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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第一部、一章冒険の始まりと三尾
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一話

一章冒険の始まりと三尾。

10年前のアメリカ、愛理の自宅


幼い愛理はソワソワしていた、今日は大好きなお婆ちゃん、明日奈がうちにやって来るのだ。


「ママ、お婆ちゃんはまだかなぁ?それにクッキー焼いて来てくれるかな?」


「そうねぇ」


明日奈はこの家に来る度に美味しいクッキーを持って来てくれる、明日奈が焼くクッキーはとても甘くて美味しく、愛理は明日奈がクッキーを持って来てくれるのをいつも楽しみにしているのだ。


「お婆ちゃんが来るのだから、お部屋のお片付けをしなさい、こんなにおもちゃを散らかしてる部屋をお婆ちゃんに見られても良いの?」


明日葉は愛理に部屋の片付けをするように言う、部屋には愛理が父、和樹に買ってもらった人形が散乱しており、部屋は正直言うと綺麗だとは言えない、明日葉としてはそんな部屋を祖母に見られるのは恥ずかしいとしか言えない、もし見られたら恥ずかしくて隠している耳と尻尾が飛び出してしまいそうだ。


「うん!片付ける!」


母の命を受けた愛理は母の言葉に素直に従い、おもちゃを片付けて行く、テキパキと迅速に。


「全く・・・いつもはこんなに素直にやらないのに、お婆ちゃん効果は絶大ね」


いやに素直な娘の姿に明日葉はちょっとムッとしつつも、すぐに表情を切り替え、せっせとおもちゃを片付けて行く娘の姿を優しく見守った。




「こんにちは」


愛理が丁度おもちゃを片付け終えた頃、明日奈がドアを開けて、家の中に入って来た、ドアが開く音に反応して母に絶対に隠さなければならないと、教えられていた狐の耳を思わず出し、ピーンと立てた愛理は、すたっと立ち上がり、玄関に居る筈の明日奈の元に向かう。


「お婆ちゃん!いらっしゃい!」


「ええ、こんにちは、愛理、また大きくなったのかしら?」


「うん!大きくなったよ!エヘン!」


幼い愛理から見ても綺麗だと思う明日奈は、服が何故か少し汚れている。


「ねーお婆ちゃん、なんでお洋服が汚れてるの?」


素直な愛理は明日奈の服が汚れている理由を聞く。


「ん?あぁちょっと、うちの近くで暴れてるファイアドラゴンをついでに追い返してして来たのよ、私が耕した畑を踏み荒らしてぐちゃぐちゃにしてくれちゃってたからね」


「ふぅん、ファイアドラゴンってなに?」


地球のそれも愛理が住むこの近辺しかまだ見た事がない愛理は、明日奈にファイアドラゴンとは何か聞く。


「ふふ、すっごく大きい、動物よぉ?お口から火を噴くの」


「お口から?本当に?」


「ええ」


明日奈の話を聞いた愛理はファイアドラゴンと言う存在に心惹かれた、そんなに大きな存在が居るのならこの目で見てみたいと思った。


「見たい!見せて!お婆ちゃん!」


「ふふふ、良いわよ」


明日奈はドラゴンの姿を見たいと言う孫の言葉を聞いて頷く、明日奈は自分の家族が願う事は叶えれる事なら叶えてあげたいと思っている、ファイアドラゴンの姿なら明日奈なら必ず愛理に見せてあげる事が出来るだろう、だから明日奈は良いわよと愛理に答えた。


「やった!いこ!」


「ええ、来たばかりなのに外出する事になって悪いわね?明日葉」


明日奈は愛理の後ろにいる、明日葉にすぐに外出する事になってしまった事を謝る。


「ううん良いの、お婆ちゃん、愛理に凄いものを見せてあげて?」


「任せなさい」


明日奈は明日葉の言葉にガッツポーズで答えると、愛理の手を引き、二人一緒に明日奈の森の中の家に向けて転移した。




森の中の家


明日奈の自宅である森の中の家の前に転移して来た、明日奈と愛理はまずは家の中に入る、一応の安全を確保する為、明日奈には武器が必要なのだ。


「ホワイトローズ?起きてる?愛理にファイアドラゴンを見せたいの、協力して?」


「起きてます、マスター」


何やら新装備案を身の丈ほどもある鉛筆でノートに描いていたらしいホワイトローズは、フワリと飛び上がると、愛理の頭の上に着地する。


「うわー!妖精さんだよ?お婆ちゃん!」


「ふふ、妖精さんだってさ、ホワイトローズ」


「私は剣です」


愛理に妖精さんだと言われ拗ねるホワイトローズを見てクスリと笑った明日奈は、ホワイトローズの頬を突いてから、愛理の手を引き、近くのファイアドラゴンの生息地に向けて歩いて行く。





