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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部二章、黒いアーマーデバイスと九尾
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十四話

孤児院


愛理が弾くピアノの音が消え子供達は眠り静まり返った孤児院で、セシリアとティナに椅子に縄でグルグル巻きにされ拘束された黒いスーツの女が目を覚ました。


「なっ!?」


目を覚ました女は拘束されている事に気付き暴れるが、二人がキッチリと椅子に縛っている為、拘束から抜け出せない、抜け出せない事を理解した女は諦め暴れるのをやめた。


「おはよう、あなたには知ってる事、色々と話してもらうからね」


女に愛理が近付き話しかける、これから尋問し情報を聞き出すのだ。


「はっ、誰が話すか」


当たり前だが女は敵である愛理に何も情報を話すつもりはないらしい、そっぽを向き目を閉じる。


「ほうほう、セシリアさん、手伝って」


女の態度を見た愛理はニヤリと笑うと現在一本だけ出している尻尾を二本に増やし、セシリアを呼んだ。


「はいはい、愛理さん」


セシリアは愛理に近付くとスルスルと伸びて来た尻尾を持ち女の左側に立つ、愛理も自分の尻尾を手に取り女の右側に立った。


「ほーら、こしょこしょー」


「こしょこしょー」


女の両脇に立った二人はフサフサの尻尾を使い女をこしょばせ始めた、こしょばされる女は顔を真っ赤にしつつも耐えている。


「ティナ〜、足〜」


「分かった」


ノリノリで女をこしょばす二人に若干引いていたティナは、足をこしょばせと言われ、言われた通りに女の靴を脱がせるとこしょばせ始めた。


「あっははっはは!」


遂に女は耐え切れなくなり笑い始める、激しく身を捩り三人のこしょばせから逃げようとするが縄で拘束されている為逃げれない、まさに生き地獄である。


「ほーら、早く話さないと一時間でも二時間でも、一日中でも続けちゃうよー」


「わ、分かった、話す、話すからやめてぇー!」


こんな生き地獄に30分も耐えれる気がしない女はさっさと諦め降参した、女の降参を聞いた三人はこしょばせ攻撃をやめた。


「そっ、なら話してね」


「はぁはぁ、私が知ってる情報は、奴等の基地の場所よ、私は奴等から報酬をもらう代わりに奴等に代わり子供を買い、その基地に連れて行ってるの、あそこならあんた達が欲しがってる情報もその基地にならある筈よ」


確かに敵の基地にならば更なる情報があるだろう、愛理はそこに行ってみる事にし、場所を聞く事にする。


「場所は?」


「ええ、場所は・・・、グッ!?」


基地の場所を話そうとした女の胸が孤児院のドアを突き破り部屋の中に入って来たビームに貫かれた、体を貫かれた女は絶命し、女が絶命したのを見た三人は慌ててビームが飛び込んできた方向に振り返る。


「あなた達は!」


「ノアと、水月!」


女の体をビームで貫いたのはノアだった、その証拠に左手を女の方に向けている。


「お久しぶり〜、お狐ちゃんとそのお仲間さん達、ごめんね〜、小さな基地の情報すらあんた達には渡すわけにはいかないんだー、だからその犬殺しちゃった」


「ッ!、殺す必要はないでしょ!」


「ふん、仲間でもない、ただの協力者、それにまんまと貴様らに捕まったその犬は必要ない、だから殺したのだ、生かしておけばどうせ情報を漏らすだけだからな」


ノアと水月の言葉を聞き、愛理は怒りでその身を震わせる、どんな理由があろうと人は殺すべきではない、しかし二人は殺しを当たり前のように語る、愛理はその事に怒っているのだ。


「行くよ!愛奈さん!、モード、精霊王!」


怒る愛理は精霊王モードに変身し、向かいの家の屋根の上にいる二人の少女に向けて突っ込む、セシリアは変身しながら、ティナは武器を構えながら愛理を追う。


「セェイ!」


猛スピードで迫る愛理を水月が刀で受け止めるが、愛理は怒りのまま無理矢理に水月を押し切り、回し蹴りで屋根の上から突き落とした。


「このっ!」


かかと落としをしたばかりの愛理にノアが拳を振り被りながら迫る、しかしセシリアが愛理のカバーに入り武器で彼女の拳を受け止めた。


「はぁ!」


屋根の上から突き落とされた水月は立ち上がり、ノアの攻撃を受け止めているセシリアの背中を狙い斬撃を飛ばす、しかしその攻撃はティナの銃弾によって撃ち抜かれ爆発した、セシリアはティナのカバーに感謝しつつ、ノアの頭に頭突きを入れ怯ませた。


