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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部二章、黒いアーマーデバイスと九尾
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十七話

愛理の夢


『・・・』


愛理は夢を見ていたそれは幼い頃の記憶、場所は天上界、幼い頃の愛理はウトウトと眠りかけていた。


『ねぇ、お母さん、これまで産まれて来た子の中で、特に優れた才能を持つこの子は、私と同じ時の神になるのかしら?』


ウトウトとする愛理を抱く明日奈は愛理が彼女と同じ時の神となるのかどうか、神狐に聞いた。


『うむ?、うーむ、暫し待て』


明日奈の質問を受けて神狐は愛理に神格があるかどうか確かめて見る事にしたようだ、愛理の頭に触れる。


『分かったぞ、この子に時の神となる資格は・・・』


神狐が言葉を言いかけた所で現在の愛理の周囲は暗くなる、幼い頃の愛理が神狐に頭を撫でられるのが気持ち良くて眠ってしまったのだ。


辺りが暗くなったのと同時に周囲が明るくなる、どうやら現実の自分が目を覚まそうとしているらしい、愛理は浮上して行く感じに身を任せ目を覚ました。



車内


ゴン!


「いったぁ・・・」


「うー・・・」


目を覚ますなりいきなり身を起こした愛理はセシリアと盛大に交通事故を起こした、頭と頭の戦いを終えた二人は、激しく痛む頭を抑え悶絶する。


「だから、突然起きた時に頭を打ち付け合うわよって言っておいてあげたのに・・・、それで?、気分はどうかしら?、愛理」


「バッチリ!、元気だよ、・・・と言うかあの化け物を倒した後の記憶がないんだけど、私気絶した?」


愛理の質問に二人は頷く、それを見て愛理はやはりかと思う。


「あはは、やっぱりスピリットフォームを二つ同時に発動させるのは厳しかったかぁ、もっと修行しなきゃ・・・」


愛理は分かっていた、スピリットフォームを二つ同時に発動すれば魔力消費量が多すぎて、下手をすれば気絶する事を、しかし二つ同時のスピリットフォームの発動は大きな戦力となる筈なので確実にマスターするつもりだ、その為には二つ同時に発動しても耐え得る程の魔力量を獲得しなくてはならない。


「先輩、出来ればアレは本当に苦戦している時しか使わないで下さいね、完璧にマスター出来てない今、アレを使えばまた気絶してしまうでしょうし」


「・・・、つ、使わないよ!、本当だよ!」


「本当ですかぁ?、先輩そう言っていつも無茶するじゃないですか」


セシリアの言葉にこの数日で愛理の事を大分理解して来たティナも頷いている、そんな二人を見て愛理はバツが悪そうに頭を掻く。


「と・に・か・く!、ダメですからね!」


「はい・・・」


後輩にここまで心配されてしまうと、無茶はするべきではないと愛理は思った、暫く二重変身は控えた方が良いだろう。


「よろしい、それじゃご飯にしましょうか、ティナ、手伝って下さい」


「ええ」


セシリアは鞄からガサゴソと食材と調理セットを取り出すと、ティナに手伝ってくれと頼んだ、ティナは快く手伝いを引き受ける。


「えーと、私も・・・」


「先輩は大人しくしてて下さい!」


「はい・・・」


大きな声で大人しくしてろと言われた愛理は、シュンと尻尾を下げて、車の椅子の上で三角座りする。


トントンと二人が野菜を切る音が聞こえる中愛理は夜空を見る、空は愛理の憧れの世界、空を見るとメサイヤでまた駆け回りたいと思ってしまう。


「帰ったら久し振りにメサイヤで飛ぼう、ふふっ、二人も誘ってね」


メサイヤでの空の旅を計画した愛理は、若干苦戦をしつつも料理を作る二人を見守るのだった。




「・・・、ナニコレ」


「か、カレーです」


「あーうん、た、タベルヨ」


何故か紫色をしているカレー、作った二人が目を逸らしており、猛烈に不安になる、不安になるが折角作ってもらったのだ、愛理は紫色のカレーを美味しいかもしれないと思い込み食べた。


「キュー」


その結果再び気絶した。


「・・・」


「・・・」


二人は無言で紫色のカレーを廃棄してから、気絶した愛理の元に走る。



街道154号線


「はっ!?」


「あ、あぁ、おはようです、先輩」


「お、おはよう?、愛理」


愛理が目を覚ますと朝だった、何かとんでもない物を食べた気がするが記憶がおぼろげだ、気になった愛理は二人に質問してみる。


「ね、昨日の夜何か紫色の変な物を食べた気がするんだけど、夢かなぁ」


「夢ですね」


「夢よ」


「そっかぁ、なら安心」


二人がそう言うのならそうなのだろう、愛理は夢だと思う事にし、外を見る、前の座席に座る二人は愛理が夢だと思ってくれた事に安心する。


「って、夢な訳ないでしょ!、今思い出したよ!、何あのカレー!、何を入れたらあぁなるの!?」


何故愛理が紫色のカレーの事を思い出したかと言うと、美味しいレトルトカレーと書かれた看板が立っていたからだ、そこから昨日の事を思い出した愛理は、二人に何を入れたらあのおぞましい味になるのか聞いた。


「・・・、そのー調べたら洗剤が入ってまして・・・」


「それと、風邪薬とか漢方薬とかも入ってたわ・・・」


二人はカレーを廃棄した後机の上に置いたままだった材料を調べた、すると洗剤やら薬やらが一緒に置かれており、間違えて入れてしまった事が判明した。


「洗剤かぁ、わー体の中から綺麗になりそー、それに風邪薬に漢方薬かぁ、わー健康になりそうー、うん、次からは私が作るねー」


「は、はい」


「え、ええ」


後ろから猛烈な圧力を感じる二人、セシリアは振り返る気になれないし、ティナはルームミラーを見る気になれない。


前の座席の二人が全力で後ろの愛理にビビる中、前方に次の都市、第34街が迫って来た、第33街は遠目に見た感じは工場地帯のようで、第32街よりも薄汚れた雰囲気が漂っている。


「33街は本当に工場だらけよ、だからこそ、黒いアーマーデバイスを製造している場所かもしれないわ」


「工場が多い分、隠れて作る場所は多いはずですからね」


「そう言う事、取り敢えず一つ一つ工場を調べてみましょう」


「はい」


会話に参加しない愛理に二人がまたビビりつつ、車は第33街に近付いていく。




第33街前


第33街前に来ると何やら軍が検問をしているのが見えた、聞こえて来ると声によると、軍が第33街の入り口を封鎖しているようだ。


「封鎖してるって事は中で何かあったんだろうね、ここで待っていても中には入れない、別の侵入ルートを探すよ」


前の様子から、待っていても中に入れないと判断した愛理は別の侵入ルートの探索を提案する、ティナは愛理がようやく喋った事に安心しつつ、車を停めれる場所を探し車を走らせ、見つけたパーキングで車を止める。


「外周も沢山の兵士が、警備をしていましたね」


ここに来るまでの間に、兵士達が外周の警備をしている様子が見えた。


「うん、あの監視網を破って中に入るのは難し、なら地下から攻めようか」


監視網を破るのが難しいのなら、地下から攻めればいい、丁度このパーキングにはマンホールの蓋がある、水道から中に入れないか試してみよう。


「装備の準備は出来てる?、行くよ」


「ええ」


三人はマンホールの蓋を開けると、地下の世界へと降りて行った。

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