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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部二章、黒いアーマーデバイスと九尾
201/422

三十話

クラフトデビルズ本拠地


まもなく発射される堕天使のビーム、愛理は発射される前に砲口に剣を突き刺した、剣が突き刺されるのと同時に発射されたビームは弾けるようにあちこちに飛び回る。


「くっ、ううう!、このままじゃ駄目だ!、なら!」


このままでは愛理の剣は堕天使のレーザーに押し出されビームが撃ち出されてしまうと考えた愛理は、後ろを見る。


「ティナ!、こいつの右足を足を撃って!、他のみんなは左足を攻撃!」


「了解!」


愛理がしようとしている事、それは堕天使を転倒させ上にビームを撃たせる事、上ならば味方はいない、これならば誰も死なずに済む、ティナ達は一斉に堕天使の両足に攻撃し、堕天使は愛理の目論見通り倒れた、愛理は堕天使が倒れた所で剣を引き抜く。


「っ!」


剣を引き抜いた瞬間に発射されたビームは一瞬で天井を跡形もなく吹っ飛ばした、愛理はビームの衝撃波に吹っ飛ばされ、ティナとセシリアが吹っ飛ばされた愛理を受け止めた。


「オオオ・・・」


ビームの放出を終えた堕天使は立ち上がりこちらを見据える、その顔は焼け爛れておりその傷は徐々に修復されて行っている、その様子を見るに暫くはビームを撃てなさそうだ。


「今がチャンスっぽいぜ、愛ねーさん」


「私もそう思うー」


「だね、なら一気に決めるよ!」


一気に決める、そう宣言した愛理は剣を振るい魔力を放出する、その力強い魔力はセシリア達を勇気付け愛理と一緒なら目の前の強敵にも必ず勝てると確信出来た、愛理は自分を信頼してくれる仲間達と共に堕天使に向かって行く。




「オオオ!」


勇気を持つ者、勇者愛理とその仲間達は堕天使に迫る、顔の修復がまだ終わっていない堕天使は敵の接近を嫌い、背中の羽から小羽を飛ばした。


「させない!」


放たれた子羽はティナが全て叩き落とした、それを見た堕天使は次の手として剣を振るおうとする。


「はっ!」


「やぁー」


振り下ろされそうな腕にセシリアとレアリがぶつかり、堕天使の手から剣を落とさせた、しかし二人は地面に着地する前に堕天使に殴られ地面に倒れる。


「オラァ!」


地面に倒れたレアリを見て怒りを感じたレイズは、堕天使の胴体に槍を突き付け、ドリルランサーを放つ、レイズの技を喰らった堕天使の体が宙に浮く。


「愛ねーさん!」


「うん!」


愛理は縮地を使い宙に浮いた堕天使に追い付く、宙に浮いた堕天使は体を回転させ裏拳を放ち、愛理はそれに命中するが、更に強く縮地を発動させる事で、吹き飛ばされる勢いを消した愛理は堕天使に取り付き、堕天使の体に剣を突き刺した。


「これで・・・、決める!、エクスブレイカー!」


突き刺した剣から愛理はエクスブレイカーを放つ、エクスブレイカーは堕天使を内部から破壊し真っ二つにする、二つに別れた堕天使は地面に落ちた。


「やったのか・・・?」


「まだだよ!」


地面に落ちた堕天使の顔は修復が終了していた、そして堕天使は最後の力を使いビームを放とうとしている。


「これで終わりよ!、フルバースト!」


ティナは全ての魔力を使い宙に銃器を出現させると全弾発射した、銃撃の嵐に呑まれた堕天使はビームを放つ事なく、跡形もなく消滅した。


「やったね、みんな勝ったよ」


「はい!」


少女達は堕天使に勝利した、勝利を喜び合う少女達の笑顔を塗りつぶすかのような拍手が部屋に鳴り響く。


「素晴らしい、流石は勇者、そしてその仲間達だ、一国を軽く破壊出来るほどの戦術兵器の試作品を悠々と倒して見せるとはな、やはり貴様は生かしておけん」


拍手の主、アルファルドは剣を抜くと愛理に斬りかかってくる、それをレアリとレイズが防ごうとするが、二人は大きく消耗している、軽く討ち倒れた、それを見てセシリアと愛理が動く。


「あなたはここで逮捕する!!」


愛理とセシリアは危険な存在であるアルファルドを捕らえるため、攻撃を仕掛けたが、アルファルドは愛理の斬撃を躱し、セシリアの懐に潜り込むと強烈な膝打ちをセシリアの腹に入れた、セシリアはその痛みに耐えかね倒れる。