ファイアドラゴンの生息地


グルル、グアアと、ファイアドラゴンのいびきが辺りに響く、ここはファイアドラゴンの生息地、しかしどの個体も今は眠っているようだ。


「大きいね!すごーい!」


「そうね」


愛理はファイアドラゴンの大きな姿に鼻を膨らませ興奮する、まだ小さき少女はこれほど大きな動物を見た事が無かったのだ、だから興奮する。


「触っても良いの?」


「良いわよ」


明日奈にファイアドラゴンを触っても良いとの許可を貰った愛理はワクワクウキウキとファイアドラゴンに近付き触れる、その小さな手の感触に目を覚ました、ファイアドラゴンは美味そうな肉だと口を開こうとするが突然の猛烈な圧力に口を閉じる。


圧力に抑え付けられるファイアドラゴンがその圧力を放っている者を探すと、それは明日奈だと判明した、ニコニコと笑い、明らかに動くなと言葉は無くても言っている明日奈の姿はファイアドラゴンにとって、とてつもなく恐ろしいものに見えた。


その為明日奈に抑え付けられるファイアドラゴンは、冷や汗をダラダラと垂らしつつ、大人しく愛理にその体を触らせる、他のファイアドラゴンも冷や汗ダラダラで明日奈と愛理の姿を無視する、見なかった事にする。


「ねぇ!お婆ちゃん!この子飛べるの?」


「んー?飛べるわよ?」


「見たい!」


「分かった」


孫のリクエストを聞いた明日奈は圧力を解き、無言でファイアドラゴン達に、おいお前ら飛べ、と、もう一度圧力を放った、明日奈の圧力を受けたファイアドラゴン達は、渋々と飛び上がって行く。


「わぁ!凄い!」


「そうでしょう?もっと近くで見る?」


「うん!」


「分かった」


孫の二つ目のリクエストを聞いた明日奈はフォンと聖力を解放する、明日奈の体から噴き出す白き聖力を見た愛理は、明日奈のその姿をとても綺麗だと思った。


「ホワイトローズ!プラチナモード!」


『Yes!プラチナモード!』


明日奈はホワイトローズにプラチナモードを要求する、するとプラチナローズはその言葉に答え、次の瞬間明日奈は、白金の鎧プラチナモードに変身していた。


プラチナモードとは明日奈の力を数倍に跳ね上げるモードであり、明日奈はこのモードで沢山の敵と戦って来た、歴戦の姿だ。


「お婆ちゃん、騎士様みたい!」


『騎士だそうですよ、マスター』


「あれ?プラチナモードってそうじゃなかったの?」


『そうですよ』


「なんなのよ・・・」


明日奈は長年共に生きてちょっとおちゃらけた性格になったホワイトローズに呆れつつ、愛理を抱き、背中にフォトンウィングを出現させる。


「さぁ!飛ぶわよ!愛理!」


「うん!」


孫の声と共に明日奈は背中の白き羽を広げ、空に飛び上がる、空そこは鳥達が飛び交う広き世界、自由の楽園だ、愛理はそんな自由の楽園を明日奈と共に飛ぶ。


(私は忘れない、お婆ちゃんと見たこの時の光景を、初めて見た広くて果てしない世界の姿を)


明日奈と愛理はファイアドラゴンを追い、空を駆ける、暫くの間、空には愛理の楽しそうな笑い声が響いていた。




愛理の自宅


「ただいま」


「お帰りなさい」


明日奈は空で眠ってしまった愛理と共にアメリカに帰って来た、そして眠る孫娘を彼女の母に渡す。


「ありがとう、お婆ちゃん、愛理に凄いものを見せてくれて」


「良いの、それじゃまた来るわ」


「うん」


明日奈は娘を抱く明日葉に手を振ると、転移する。



天上界


シュンと音と共に明日奈は自身の母が住む天上界にやって来た。


「よう、明日奈、肩を揉んでくりゃれ」


「はいはい」


家の中に入るなり、肩を揉んでくれと母、玉藻神狐に頼まれた明日奈は、母の肩を揉む。


「さて、明日奈、お前も感じておるじゃろう?この嫌な気配を」


「ええ、それがどこからかは分からないけど、確かに」


明日奈は感じていた、どこからか迫る闇の気配を、しかしそれがどこから迫って来ているのかは分からない、しかし時間がかかったとしても見つけてみせると誓っている。


「また、激しい戦いになるのかのぅ」


「さぁね、今は分からないわ」


明日奈と神狐は迫る闇の気配に耳と尻尾をピクピクさせつつ、神狐は明日奈の肩揉みの気持ち良さに、明日奈は母の肩揉みに集中する。

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