二話
チーム72
「・・・」
愛理は真剣な表情で自身の端末に入って来た情報を見ていた、愛理が見ている情報とは複数の一般人が黒いアーマーデバイスを使い暴走したと言う事件だ、ワールドセイバー側もアーマーデバイサー部隊を投入しなんとか消息させたが、もう少し対応が遅かったら街が壊滅していたかもしれない。
「誰がどこで作ってるのか早く突き止めないといけないな、このままじゃ更に酷い事になる」
暴走した一般人の中で意識を取り戻した者に話を聞いた所、黒い仮面を身に付けた者達が突然家に押し入って来て、体に黒いアーマーデバイスを触れさせて来たそうだ、その後の記憶はなく、気付いたらベットの上にいたと意識を取り戻した者達は説明している。
「やはりと言うか、誰でも使えるのね、適応者じゃないと変身できないこっちのアーマーデバイスにはない利点で、とても厄介だわ・・・」
誰でも変身出来ると言う事は、今回の件のように黒いアーマーデバイスを製造している者達はテロ行為に、また一般人を利用して来る可能性がある、今後は一般人を利用される前に止めるべきだが、敵の居場所が分からない今の状況では難しいだろう。
「とにかく、黒いアーマーデバイスの製造を止める為にもどんどん動くわよ、今丁度、小規模な犯罪組織二件の武力制圧任務が回って来たわ、二手に分かれて向かって頂戴」
「了解」
犯罪組織の中に黒いアーマーデバイスを製造する組織と繋がりがある組織が存在するかもしれない、愛理はその可能性にかけて任務に向かう。
第442世界、第42街、一番通り
第442世界は街の名を番号で呼ぶ、愛理達がやって来た第42街は工場が立ち並ぶ工業地帯で、モクモクと灰色の煙が天に向かって上がっている。
「アレですか?」
「そっ」
そんな灰色の街の中で愛理とセシリアは制圧対象の組織のアジトの様子を伺っていた、彼等は各世界で暗殺業を取り扱う組織であり、金さえ払えば誰でも殺す危険極まりない組織である。
「出入り口に見張りが二人、まずあの二人を潰して中に入ろっか、中に入ってからは出来るだけ離れないようにしつつ行動しよう、それで良い?」
「問題ないです」
「よし」
セシリアと作戦を決めあった愛理はサジタリウスモードに変身し二本の矢を放った、矢は見張りの足に命中し、片足にダメージを受けた二人はバランスを崩し倒れる。
「はーい、牢屋行きでーす」
倒れた二人をセシリアが地球支部に送った、変身を解いた愛理は銃を構えゆっくりとドアを開ける、そして中を覗き込み廊下に誰もいないのを確認すると、武器を構えているセシリアと共に中に入った。
「・・・」
まだ侵入者に気付いていないのか奥の部屋から会話をする声が聞こえて来ている、音で探ってみた所、奥の部屋にいる者達で全員のようであり、まとめて確保するチャンスだ。
「一気に取り押さえましょう」
「うん、怪我しないでね?」
「ふふふ、先輩こそ」
奥の部屋のドアに近付いた二人は頷き合うと、愛理がドアを蹴り飛ばし、ドアの近くにいた男は飛んで来たドアに当たり気絶した、部屋の中には気絶した男を抜くと五人の男がいる、気絶した彼を含めると六人、報告通りの人数だ。
「襲撃か!、くそっ!」
襲撃の可能性も想定しているのか、敵の動きも早い、あっという間に武器を構えると剣とハンマーを構え立つ二人をあっという間に取り囲んだ。
「カプリコーン!」
愛理は男達の真後ろにカプリコーンを召喚する、中華風な服を着た老人は二人の状況を精霊界から見ていたのか、早速一人の男を殴り飛ばし意識を奪う。
「くっ!、精霊魔道士か!」
精霊魔道士の最善の対象方法は術者の命を奪う事、男達は愛理に向けて殺到するが、セシリアが立ち塞がり二人の武器を受け止めた、セシリアを無視して迫って来る男を愛理が相手をする。
「喰らえ!」
チェーンハンマーを放り投げて来る男、愛理はチェーンが伸び切った所でチェーンを剣で斬り、殴って意識を奪う、もう一人の男の獲物はマシンガン、狙いを付けると早速放って来た。
「ッ!」
愛理はそれを上に飛んで躱した、そして天井を蹴ると早い動きで男の真後ろに着地し後頭部を殴って意識を奪う、仲間達の様子を確認すると既に倒し終わっており、任務は無事完了した。
「この人達を送ったら部屋の中を調べるよ、何か分かるかもしれないし」
「はい」
愛理とセシリアは男達をワールドセイバーに送った後、部屋の中を調べるが、黒いアーマーデバイスを製造する者達については何も分からなかった。
「・・・」
組織のアジトから出て来た愛理を見つめる一人の少女がいる。
「試させて貰う、久城愛理」
少女は武器を引き抜くと、愛理に向けて銃弾を放った。




