八話
ワールドセイバー総本部
明日奈は総本部の会議室の片隅で、ワールドセイバーの幹部達の会議を聞いていた、その傍らにはこう言う場に立ち会うのも良い経験だ、と言う事で愛理もいる。
「今回、総本部を襲ったアーマーデバイサーズと名乗った二人の少女だが、第442世界の孤児と分かった」
ワールドセイバーは戦闘の後、ノアと水月についてすぐに調べた、沢山の情報を探り続けた結果あの二人の少女は第442世界のとある孤児院出身だと分かったのだ。
「第442世界、何かあると思うか?」
「・・・、第442世界で黒いアーマーデバイスの製造が行われている、可能性は考えられますね」
「ええ、黒いアーマーデバイスの件について当たっている地球支部のエージェントに第442世界を調べさせましょう、丁度伝令役もここに居ますしね」
椅子に座った女性は振り返り明日奈を見る、女性に見られた明日奈は頷く。
「愛理君、君に一つ聞きたい、あの黒いアーマーデバイサーと戦った感想を話してくれないか?」
実際に戦った者が一番あの二人について理解出来ている筈、スーツを着た男は愛理にあの二人と戦った感想を聞いた。
「そうですね・・・、まず一つ、あの二人は黒いアーマーデバイスで変身しても意識を保っていました、他の人達はみんな意識がなくなって暴走してしまったのに」
「・・・、つまり例の二人は黒いアーマーデバイスの強力な力に耐えれる実力者と言う訳だな?」
「そうなります」
黒いアーマーデバイスの解析を行なっている来羽の今の時点での報告によると、黒いアーマーデバイスは通常のアーマーデバイスより遥かに出力が高く、その結果その出力に耐えれない者は暴走してしまうようだ、しかしノアと水月は暴走していない、つまり黒いアーマーデバイスの負荷に耐えれる程の身体能力を持っていると言う事だ。
「実力者と言うだけで厄介だな、倒せそうかね?」
「分かりません、まだ彼女は本気を出していない感じでしたから・・・」
愛理はノアと拳を合わせあった結果、彼女はまだまだ力を隠していそうだと感じている、未知の技を打ち込まれた場合、対応しきれるかどうかは分からない。
「そうか、ありがとう、明日奈君、君達も第442世界の調査を頼みたい、行ってくれるかね?」
「任せて下さい」
第442世界の調査を頼まれた明日奈は快く引き受ける。
「うむ、頼んだぞ、それでは今回の会議はこれで終わりにしよう」
会議は終わった、ワールドセイバーの幹部達はゾロゾロと部屋から出て行く、明日奈と愛理も部屋から出る。
チーム72
愛理と明日奈は地球支部に戻って来た、明日奈は会議で聞いた話を支部長に伝える為に愛理と別れ支部長室に向かって行った、愛理は一人チーム72の部屋に戻る。
「お帰りなさい先輩、会議、どうでした?」
「うん、第442世界の調査をする事になったの、あの二人、第442世界の孤児だったみたい」
「・・・」
第442世界の孤児と聞いてティナが反応した、それを見ていた愛理はティナの方を見て話しかける。
「どうかした?」
「なんでもない」
ティナは愛理から背を向けると部屋から出て行ってしまった。
「どうしたのかしら?」
「さぁな、敵が同じ世界出身の奴だって聞いて何か思うところがあったんじゃねぇか?」
「・・・」
なんでもないと言われたがティナの様子が気になった愛理は、彼女を追いかける。
地球支部、屋上
愛理がティナを探し回った結果、彼女は屋上にいた、愛理は静かに彼女に近付く。
「・・・、なに?」
「あなたの様子が気になって」
ティナは愛理の方を見る、その表情は辛そうな物だった。
「・・・、話したら楽になるかもしれないよ?、何か隠してる事があるのなら話してくれない?」
愛理はティナの手を取り優しく言葉をかけた、しかしティナは愛理の手を振り解く。
「悪いけど、あなたの事も他のチームメンバーの事もまだ信用してないの、だからなにも話す事はない」
「でも・・・」
「しつこいわよ」
「・・・」
ティナに拒絶された愛理は俯く、ティナは俯く愛理を一瞥するとその場から去って行った。
「・・・」
一人になった愛理は考えていた、ティナの事を。
「とにかくティナと友達になる、そうするしかない、うん頑張ろう」
愛理が選んだ選択はティナと友達になる事だった、そして何度彼女に拒絶されても諦めるつもりはない、何故愛理がそこまでしようとするのかと言うと、ティナの辛そうな顔を見てしまったからだ、あのような顔を見せられると助けてあげたいと思うのが楽しみ愛理なのだ。
「まずは鈴奈とリリーナに相談に乗ってもらおっと」
こういう時、愛理がいつも相談を持ちかけるのは鈴奈とリリーナである、愛理は早速二人に相談に乗って貰う為、まずは鈴奈の家へと転移して行った。




