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金色の九尾lll  作者: ブレイブ
第二部二章、黒いアーマーデバイスと九尾
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十一話

ガマラ王都、王城


朝、目を覚ました愛理は地球支部への出勤時間までの間に城の庭で二体召喚の練習をしていた。


「来て!、イフリート!、レオ!」


愛理は早速二体召喚を実行する、先に呼んだイフリートは問題なく現れ、二体目の召喚に移る愛理を手振り身振りで応援する。


「くー!」


愛理は薄っすらとその姿が見え始めたレオの召喚を成功させようと歯を食いしばる、一回出来たら後は何回でも出来そうな気がするのだ、だから早く二体召喚を成功させたい。


「っはぁ!」


しかし魔力の維持が出来なくなり殆ど実体化していたレオが消えてしまった、失敗である。


「うーん、だいぶん出来るようになったんだけどなー、何がダメなんだろ」


最近はいつも二体目が殆ど実体化した所で魔力の維持が出来なくなり、二体目が消えてしまう、しかし以前は二体目が消えるのと同時に消えていた一体目の精霊は消えなくなった為、魔力操作の修行は上手く行っている。


「もう一回!、来て!レオ!」


愛理はもう一回レオの召喚を行う、イフリートは再び応援し始めた。


「よっ、なーにしてんの?、愛理」


「ひゃっ!?」


そこにする鈴奈が現れ愛理の脇腹を突っつく、愛理はいきなりの刺激に悲鳴をあげる、そして・・・。


「!?」


レオが召喚されていた、二体召喚の成功である、愛理は二体召喚が出来た事に単純に驚く。


「な、なんで?」


しかし何故二体召喚に成功したのか分からない愛理は頭を悩ませる、練習に練習を得て成功した場合は感覚を掴めた筈だが、今回は鈴奈が刺激を加えて来た結果の成功だ、あの一瞬全く何も考えられない状態になっていた為、二体召喚の感覚など全く掴めなかった。


「愛理、今召喚された瞬間だが、いつも感じていた障壁のような物を感じなかった」


「・・・」


愛理はレオの言葉を聞き考える、今までは力み過ぎていた為、レオが言う障壁が出来、二体召喚が出来なかったのではないかと、そして今回成功したのは鈴奈が刺激して来た結果余計な力が抜け障壁が現れるすんなりと二体目の召喚の為の魔力が流れたのではないかと。


