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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部二章、黒いアーマーデバイスと九尾
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十八話

水道


コツコツと靴の音が辺りに反響する音を聞きながら、愛理達は水道の中を歩いていた、三人の左側を流れる水は真っ黒で上にある工場は碌に浄化せずに汚水を垂れ流しにしているようだ。


「二人共、止まって」


愛理の狐の耳がピクリと反応した、何かの音を聞いた愛理は二人を止め、近くのパイプの陰に三人で隠れる。


「魔物ですね」


「ええ、ヘドロが魔力を帯びて魔物になったヘドーロって魔物よ、アレ」


三人が見つめる先には環境汚染の結果産まれる魔物ヘドーロがいる、ヘドーロ達は何やらパイプに穴を開けてその中を登って行こうとしているようだ。


「上で閉鎖してるのはアレが原因なのでしょうか?」


「うーん、何かに惹かれてる動きにも見えるなぁ」


ヘドーロ達は愛理が言った通り、何かに惹かれて上に登って行っているように見える。


「何かに惹かれてか・・・、聞いた話だと彼等は魔力がこうぶつでね?、魔力動力炉に張り付いて発生する魔力を吸い尽くして壊しちゃうそうよ、もしかしたら上で大量の魔力が発生する何かが起こったのかもね」


上で起こった事、もしかしたら黒いアーマーデバイスに関する事かもしれない、愛理はそれに期待しつつ、ヘドーロ達が通り過ぎるのを待つ。



何個か上の方に見えるマンホールを開けて現在地を確認しつつ、愛理達は水道の中を進む。


「ここはどうかなぁ〜」


愛理は見つけた梯子を登りマンホールを開ける、まずはヒョッコリと狐の耳を地上に出し、次に顔を出して場所を確認するが、まだまだ都市の中には入っていないようだ。


「まだ都市の中じゃないみたい、でももうだいぶん近いよ、後二、三個くらい先の梯子を登ったら街の中に入れると思う」


「ちょっと臭いのせいで気分が悪くなって来たので急ぎましょう」


「ええ・・・」


水道は都市に近づくほど酷い臭いになって来ている、出来れば早くこの臭いから逃れたい愛理達は足早に水道の中を歩く。


足早に歩いていると再びヘドーロの大群と出くわした、三人は彼等が登って行くパイプとは別のパイプの近くに隠れて、彼等がいなくなるのを待つ。


「さっきよりも多いね、それに何か急いでるみたい」


「よっぽど近くに良質な魔力源があるのかしらね」


ヘドーロ達は急いだ様子で、それもどこか嬉しそうにパイプの中に入って行っている、今こちらの姿を彼等に晒したとしても無視されそうな勢いだ。


「あんなに沢山いたのにもういなくなってしまいましたね、でも道は開きました先に進みましょう」


数十匹いたヘドーロ達はあっという間にパイプの中に消えて行った、愛理達はパイプの陰から出て、再び水道の中を進み始める、すると突然水面から何かが飛び出した。


「キシャー!」


水面から飛び出して来たのはリザードマン、しかし普通の個体の鱗が大抵は色鮮やかであるのに対し、彼の鱗は真っ黒だ、それに生臭い臭いも漂って来る。


「シャッシャッ、シャッシャッ」


リザードマンは自分の臭いが分かっているのか、体を揺すり自分の臭いを振り撒いている、その臭いを嗅いだ三人は気分が悪くなって来た。


「臭いわよ!、このトカゲ!」


あまりの臭いにティナがキレた、マシンガンを取り出すと派手にブッ放す、しかしリザードマンはピョンと汚水の中に飛び込んで銃弾を躱し、笑い声のような鳴き声を上げながら愛理達から遠ざかって行った。


「クッソォ〜、次会ったら蜂の巣にしてやる」


「まぁまぁ」


リザードマンの笑い声を聞きティナは悔しそうにし、愛理が肩を叩いて慰める、セシリアは今の二人を見てだいぶん仲良く慣れたようだと安心し微笑む。


「あーもう、まだ聞こえるわ、腹立つ、無視して進みましょう!」


「ふふっ、はぁい」


愛理とティナは今のリザードマンの何が腹が立つのか語り合いながら、梯子を探し水道の中を進んで行く。



第33街


マンホールが開き狐の耳がまたヒョッコリと顔を出した、次に顔を出した愛理は周囲を見渡し場所を確認すると、周囲はどう見ても工場地帯である、第33街に入れたのだと判断した愛理は仲間達に手を振って呼び先に自分が第33街に入った。


「ここが第33街、工場になんて用がないから始めて来たけど、本当に工場しかないのね」


「ここで働く人は近くの町からここに出勤して来るんだろうねー」


第33街に入った愛理達は様々な工場を眺めつつ、第33街を歩く、歩いた結果とある違和感を感じる。


「これ、どの工場も動いてないんじゃないですか?」


「確かに、機械が動く音は聞こえないし、煙突から煙も出てない、どの工場も動いてないっぽいね」


三人が感じた違和感、それは工場地帯なのにどの工場も動いていないと言う事だ、見える範囲のどの煙突からも煙は出ておらず、恐らく工場は稼働していない、工場が動かせなくなる何かがあったのだろうか?。


「兵士ね、警備をしているみたい」


工場は動いていないが兵士はいる、しかしそもそもこの都市は封鎖されている為か、かなり油断した様子である。


「あの感じなら簡単に拘束できそう、ちょっと捕まえて来る!」


愛理はこの都市で何があったのか聞く為に、完璧に油断している様子の兵士に向かって行った、そしてポカンと首を叩き気絶させると、セシリアとティナと協力して近くの工場内部に運び込んだ。




三人が兵士を運び込んだ工場内部にはやはり人はおらずシーンとしていた、そんな無人の工場の中で愛理の見事な手際で気絶させられ装備も全て奪われた運び込まれた兵士が目を覚ます。


「お前達、何者だ」


「こう言う者です」


「!、ワールドセイバーか」


「ご名答」


兵士は何者かと聞いて来た為、セシリアがワールドセイバーの紋章を見せる、すると兵士はすぐにこちらが何者か理解した。


「お前達が何者かは分かった、何故俺を拘束した?、聞かせてくれ」


「私達が知りたいのは、この街で何があったのか?、だよ、教えてくれないかな?」


「解放してくれるなら話そう」


「私達の事を話さないのなら解放してあげる」


「分かった」


交渉成立である、本当に話さないでいてくれるのか不安が残るが、愛理達は取り敢えずは信じる事にし、兵士の言葉に耳を傾ける。


「昨日の事だ、黒い服を着た奴等が持つ工場の魔力動力炉が突然暴走してな、所有者は逃げ、現在も魔力動力炉は臨界状態にあって危険な状態だ、いつ爆発するか分からんから都市の入り口を封鎖し、労働者達も外に逃がしたと言う訳だ」


(黒い服を着た奴等、十中八九奴等ね)


「その工場、どこにあるの?」


ダークデバイサーズの仲間が持っていた工場なら確実に何か情報がある、そう思った愛理は工場の場所を聞いた。


「街の東側、赤いラインが壁に入った工場だ」


「ありがと!」


兵士から情報を得た愛理はお礼を言ってから微笑み、兵士を拘束から解放した。


「あの工場で何をするのかは知らないが、出来れば魔力動力炉を止めてくれると嬉しい」


「あははー、それは・・・、うん、出来る事をやってみます・・・」


「フッ、出来る範囲で頑張ってくれ、じゃあな」


兵士は愛理に手を振ると去って行った、目的地が決まった愛理達も頷き合ってから街の東側の赤いラインが壁に入った工場に向かう。

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