「チッ!、変身も出来ない癖に邪魔を!」


攻撃を邪魔された水月は、邪魔をした張本人であるティナに斬りかかる。


「させない!」


愛理が水月の斬撃を受け止めティナを守る、ティナはその間に後退し銃を構え直した。


「ティナは下がったね、っと!」


後衛であるティナが後退するまでの時間を作った愛理は、水月の斬撃をこれ以上受け止める必要はないと判断し、スッと力を抜き水月の体勢を前のめりに崩させるの、水月の腹に膝を突き入れた。


「ぐっ!?」


愛理の攻撃の痛みに顔を歪ませた水月は両手を地面に着き喘ぐ。


「水月!」


セシリアと張り合っていたノアが両手を地面に着く水月を見て、力でセシリアを押し切ると、水月の近くに降り立つ。


「大丈夫?」


「あぁ、あの女、聞いた通り相当に強いぞ」


「みたいね」


ノアが伸ばした手に掴まり水月は立ち上がる、二人の様子を見つめていた愛理は剣を構え直し、二人の攻撃を待つ。


「行くぞ!」


「ええ!」


水月とノアは厄介だと判断した愛理を最初に倒す為、二人連携して愛理に迫る、まずはノアが殴りかかると愛理に思わせてそのまま隣を通り過ぎると、その真後ろにいた水月が突きを放って来た。


愛理は水月の刀を剣で逸らし、後ろから殴りかかって来たノアの拳を受け止めた、そしてノアをティナの方に放り投げた。


「絶好の射角ね!」


ティナは宙で身動きが取れないノアに向けてレーザーを連続で撃ち込む、ノアは体を回転させてレーザーを躱そうとするが何発か体に命中し、ノアの体に切り傷が刻まれた。


「ハァァ!」


刀に青い光を纏わせた水月は愛理に横振りの斬撃を放つ、愛理は斬撃の下を通り水月の懐に潜ると、剣を下から振り上げる、愛理の剣は水月の体を大きく斬り裂いた。


「くっ!?」


体を斬られた水月は大きなダメージを喰らった事に焦る、焦る水月にセシリアが迫り、脇腹にハンマーによる重い一撃を喰らわせた。


「くっ」


「くそっ、ここまで差があるなんて・・・」


ノアと水月は圧倒的な戦闘能力を見せる愛理と自分たちの差を感じ悔しそうな顔で愛理を見つめる、そして二人頷き合うと片方の手を合わせ、もう片方の手を愛理に向ける。


「これでも」


「喰らえ!」


二人の手からは強力な魔力を感じるビームが放たれた、ビームは道路のアスファルトを溶かしながら愛理達に迫る。


「二人とも、私の後ろに」


「ええ」


「はい!」


後ろに入るように言われたセシリアとティナは愛理の背後に立つ、二人が自分の後ろに立った事を確認した愛理は剣を頭上に構えた。


「エクスッブレイカー!」


愛理は現在自分が出来る最高の技、エクスブレイカーを放った、エクスブレイカーは水月とノアが放ったビームと暫く抵抗したが、数秒後には貫き、二人に迫る。


「「!」」


迫るエクスブレイカーを見た二人は呑み込まれる前に転移し逃げた。


「逃げたか・・・」


二人に逃げられた愛理は変身を解く、セシリアも変身を解きながら愛理に近付き、ティナもホルスターに銃を戻しながら近付いて来る。


「・・・、結局何も情報を得れませんでしたね」


「そうね、でも諦めるのはまだ早いわ」


「うん、必ず見つけ出してやる」


三人は水月とノアが所属する組織に必ず追い付くと決意し、黒いスーツの女の遺体に近付く。


「あなたはあいつら頼まれて子供を買ってる悪い人、でもお墓くらいは作ってあげるね」


三人は協力して孤児院の庭の片隅に穴を掘るとその中に女性を入れて埋めた、そして彼女の健やかな眠りを天に祈る。


この後、戦場となった孤児院はワールドセイバーが修復し、孤児院の運営自体もワールドセイバーが担当する事となる。



宿


引き続き、この世界の調査を行う予定の三人は地球には戻らず、この世界の宿に部屋を取り、休んでいた、ただ愛理がボーと夜も工場の煙に包まれ薄汚れた空を眺めていると風呂上がりのティナが部屋に入って来た。


「・・・、今日はありがと」


「えっ?」


部屋に入って来るなりティナに感謝された愛理は、何に対する感謝なのか分からず戸惑う。


「戦闘中に何回か守ってくれたじゃない、それにたいして感謝してるの、言わせないでよ恥ずかしい」


頬を赤く染めつつ感謝の言葉を言った理由を話したティナは、そそくさとベッドに潜り、愛理に背を向ける、ティナに感謝された愛理はその事が嬉しくて暫くニマニマとティナの後ろ姿を見つめていた。

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