「鈴奈!、ありがと!、なんか分かったかも!」


「え、ええ」


ただのイタズラなのに感謝された鈴奈は微妙な表情で頷く、そして愛理は一度レオを消し、再び今度は余計な全身の力を抜き二体目の召喚をやってみる。


「出来た!」


そして二体目の召喚が再び成功する、そして今度は意識して二体目の召喚を行った為、二体召喚の感覚を掴めた、これならばこれからは何度でも二体召喚が出来そうだ。


「よしっ!、よーし!、やったぁ!」


「・・・」


ピョンピョンと飛んで二体召喚の成功とマスターに喜ぶ愛理、ただイタズラをしただけの鈴奈は微妙な気持ちで喜ぶ愛理を見守るのだった。




チーム72


二体召喚をマスターした愛理は鈴奈にソフトクリームを奢ってから、チーム72の部屋に出勤した、部屋の中にはティナと明日奈がいる。


「それじゃ任せるわね、ティナ」


「ええ」


どうやらティナはこれから任務に向かう所のようだ。


「ちょっと待って!お婆ちゃん!、私も行く!」


ティナと友達になると決めている愛理は、ティナがこれから行く任務に自分も行くと主張した。


「んー?、でも簡単な任務よ?、ただの犯人の家やよく出入りする場所とかの近くで張り込んで出て来たら捕まえるだけの」


「良いの!」


「分かった、分かった、あなたも行きなさい、簡単な任務だとしてもカバーはいた方が良いしね」


愛理の剣幕に負けた明日奈は愛理がティナが受ける任務に同行する事を許可する。


「それじゃ、任せたわよ」


「うん!」


「・・・」


愛理とティナは犯罪者が隠れ住む世界へと転移した。




第26世界インラーシダ、ラメラヌ市


今回の犯罪者の名前はビヨン、女の殺し屋だ、ビヨンはその色気でターゲットを惑わせ殺す、妖美な犯罪者である、ビヨンはこのラメラヌ市を拠点としており、隠れ家は今愛理とティナが眺めているアパート、よく出入りする場所は歓楽街の路地裏にある武器屋だ。


「ねっ、ティナ、このビヨンってすっごい綺麗な人なんだって、そんなに綺麗なら早く見てみたいよねー」


「犯罪者の外見なんてどうでもいいわ」


(グヌヌ)


現在、愛理は張り込み中の暇な時間を活用し、ティナに積極的に話しかけ距離を詰めようとしているのだが、素っ気ない態度で会話を拒否され続けており、連戦連敗中である。


「ほ、ほら、あれ!猫がいるよ」


「黙ってて」


「はい・・・」


これ以上話しかけても、何も進展しないなと判断した愛理は今回の敗北を認め黙る。


「ねぇ、あんたの耳ってよく聴こえるんでしょ?、あの部屋の中に誰かいる?」


「いるよ、小さな物音が一回聞こえた」


「そう」


よく聴こえる愛理の狐の耳によると部屋の中には人が一人いる、こちらを欺く為の囮が部屋の中に居る場合も考えられるが、部屋の中に誰かが居るのは確定だ、暫く部屋の様子を監視する価値は十分にある。


「・・・」


「・・・」


暫く会話がないまま時は流れ、アパートの扉が開く開く、その中からかなり扇情的な格好をした女が出て来る。


「来た!」


ティナは銃を構え、部屋から出て来た女に向かって行く、一方の愛理は犯罪者が堂々とその姿を晒した事に何か嫌な予感を感じ注意してティナの後ろを走る。


「止まりなさい!、ワールドセイバーのエージェントよ!」


「ふん!、やはり来たわね!、どうりで最近、視線を感じると思っていたのよ!」


ビヨンはエージェントが現れるのは想定済みだったらしい、鞭を飛び出しティナに向けて放つ。


「クッ!」


距離が近過ぎた為ティナの手から銃が弾き飛ばされる、ティナから武器を奪った女は次の行動に入り、足元に何やら魔力を放つ、次の瞬間・・・。


「危ない!」


床が爆発した、愛理がティナを突き飛ばし自分も前に大きく飛んだ為、怪我はなかったが、もし愛理が注意していなかったらティナは大怪我をしていただろう。


「まさか!、不発なんて!」


ビヨンは罠の不発を嘆いている、しかし諦めたりなどはせずティナに向けて鞭を放った。


「はあっ!」


ティナは鞭を体を逸らして躱すと、全力の回し蹴りを女の顔に向けて放った、その強烈な一撃を喰らった女は地面に倒れる。


「くっ!、お前達になんて捕まってやるものか!」


ただでは捕まるつもりはないらしいビヨンは、複数の爆弾を床に転がした、どれも導火線に火が入っておりすぐにでも爆発しそうだ。


「くっ、この数、どうすれば!」


もう爆発の寸前、ティナにはもう爆発を止める手段などない、ただただ焦るしかなかった。


「任せて!」


愛理は近くのホース付きの蛇口をひねり爆弾の導火線の火を消した、そしてホースを投げ捨てると立ち上がり逃げようとしていたビヨンを押さえ付ける。


「はい、逮捕」


ビヨンを拘束した愛理は手錠を使い、女を牢屋に送った。


「任務完了、帰るわよ」


「うん」


ティナは愛理のフォローにお礼を言わず転移して行ってしまった、愛理は転移した彼女を追って地球支部に戻るのだった。

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