誰もレア属性である聖属性の魔力を持っていなかった、だから誰も扉を開く事が出来なかったのだ。


「つまり、私なら開けるって事?」


「ホワイトローズの話が確かならその筈です、やっちゃいなさい!愛理!」


「うん!」


愛理はプレートに両手を付けて、全力で魔力を注ぎ込む、すると扉はズズズと開いて行き、扉は完全に開いた、そして冷たい風が吹き抜けた後扉の奥に奥に、青と白色を基調にした、まるで戦闘機のようなデザインの大きな飛空艇が見えた。


「飛空艇だ!」


飛空艇を目にした愛理は目を輝かせ、飛空艇に駆け寄る、明日奈とラフォリアは愛理を追って走る。


「どうやって乗るのかな?」


飛空艇に近付いた愛理は嬉しそうに尻尾を揺らしつつ、乗り口を探す。


「これかな?」


愛理は先程と同じ手のマークを見付けたので触れてみる、するとプシューと音と共に手のマークの横が開く。


「やった!」


そして愛理は嬉しそうに飛空艇に乗り込んだ。



古代の飛空艇、コクピット


愛理はワクワクと機体の各部を見る前にコクピットに向かう、他の場所を見る前にとにかく自分の操縦で空を飛んでみたかったのだ。


「おおー!操縦席だ!」


操縦席を見付けた愛理は座る、操縦席の背後には八つ椅子がある、飛行中はパイロット以外はそこに座れば安全だろう。


愛理は操縦桿に触れる、すると、飛空艇が起動したようだ、フォーンと音と共にエンジンが起動した、どうやらエンジンは死んでおらず飛べるようだ。


『新オーナー登録、オーナー名久城愛理、脳に操縦方法をインプット』


「へっ!?にゃぁぁぁぁぁ!?」


飛空艇はポン!と音と共に愛理をオーナーと認めると愛理の脳に操縦方法をインプットした、愛理は脳に送られて来る情報の影響で頭を抑える。


「愛理!?」


「大丈夫ですか!?」


見兼ねた明日奈とラフォリアが愛理に駆け寄る。


「はぁーふぅー、大丈夫、びっくりしたぁ」


飛空艇から送られて来る情報が止まったらしい愛理は、ケロリとした様子でラフォリアと明日奈に笑いかける、明日奈はその表情を見て大丈夫そうだと、安心する。


「ふふーん、今送られて来た情報のおかげで動かせそう!二人とも座って!飛ぶよ!」


「ええ!?」


「大丈夫なの?」


「うん」


自信ありげな愛理の表情を見た明日奈とラフォリアは愛理を信用する事にし、椅子に座る、椅子にはシートベルトが付いていたので装着する。


愛理は四点式のシートベルトを装着し、エンジンの出力を上げるレバーを引き、エンジンの出力を全開にする、そして網膜投影インターフェイスを始動させると、愛理の網膜に周辺の地図や高度や機体の姿勢の情報が投影される。


「ねぇホワイトローズ?見た感じ随分とハイスペックじゃない?本当に大昔の機体なのこれ?」


「解析中」


「・・・」


愛理は操縦桿を動かし、機体を浮上させる、現在愛理の網膜には周囲の壁が危険だとレッドアラートが発動している、そして機体が上昇して行くのと同時に機体を保管していた部屋の天井が開き、古代の飛空艇は長い眠りを終えて、再び空を目にした。


「さぁ!行くよ!メサイヤ!」


愛理は操縦方法をインプットされたのと同時にインプットされた、飛空艇の名前、メサイヤの名を呼ぶと、フットペダルを踏み、機体を加速させる。


「あはは!私飛んでる!空を飛んでる!」


愛理は網膜投影により投影される空を見る、空を駆け抜けて行く光景、左右を見れば雲が物凄いスピードで後ろに通り過ぎて行く、愛理は空を飛ぶ事をただただ楽しいと感じた。


愛理は操縦桿を斜め左上に切り雲の中に突っ込んだ、すると視界は一気に真っ白になるが、心配は無い、網膜投影インターフェイスに投影されている姿勢情報により、機体の姿勢は確認出来ている、その為姿勢を見失う事は無いのだ。


そして機体は雲を突き抜けた、辺りには白い雲の海、それを見た愛理はとても綺麗だと思った。


「ふふふ、うっぷ・・・愛理楽しそうです」


「そうね、ウッ・・・良かったわ、でも・・・」


明日奈とラフォリアは楽しそうな愛理を見て微笑みつつ、愛理の少し乱暴な操縦に酔っていた。


「あ、愛理?私達酔っちゃったみたいなの・・・そろそろ島に降りてくれる?」


「えっ?わー!大変!降りるね!」


明日奈の声を聞いた愛理は振り返り顔を真っ青にしている二人を見て驚く、そして慌てた様子でドリー島に引き返すのだった。

YN-35メサイヤ


古代の飛空艇、網膜投影が可能であり、パイロットである愛理の網膜に各種情報と広い視界を投影する、機体色は青と白。


武装は、各部に機銃とミサイルが八門、機首にも機銃、そして機銃の下部にビーム砲を装備している、ビーム砲以外の弾薬は有限であり、購入する必要がある。


燃料は愛理の魔力、低燃費であり、愛理の魔力量ならば、15時間の連続飛行が可能である。


自己修復機能を持ち、長い年月が経っても機体を維持出来ていたのはこれが理由、しかし大きく破損した場合、修復に長い時間がかかる。


外見のイメージはファイナルなんとか12のアレです

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