「セシリア!、このぉ!」


堕天使との戦闘により、魔力が心許ない状況の中、それでも愛理は勝てると勇気を出してアルファルドに挑んで行く。


「衝波!」


「ククッ、フン!」


愛理の左手から放たれた衝波は、アルファルドの魔力により打ち消された、衝波を打ち消された愛理はすぐ様次の動きに入り蹴りを放つが、アルファルドに足を掴まれる。


「魔力が残り少ない状態ではこんな物か?、勇者よ、これでは楽に殺せてしまうなぁ」


アルファルドは愛理の足を握る手に力を込め、愛理の左足首を骨ごと握り潰した。


「あああ!?」


左足首を潰された愛理は悲鳴をあげ苦しむ、アルファルドは苦しむ愛理を見て薄ら笑いを浮かべながらゆっくりと近づいて行く。


(くそっ!、私に魔力があれば!)


このままでは友が殺される、焦るティナは何か手はないかと持ち物を漁る。


「これだ!」


鞄の中にとある物を見つけたティナはそれを放り投げた、ティナが放り投げた物はアルファルドの目の前に落ちると強烈な光を放つ、ティナが投げた物は閃光弾だったようだ。


「何!?」


アルファルドは強烈な光に思わず顔を覆ってしまう。


「っぁああ!、エクスバースト!!」


ティナが作ってくれたアルファルドの隙、それを逃すつもりはない愛理はなんとか体を起こし、剣を構えると残る全ての魔力を込めてエクスバーストを放った。


「ちっ!」


閃光弾に視界がゼロの状態ではより迫るエクスバーストを躱しきれないと判断したアルファルドは、舌打ちをし転移し逃げて行った。


「は、ハハハ、なんとかなったぁ」


アルファルドが消えた事に安堵した愛理は意識を保つ事が出来なくなり、気絶した。


「先輩!」


「愛理!」




地球支部、病院


愛理が気絶した後、ワールドセイバーのエージェント達はクラフトデビルズの構成員達を全員拘束し、そして本拠地を制圧した、そして基地内部に残る黒いアーマーデバイスは全て回収したが、多数のアーマーデバイスが犯罪組織に手渡されたとの資料を発見し、現在はその対応を練っている所だ。


「はい、久城愛理さん、足はもう大丈夫ですよ、あなたは怪我ばかりするんですから、気を付けて下さいね?」


「はぁい・・・」


いつも診断してくれる医師に注意された愛理は尻尾と耳をシュンとさせ反省する、そして反省した尻尾と耳のまま医師にお礼を言って病院から出ると、ティナ達が待ってくれていた。


「もう大丈夫なのですか?、先輩」


「うん、問題なし!」


セシリアに大丈夫なのか聞かれた愛理はピョンピョンと飛び足の完治を皆に知らせる、その時だジロリと自分を睨む視線を愛理は背中に感じた、その視線を感じた愛理はすぐに飛ぶのをやめ逃げるようにエレベーターに乗り込む。


「それにしても、二人とも本当にワールドセイバーに入るんだね」


「おう、ティーねーさんと一緒に居たいし」


「お給料も良いしねー」


ワールドセイバーに入った二人は早速この近くに部屋を借りている、今後はそこで二人で暮らすようだ。


「でも愛ねーさん達と同じチームに入れなかったのは残念だなぁ、どうせなら一緒に仕事したいのにさぁ」


「仕方ないわ、うちのチームはもう人員がいっぱいなのだもの、それにチーム合同の共同任務もあるみたいだから、その時は一緒に仕事が出来るわ」


「それに期待するしかねぇか・・・」


チームは基本的にリーダーを含めた六人構成である、その為レアリとレイズは別チームの配属となった。


「さっ!、私の退院祝い、そして二人のワールドセイバー入りを祝って、セシリアが奢ってくれるってさ!、レストランに行こう!」


「ええ!?、私そんなの言ってせんよ!?」


「先輩命令」


「絶対にいーやーでーす!」


ティナ達が奢る奢らないの攻防をする愛理とセシリアを眺めている内にエレベーターは一階に着いた、どっちが奢るか奢らないかのじゃんけんを愛理とセシリアは始め、勝利したのはセシリアだった。


「勝負は勝負です、そんな拗ねた顔してもダメですよ?、せ・ん・ぱ・い?」


「ううー、良いよぉー、払うよぉー」


愛理は次は絶対に勝ってやると内心思いながら、ティナ達と共にレストランに入って行った。

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