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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部四章、エクスティナと九尾
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十八話

城下町、路地裏


黒いフードを被った男に愛理は苦戦していた、攻めればいなされ、引けば押し込まれを繰り返し、こちらに隙が出来た所に男の攻撃が命中し徐々に体力が減って行く。


(力が出せない!、くそっ!)


本来の自分を失っているからこそ剣技が狂う、愛理は男の猛攻をなんとか躱しながら本来の自分を取り戻す為、考える、以前の自分はどうだった?と、そしてそれに比べて今の自分はどうなのだ?と。


(以前の私は・・・、そう誰かの為に戦っていた、今の私は・・・、まだ自分の為だ、結局本当の自分を取り戻したいから目の前のこの人と戦ってる、それじゃダメだ)


男に押し切られ足が地面を滑る、愛理はなんとか停止すると後ろにいる女性を見る。


(そう、私はこの人を守る為に戦うんだ、誰かを思いながら戦う、私はいつもそうやって実力以上の力を出して来た!)


誰かを思う心、レナ達を失ってからは結局は自分の為に戦っていた愛理が失っていたもの、愛理は今その心を取り戻そうとしている、また迫る男の攻撃、愛理は剣で逸らし、仲間達を思う。


「レベンさん、蒼狐ちゃん、麗ちゃん、ケーニ、そしてリアちゃん!、私に力を貸して!」



現実世界


「愛ちゃん・・・」


ラフォリアは愛理の右手を強く握る、眠る愛理の手を強く強く。



城下町


「!」


剣を握る手が突然暖かくなる、この暖かさは愛理の最高の友であるラフォリアものだ、ラフォリアの暖かさを感じた愛理は力が溢れて来るのを感じ、そして女性を守りたいと思う強い気持ちが、更に力を湧き上がらせる。


「・・・、行くよ」


「!」


愛理はスーと息を吸いながら集中し男を見据える、愛理の目を見た男は先程までとは明らかに違うと思い、唾を飲み込んだ。


愛理が飛び出した、それを見た男は愛理が剣を振るった瞬間に後ろに引く、先程まではこれで愛理の攻撃を躱せたからだ、しかし愛理は更にもう一歩踏み込み斬撃を男に命中させる、この一撃だけで男の体力が半分以上吹っ飛んだ。


「なんて攻撃力だ!」


この女に自分では勝てないそう判断した男は背後の女を狙う、愛理に向けて突進し斬りかかると思わせた所で上に飛んだ、しかし・・・。


「・・・」


宙を飛ぶ男の真横に愛理がいた、集中し切った愛理は男の行動を完全に読み男が飛ぶのと同時に自分も飛んだのだ、真横にいる愛理に驚いた男は蹴りを放つが愛理は蹴りを掴み、男を地面に向けて放り投げた。


「ぐはっ!」


男は地面に背中から落ちた、愛理は男の上に飛び乗ると彼の首に剣を突き付ける。


「ねぇ、あなたの体力、もうないよ、まだやる?」


「こ、降参だ!」


「そっ、ならこの武器は貰っておくね」


殺人をして回っている男だ正直何をするか読めない、愛理は自分が危険に晒される前に武器を奪っておき、危険を未然に防ぐ、丸腰となった男をアイテム欄から取り出した縄で拘束すると愛理は女性に近付く。


「大丈夫だった?、あなたを狙う人はもういないから、安心してね?」


愛理はまだ怯える女性に優しく微笑みかけ抱きしめる、女性は愛理に抱き締められているうちに安心したのか震えが止まり自分から愛理から離れた。


「ありがとう、助けてくれて」


「ふふ、いいのいいの」


女性はまだ男が怖いのか、愛理にお礼を言うとそそくさとこの場から去って行った、愛理は彼女の姿が見えなくなってから男に向き直り、ラースの元に向かうと、こいつが殺人犯だと彼に突き出し、男の処遇を彼らに任せた。




ラメダの万屋


「ただいま」


「お帰りなさい!」


愛理がただいまと言いながら店に入るとサラが出迎え抱き着いてきた、愛理は抱き着いてきたサラを強く抱き締め、サラに心から感謝をする、一度は失ってしまった自分を取り戻せたのはサラのおかげだから。




「・・・airiが捕まえてくれた彼は確かに連続殺人事件の犯人だった、しかし・・・」


「ええ・・・、殺人件数は減っていない、これは例の殺人ギルドの仕業でしょうか?」


「恐らくな、実に厄介だよ、今回の事件を引き起こした彼のような者が複数いるのだから・・・」


ラースのギルドの会議室の壁にはとある紋章が描かれた紙が貼ってある、その紋章は殺人ギルドの紋章、赤い月、だった。




暗闇の街


「よっ、ライド、報酬を貰いに来たんだけど?」


「・・・、報酬?、なんのことだい?」


報酬の催促をされたライドは口笛を吹きながらすっとぼける、そんな彼女を見た愛理は・・・?。


「みんなー!、聞いてー!聞いてー!、ここに詐欺師な情報屋がいるよー!、名前はねー!」


「わっ!、わっ!、何してるんだい君は、分かったよ、報酬を渡すよ」


折角作り上げた信用を報酬を渡さなかったことで愛理に騒ぎ立てられ失っては堪らないと、ライドは愛理の口を塞ぐと報酬を手渡す、その金額は1000万ゴールドだった。


「いやいや、多いでしょ・・・」


1000万ゴールドも貰った愛理は流石に多すぎるだろうと彼女に言う。


「良いよ良いよ、僕は別に困らないしね」


「・・・、つまり1000万程度減っても余裕な程お金を持っていると?」


愛理の質問を聞いたライドはニヤリと笑う、そんな彼女のニヤケ顔を見てムカついた愛理は・・・?。


「みんなー!聞いてー!」


「だから何をしてくれようとしてるんだい!、君は!」


ライドの懐具合を往来の者達にぶちまけようとしたが、言葉を発する前に口を塞がれ止められた。


「あの二人、意外と仲良いわよね」


「そうか?、俺には天真爛漫な奴に振り回されてる苦労人にしか見えんがな・・・」

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