二十四話
廃墟
愛理達はメモに書かれた場所にやって来た、目の前に存在する施設は古びた廃墟だ、愛理達は廃墟を調べる事にし中に入った。
「ねぇ二人とも、ここ私達がいた施設に似てない?」
「あぁ、似てる」
「そっくりー」
この廃墟、ティナ達が実験動物として収容されていた施設に似ているようだ、確かに割れたガラス扉の奥の部屋を見ると壊れた医療設備が見える、この施設が使われていた頃はあの設備を使い実験を行なっていたのだろう。
「牢屋です」
愛理達は実験動物として扱われていた少年少女達が収容されていた筈の牢屋が沢山並んだ場所に来た、ティナ達は牢屋を見て暗い顔をする。
「早く行こう」
ティナ達の表情を見た愛理は早く進もうと促し、牢屋が並ぶ区間から離れた、牢屋が並ぶ区間の先は沢山のパソコンが並んだ場所に出た、ここで実験結果を整理し記憶していたのだろうと愛理は推測する。
「生きてるパソコンはないかしら、何か分かると思うのだけれど」
更なる情報が欲しい愛理達は生きているパソコンがないか探し始める、しかし長年放置されていた為か全て壊れていた、パソコンから情報を得るのは諦めるしかなさそうだ。
「ここは諦めるしかないね、先に進もう」
この場所で情報を得るのを諦めた愛理達は、この部屋の奥の扉を開けて更に先に進む、暫く進むと階段が見え、階段は地下に向かっているようだ。
「怪しい雰囲気です、何かいそうですよ・・・」
「うん・・・」
セシリアが感じた雰囲気は愛理達も感じているようで皆ブルルと体を震わせた、五人は何も出ない事を祈りたまに聞こえる風の音で全員で驚きつつ階段を降りて行く。
「扉だー」
階段を降り切ると鉄製の扉が見えた、先に何があるのか気になったレアリが扉を開けた、五人は開いた扉の先に入って行く。
「何・・・これ?」
扉の先に存在したのは巨大なサソリのような兵器だった、巨大なサソリの尾が怪しく輝いている。
「あらー、見られちゃったかぁ」
広い部屋に突然響いた声に驚き愛理達が振り向く、するとそこにはノアが居た。
「ねぇ、あなたに聞きたい事があるの、あなたはレイズやレアリみたいに、洗脳されているの?」
「はぁ?、私がうちの組織の幹部の中でも最弱のその二人みたいに洗脳されてるわけないじゃん、馬鹿じゃないの?」
愛理はもしノアが洗脳され操られているのならば、洗脳を解きクラフトデビルズから解放するつもりだったが、彼女は洗脳されておらず自分の意思で殺しをしている、ならば逮捕し人を殺した罪を償わせる。
「そう、あなたの事はよく分かった、なら私はあなたを逮捕する!、行くよ!、カプリコーン!」
『うむ!』
ノアを逮捕すると決めた愛理は変身しようとしたが、後ろに感じた大きな魔力に驚き変身を取りやめ振り返る。
「なっ!?」
愛理が振り返ると先程まで動いていなかったサソリ型の兵器が動いていた。
「まさか起動するなんてね、こいつは私達黒いアーマーデバイサーが塔乗する事で真価を発揮する、つまり黒いアーマーデバイスを持つ私に反応して起動しちゃったんだ、でもこれじゃあ乗れないなぁ」
レイズとレアリのアーマーデバイスは愛理が洗脳を解いた時に破損している、その為ノアが言った通り、サソリ型はノアに反応して起動したのだろう。
「あなた、こいつの止め方を知らないの!?」
このサソリ型は危険、そう直感で感じ取った愛理はノアに止め方を知らないのか聞く。
「しーらない、こいつは黒いアーマーデバイサーが乗ったら制御が可能だけど、乗ってないとね?、破壊されるまで止まらないの、ふふふ、つまり人を殺しまくる殺戮マシーンが目覚めたってワケ」
「そんな危険な物を目覚めさせたのはあなたなのに良く笑っていられるわね・・・」
ティナは殺戮マシーンを目覚めさせた張本人なのに笑っているノアを睨み付ける、しかしノアはティナの視線などどこ吹く風でそっぽを向き愛理達に背を向ける。
「それじゃ私逃げるわ、そいつさぁ、下位の神様より強いんだって、だから目覚めさせずに回収するつもりだったんだけど目覚めちゃったごめんねー、それじゃあねー」
ノアは愛理達に手を振ると転移して逃げて行った、ノアが消えた瞬間、サソリ型は起動シークエンスを完了させたようでプシューと煙を吐き出す、そして近くにいる獲物、愛理達にレーザーポインターを向けた。
「くっ!?」
一瞬で極限まで膨れ上がったサソリ型の魔力、喰らえば終わりだと判断した愛理は尻尾や手をティナ達に当てて転移する、愛理達が消えた次の瞬間、サソリ型の口からは灼熱のレーザーが発射され、廃墟を跡形もなく消し去った。
「わぁ!?、ビックリしたぁ!」
愛理はこの世界にいる明日奈の魔力を頼りに転移した、明日奈はいきなり現れた愛理達に驚き尻尾の毛を逆立て驚いている。
「あはは、ごめんごめん、お婆ちゃん」
「まぁいいけど、それで?、大分焦った様子だけどどうしたの?、この魔力が原因かしら?」
「そっ、ノアって子が下位の神よりも強い兵器を目覚めさせちゃったの、それでなんとかみんなを連れて転移して来たってわけ」
「みんな気絶してるわよ・・・」
「あっ・・・」
愛理は慌てて転移した為、ティナ達の姿勢など考えてなかった、その為ティナ達は地面に激突し気絶したようである、愛理は気絶する彼女達を見て苦笑いする。
「相変わらず、うちのエースはちょっと抜けてるわねぇ」
愛理の姉貴分のミーヤは愛理に近付くと頭をグリグリする、グリグリされる愛理はあーと言っている。
「後輩弄りは程々になミーヤ、それで?、部長、どうします?」
「沢山の犠牲が出る前に止めるしかないわ、たとえ刺し違えてもね」
ノアの言っている事が本当ならばサソリ型はこの世界の人々を殺し尽くすまで止まらない、そうなる前に止めるのがワールドセイバーとしての責務である。
「・・・、お婆ちゃん、みんなが起きたら先に行ってて、私ちょっと取ってくる物がある」
「?、分かったわ」
サソリ型に勝つ為に愛理はとある物を使おうと考え転移した、明日奈は愛理が何を取りに行ったのか気になりつつも、ティナ達が目覚めてからサソリ型が居る場所へと皆で転移した。
ベレー島、飛空艇ドック
「メサイヤ、あと半年は、あなたを戦いに使うつもりはなかった、でもあなたの力が必要なの、だからまた一緒に空を飛ぼう!」
愛理は愛機メサイヤに乗ると、メサイヤと共に転移した。




