二十一話
地下
戦車用の巨大なエレベーターに乗り愛理達は地下にやって来た、エレベーターが止まり三人の目の前の扉が開いたその先には先程とは違う実弾兵装の戦車が複数、その全てがこちらに砲塔を向けていた。
「ヤバ・・・」
複数の砲塔を見て愛理が尻尾を縮こませた所で、一斉に砲弾が発射された、愛理は後ろにいる二人をと自分を覆うように慌ててシールドを張る。
「どうするの!?、このままじゃシールドが割れるわよ!?」
「分かってる!、来て!、天秤座の精霊!ライブラ!」
いきなりの危機的な状況、愛理はこの状況を打破する為ライブラを召喚した、召喚されたライブラは重力を操り砲弾を止めた。
「良し!、打ち返せ!」
「あぁ!」
打ち返せとの命令を受けたライブラは、砲弾を反転させ、戦車に向けて撃ち込んだ、複数の戦車は自身の砲弾により爆発した。
「ふぅー、なんとかなりましたね」
「そうだね・・・、敵はもう戦闘準備を終えてるみたいだから油断しないように進もう」
戦車との戦闘を終えた愛理達は、敵本拠地の把握、そして黒いアーマーデバイスの回収と言う目的を果たす為、敵基地内部を進む。
第一障壁
基地には複数の障壁があるようで、巨大な部屋に入った愛理達の数十メートル先に閉じられた障壁が見える、その障壁の前には複数の敵構成員、どう見ても戦闘準備は万全と言った様子である。
「侵入者が来たぞ!、撃てぇ!」
愛理達の姿を捉えた敵構成員は一斉に銃弾を発射した。
「来て!、イフリート!」
「〜!」
愛理達に迫る無数の銃弾、召喚されたイフリートはその炎で一気に消滅させた。
「二人とも!、行くよ!」
「はい!」
迫る銃弾はイフリートが消滅させている、愛理達彼の炎を頼りに前に進み複数の敵構成員に近付いていく。
「はぁい!」
イフリートが炎で銃弾を防ぐ中、セシリアがその炎を突っ切り、敵構成員達のど真ん中に入り込んだ、ミョルニルを天に向けて掲げたセシリアは地面を思っ切り殴る、その瞬間基地は大きく揺れて構成員達は立っていられず全員倒れた、愛理達も倒れた。
「何してるんですか・・・、先輩」
「いきなり揺らすからだよ!」
「いきなりはダメよ・・・、セシリア・・・」
「ぶー」
拗ねるセシリアをよそに構成員達は立ち上がろうとしている、それを見たティナは麻酔弾を装填し敵に撃ち込み彼等の意識を奪って行く、それを見た愛理とセシリアは手刀で首筋を叩き自分達も意識を奪って行く。
「終わりっと、次行こう、次」
「ええ、楽勝だったわ」
第一層での戦いを終えた愛理達は第二層に進む。
第二層
第二層、待ち構えるのは魔導機関で動く多脚戦車、複数の武器を内蔵した強敵である、多脚戦車は確認出来る限りでは十五体、既にレーザーサイトをこちらに照射している。
「ppp!」
多脚戦車は機械音を鳴らすと前にいる八体は前に飛び、後ろにいる七体はレーザーガンを放って来た。
「持って来ておいて良かったわ」
ティナは背中に装備していた対戦車ライフルを構えると弾を装填し発射した、ティナが狙い撃つのは後ろでレーザーガンを放つ多脚戦車だ。
「セェイ!」
前に飛んだ多脚戦車のうち三体を同じく上に向けてジャンプした愛理が地面に剣で叩き落とした、その脇を多脚戦車が通って行くがセシリアが回転しつつハンマーを打ち付け、無理矢理に後退させた。
今の一瞬で愛理とセシリアは三体多脚戦車を倒した、ティナも的確に心臓部を撃ち抜き、二体倒している。
「ppp」
前衛の多脚戦車はチェーンソーを取り出し愛理とセシリアに向ける、そして囲むような動きで迫って来た。
「囲ませるか!」
愛理はチェーンソーを掻い潜り五体いるうちの一体を蹴り飛ばした、取り囲もうと動いていた彼等の動きは早々に失敗し、陣営が崩れる、セシリアが崩れたその隙を突きもう一体ハンマーで吹っ飛ばし、残りの数を三体とする、ティナもその間に冷静に撃ち続け残りの数を二体としていた。
「ppp」
残り三体の多脚戦車はコマのように回転し、愛理とセシリアに迫って来る、それを見た二人は下がりながら移動する。
「どうします?、あの速度の回転だと斬りかかっても弾かれそうです」
「うーん、そうだっ!」
多脚戦車の回転をどうするか迷った結果、ピスケスを召喚した。
「ピスケス!、あなたの盾であの回転を止めて!」
「ららら〜、分かりましたわ〜」
ピスケスは愛理の命令を受けて多脚戦車を迎え撃ち、盾でその回転を止めた、回転が止まっているうちにセシリアがハンマーで殴りまずは一体を倒す。
「来て!、蟹座の精霊!キャンサー!、多脚戦車をハサミで切っちゃえ!」
「分かった、カニ!」
キャンサーはハサミを巨大化させると回転する多脚戦車を捉えた、それでも多脚戦車は回転するが挟む力が強くなる毎に回転は収まりやがて完全に止まった、キャンサーは回転を止めた多脚戦車を真っ二つにする。
「やったね!、あとはピスケスが止めて、キャンサーが切っちゃえ!」
「ららら、はぁい〜」
「了解真っ二つだ、カニ!」
最後の多脚戦車は同じようにピスケスが止めてキャンサーが真っ二つにし倒した、ティナも全て倒し終えていたようで、愛理達に近付いて来る。
「さぁ、次ね」
「うん」
多脚戦車を倒した愛理達は第三層に進む。
第三層
「よく来たわー、侵入者」
「もっと早く来ると思ってたぜ、待たせんなよ」
第三層に居たのは二人の少女、セシリアと同じく十六歳くらいに見える二人の少女の胸元には黒いアーマーデバイスが見える、どうやら彼女達は数回戦闘したダークデバイサーズの仲間のようだ、二人の奥には巨大な転移魔法陣がある、恐らくあれで運び込んだ荷物を転移させたのだろう。
「私はーレアリよー」
「俺はレイズだ!、早く殺し合おうぜ!」
(この二人・・・、私と一緒にあの施設にいた・・・、私の顔を見ているのに反応がない・・・、記憶を消されているの?)
ティナは愛理が自分の事を気にかけている事を理解している為、顔に出さないように、面識がある二人について考える、ティナが顔に出さないようにしていても、ジーとティナを見ている愛理の尻尾がピコピコと動いたのをセシリアは見ていた。
「ていっ」
「ひゃあ!?」
愛理はこっそりとティナの後ろに回ると脇腹を小突いた、脇腹を小突かれたティナは悲鳴をあげる。
「敵の前で何よ!?」
「あの二人、知り合いなんでしょ?」
「・・・、な、なんで分かったの?」
「あなた、何か考えてる時、絶対髪の毛を触るの、それで分かった」
「・・・、あなた、本当に私の事よく見ているのね」
「えへへ、まぁね、私、あなたと友達になりたいからね、そりゃ良く見るよぉ〜」
「ふふふ、そっか」
素直に思いを伝えて来る愛理、ティナはそんな彼女ならいつしか信じても良いと思えるようになっていた、そして自身も愛理と友達になりたいと思う、だから・・・。
「ねぇ、こんな時に言うのも何だけど、私とあなた、友達にならない?」
友達になりたいと言う思いを愛理に伝えた。
「!、喜んで!」
愛理は友達になろうと言うティナの言葉に嬉しそうな笑顔で喜んでと答えた。
「それでね?、あの二人は恐らく組織に記憶を消されそして洗脳され利用されてる、私はそんな二人を助けたい、手伝ってくれないかしら?」
「勿論、良いよ、一緒に助けよう!、ティナ!」
「ええ」
レアリとレイズを助けると決めた二人は拳を合わせ、相対する二人の少女を見る。
「準備は出来たみたいだな、なら、変身!」
「へーんしーん」
レイズとレアリは変身した、レイズは先端がドリルのようになった槍を持ち、レアリは背中に大きな飛行ユニットを付けた姿となった。
「セシリア、行くよ!、スピリットフォーム!、精霊王!」
「・・・、私の事、忘れてなかったんですね・・・、安心です・・・、変身!」
二人の少女が変身したのを受けて愛理とセシリアも変身した、愛理とセシリアの変身が終わるのを待たずにレアリは背中の羽から斬撃を飛ばす、ティナはそれを銃弾で撃ち落とした。
変身を終えた愛理は変身の隙を狙った攻撃を防いでくれたティナの肩を叩いてから、迫るレイズの槍をエクスカリバーで受け止める。




